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書き物の相棒ポメラについて
こちらのポストで、書き物向けの小型ワープロ的製品であるポメラが記者発表から15年であることを知りました。思えば初代モデルからの付き合いであります。ただ、新モデルが出る度に買い替えていたのに、自分が文章を書けるようになったのは、DM200が登場してから何年も後だったので、ずっと無駄といえば無駄な(ガジェット集めという域を出ない)買い物でした。いつか書けるようになる……と思っていたのです。そこの壁を
もっとみる不可解参(想)、狂想、そしてαU
3月4日に配信ライブ「不可解参(想)」があり、同月8日にはアルバム「狂想」、そしてKDDIとの共同研究開発プロジェクト「prompt αU」が公開され、さらに月末は「KAMITSUBAKI FES」が二日間に渡って開催されます。さらにNFTである「KAMITSUBAKI REGIDENT GENESYS」もローンチされる。それぞれの催し毎にグッズが出る。財布が痩せてゆく。まあ個人的な話だからそれ
もっとみる笛吹きの預言 3/3
赤信号に囲まれて、稲倉酒造のトラックは停車した。 常盤木の地酒を駅近くの飲食店に搬入するためには、いつも通り、ここを横切る必要があった。そして、お決まりのエラーが起きる。
旧式のナビゲーションを積んだままの、元々はレベル5以下で製造されたこのトラックの場合、自動運転を切るのが定石である。酒造のドライバーは慣れたものだ。エラー表示を無視して、マニュアルに切り替えようとした。……先の闇に。
「な
笛吹きの預言 2/3
「あたしも年齢だし、乗れるのに」
「免許取ったらね」
そうは言いつつ、ハンドルから手が離れている。もはや自動運転が基本なんだから、自分が乗っても変わらないのでは、と理芽は思う。
車窓の霜が外の灯りをぼやかして、境界を曖昧にした。
「……ひとつふたつ昔の人達は、現実と虚構の区別が付かなくなるなんて、いちいち問題にしていたんやね。今ほど切迫していないのに」
「こんな世の中が来るなんて、誰も思わなか
笛吹きの預言 1/3
※本作は「洋灰の都うずめし神椿」の前日譚にあたるお話です
茨城県常盤木
午前二時
眩いヘッドライトの行き交いを、等質に敷き詰められた高層ビルの窓が照らして返す。そびえ立つビルは、いずれも航空障害灯を赤く明滅させて、空を囲む。歩く者の居ない高速道の、美しい夜だった。
車載AIの相互連携によって制御された、自動運転レベル5の車列は大型配送車・普通乗用車・超小型モビリティ……、様々な車種とカラ
「Qに贈るA」 C101サークル参加情報
こんにちは、タタミベリ(Twitter: @tatamiberi)です。
2022年末に開催されるコミックマーケットC101、サークル参加の出し物(KAMITSUBAKI STUDIO 二次創作小説)についてご説明します。
C101サークル参加情報一日目 12月30日(金) 東1ホール K-06b
サークル名「タタミベリ」
(サークル名と名義一致なのは伊東ライフ先生リスペクト)
頒布物KA
不可解参(狂)の感想
2022年8月24日(水)、日本武道館で行われた『不可解参(狂)』に行ってきました。これはその体験の、浅漬け並の熟成で書かれた感想です。もしかしたら、しゃぶしゃぶ程度の湯通しでお出ししているかもしれない。ただし、どんなメディアや他者の感想も通していない、自分だけの感想です。質? 根拠? そんなものは無い。
思えば、自分が武道館で行われるライブに行ったのはEvery Little Thingの20
(ネタバレ)シン・ウルトラマンの山本耕史さんの役柄が良かったので解釈
シン・ウルトラマンを観てきました。
メフィラスがね、いいんですよ。
昔のウルトラマンに出てきたメフィラスは人間をそそのかす神話の悪魔みたいな不気味な存在でしたが、今回は深々とお辞儀をし、まず名刺を出し、呑みニケーションをする。辺境の星の、いち地方のものに過ぎない礼儀を見事にやってみせることで、己の知性と教養の高さを見せつけてくるのです。宇宙人がカタカナで「メフィラス」と書かれた名刺を出すのはシュ
私は如何にして神椿の観測者になったか
東京は中目黒、駅から歩いて……、多分迷うと思うので……15分~20分以上の所に『Walts』というお店があります。音楽を売っているのですが、ここが特異なのは、主にカセットテープを扱っている、という点です。
『Walts』の成り立ちは、検索すれば優れた記事が別にあると思いますので省きます。ただ、入ってみると、ヴィンテージ品に混じって、意外に新譜のカセットテープが世に出回っているものなんだなと思