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とてとて
2024年5月3日 17:27
男子高校生(良太):ねえ、さっき先生が5月3日は憲法記念日だから休みだって言ってたけど、憲法記念日ってなんの日だっけ?女子高校生(裕子):んー、よくわかんないけど、たぶん憲法に関係ある日じゃない?良太:憲法かぁ・・・。難しくてよくわかんないんだよなぁ。裕子:私もあんまり知らないんだよねー。でも、休みになるならいいんじゃない?良太:まあね。ただ、憲法っていわれてもなんかピンとこなくて
2024年4月23日 23:21
「ナー」猫の鳴き声が聞こえる。部屋のドアの外だ。アパートの廊下に迷い込んだのかもしれない。「カリカリカリ」今度は、爪で引っ掻くような音がする。部屋のドアで爪研ぎしているのか。「ニャーニャー」また猫の鳴き声だ。声が大きくなった。目立つのは困る。追い払うしかないか。私は、部屋のドアを開けた。猫はいない。靴を履いて廊下に出てみたが、どこにもいない。逃げたのだろうか。私は部屋の中に
2024年4月22日 21:49
健司と理恵子の夫婦は、結婚5年目を迎え、まさに幸せな日々を送っていた。少なくとも周りは、人も羨む夫婦だと噂していた。夫婦とも一流会社に勤め、30代の夫婦が住むとは思えない豪邸に暮らしている。子供にも恵まれ、家族が一緒に出かける様子はテレビドラマを見ているようだった。ある日、健司は自宅の書斎でテレワークをしていた。ヘッドセットを使わずに同僚女性とWeb会議をしていたため声が少し大きくなっていた。
2024年4月10日 23:04
目が覚めた。目の前にいつもと違う景色が広がっていた。見慣れない天井、窓から差し込む優しい朝日。そして枕元に置かれた1通の手紙。「お目覚めですか。これから24時間、あなたには特別な時間をお送りします。どうぞ、思う存分お楽しみください」何の冗談だろうか。私は、部屋にあった洋服を着て、外に出た。驚いた。街は昔懐かしい光景に変わっていた。レトロな佇まいの商店街、行き交う人々の服装、全てが数
2024年4月9日 23:47
僕は4月からこの会社で働くことになった。まだ2週目に入ったばかりだ。中途採用の僕は、なんとか会社に馴染もうと、毎朝、他の職員よりも早く出社している。と言っても、僕が一番早いわけではない。必ず僕よりも早く出勤している女性がいるからだ。今日も、その女性は、早く出勤していた。「おはようございます」その女性は、いつも事務所の机を拭きながら、事務室に入ってきた僕に挨拶してくれる。「お
2024年4月7日 16:55
妻が亡くなった。夕食を食べていると妻が突然苦しみ出した。椅子から立ち上がり、そのまま倒れた。私が倒れた妻に寄り添った時は、もう妻の息は止まっていた。僕は警察を呼び、捜査が始まった。警察が司法解剖までしたが、事件性はなく、結果的に心臓発作ということになった。葬儀も済ませた。親族だけの葬儀だった。僕は、今日、忌引きで会社を休んでいる。リビングルームでテーブルの椅子に座っている。家には誰もい
2024年4月5日 23:48
金曜日の夜。風呂からあがった私は、テレビを見ながらビールを飲んでいた。とても疲れた一週間だったが、がんばったおかげで、仕事でかなりの利益が出た。満足だ。儲けさせてもらった顧客のことを考えると笑いが止まらない。ぼんやりと儲かった金額を考えていた時、スマフォのバイブが振動した。見慣れない電話番号からの着電だ。私はスマフォを取り画面をタップした。「もしもし?」私は警戒しながら電話に出
2024年4月4日 22:44
忙しい。新年度から配属された事務所の仕事があまりに膨大でクラクラする。朝からかなりの事務を処理しているが、処理するよりも多くの仕事がメールでやってくる。「すみません。ちょっと相談したいのですが・・・」同僚の若い新採2年目の職員が話しかけてくる。「うん。いいよ。なに?」「着任早々、申し訳ないのですが、私、明日から入院することになって、休みたいとおもってるんです・・・。」「え・
2024年4月2日 21:22
「綾、あれ見て」美雪が赤い花弁の花を指差した。「あれは、もしかして」「そう。チューリップじゃない?」そう言って美雪はたった1輪だけ咲いている花に駆け寄って行った。「久しぶりに見たわ。よく、咲いたわね」美雪は屈み込んで花を間近で見ていた。「もう、何年もこの時期に咲いているのを見てなかったよな」美雪の後をゆっくり歩いてきた綾も、美雪を正面して屈み込み、ひび割れた土に咲い
2024年4月1日 21:55
「鈴木くん。新年度の初日から残業?」鈴木浩太は、同期の大島瑞希から声をかけられた。「あ、大島さんも残っていたんだ。気づかなかったよ」「もう、みんな帰ったわよ。残っているのは私たちだけ」「そうみたいだね」浩太は周りを見回しながら言った。「もう20時過ぎたよ。まだ残業するの?」「来週、プレゼンがあるんだ。初めて任された仕事だから頑張らないと」浩太は、そう言って伸びをした
2024年3月29日 22:15
私は窓辺に立ち、外の景色を眺めていた。桜の花びらが風に乗って舞い、春の訪れを告げていた。しかし、私の心は重く、春の喜びを感じることができなかった。数日前、恋人の健太から別れを告げられたのだ。突然の申し出に、私は言葉を失った。健太は海外への留学が決まり、数年間日本を離れるという。「遠距離恋愛は難しい。君を縛り付けたくない」健太はそう言って、別れを切り出したのだ。「距離なんて関係ないわ
2024年3月19日 17:59
私の父は、立ち食いうどんが大好きだった。子供の頃、休日になると父に連れられて最寄り駅にあった立ち食いの店に行った。私は、コロッケうどんを食べるのが楽しみだった。熱々のうどんをすすり、コロッケを口に運ぶ。それがたまらなく美味しかった。しかし、成長するにつれ、立ち食いうどんに魅力を感じなくなり、やがて父の誘いを断るようになった。時は過ぎ、私は家庭を持った。それでも父は時々、私を立ち食いうど
2024年3月15日 17:53
私の趣味は油絵を描くことだ。私だけしかいない家で毎日筆を執る。最近は人を描くことが多い。性別は問わない。人の体を構成する直線や曲線の美しさは神々しいと言っていい。今日も私は、目の前のモデルの美しさを2次元のキャンバスで表現していた。苦労したが、もうすぐ完成だ。私は、筆を置き椅子から立ち上がる。そして、力なく横たわっているモデルに近づき、私の人さし指でモデルの口の端をそっと拭った
2024年3月12日 17:42
「健斗。私たち、今日で終わりにしよう」私の口からその言の葉がこぼれ落ちたちょうどその時、小振りの雨粒が落ち始めた。春雨だ。空が、私たちの別離を見守るかのように、しとしとと涙を流していた。彼と私の出会いは、3年前の冬。彼がバイトをしていたカフェで、私もバイトとして働き始めた。それが二人の恋の始まりだった。何回か会話をしただけで気持ちが通じ合うのを感じた。不思議な感覚だった。それまでは信じてい