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白昼夢の青写真2次創作 case1

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全10話+2話です! 自分の人生で初の作品です。拙いところが多々あり、少し恥ずかしいのでが、よろしければ是非是非!
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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 extra】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 extra】

「case1」の二次創作を経験しての、所感、批評、反省文等です。大部で思いっきり自分語りします。すみません。

【前書き 軽トラをひっくり返せる自分】
そもそも私は、作家志望でもなんでもなく、仕事で書く報告書などを除けば、人に読んでもらうことを前提とした物語を描いたのは、今回が初めてです。仕事のことはともかく、渡辺と同じで、基本的には読書感想文すら全然書けないタイプです。

読む方に関していうと、

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 extra2】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 extra2】

【続・反省文 構成ってなんだろう】
昨日、2話目にして重要なカードを無駄切りしてしまったというところまでお話ししました。「ある方」は、プロとアマを分けるのは、文章力であるとか、語彙とかであるより、構成の差が大きいと言っていたと思います。
私のいう構成と、その方のいう構成が同じものなのか、実は分からないのですが、話の繋がりとか流れ、そうであることの必然性を整えることなどなど、構成力って本当に大事だな

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第10話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第10話】

私が波多野秋房の娘であると級友たちに認識される前、つまり私も周りも幼かった頃から、私は他の人とは違うということを認識していた。
容姿に恵まれていることも、家が裕福であることも。

小学校1年生の頃には、「りんちゃんふぁんくらぶ」が校内に存在していた。
何度も何度も告白はされたが、ラブレターは、不思議と一度ももらわなかった。既に本を読むという習慣を身につけていた私は、私に対する想いを、拙くても良いか

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第9話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第9話】

祥子を前にして、無様に怯み、脅え、腰を砕いた。私のこの選択は、私の人生を今日より明日、明日よりあさって、より確実に悪化させるものだった。
アラームが鳴る前に目が覚めた。昨日同様、目が覚めた瞬間に、不快感の塊のようなものが喉につまった。時計を見たら、二度寝をするほどの時間はない。しかし、朝の支度をするには早過ぎる。中途半端な時間だった。
本棚の最上段にある、緑色の背中をしたシェイクスピアの訳本が目に

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第8話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第8話】

目が覚めた瞬間、激しい動悸に襲われた。その上、横隔膜が下がりきらないのか、呼吸が浅い。ひたすら息苦しい。明らかに、眠りも足りていない。とはいえ、本を質せば妻の不倫−そんな理由で、欠勤をするのはどうかと思った。精神状態も体調も最悪だが、いつも通りに出勤をした。

仕事というよりは、作業をしている気分だ。決められたとおり、これまで何度となく繰り返してきたとおりに授業を進める。
自分が学生だった頃、とき

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第7話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第7話】

父の家は、研究分野の専門書やその関連書籍といった、仕事に必要であろうものと、寝具や白物家電といった、日々の生活に必要であろう最低限の家財道具がいくらかあるくらいで、きれいさっぱりしたものだった。父は研究者として大学や研究所を転々としていたから、物を多くは持たなかった。
そんな父についてまわっていた私には、故郷と呼べる場所がないように、有島の家、と呼べるものもまた、ない。先日まで父が住んでいたこの家

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第6話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第6話】

大学を卒業してすぐ、同棲を始めた。祥子は学生時代からのアルバイト先の、文芸に強いあの出版社に就職して、編集者になった。私は…小説家志望だ。小説家にはなっていない。賞もとっていない。小説では稼げていないということだ。
日雇いなど、短期のアルバイトをして小銭を稼いではいるが、恥ずかしながら、生活費の大半を祥子に負担してもらっている。そんな暮らしが、一年ほど続いたある日のことだった。

「ねえ、両親に会

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第5話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第5話】

あの人の、42回目の誕生日が終わる。
今年はついに、一緒に屋根の下で過ごすことすらなかった。おめでとう、ありがとう、と、顔を合わすこともなく、端末の上だけで事務的なやりとりだけをこなし、日付が変わるか変わらないかのタイミングで「今日は会社に泊まる。」とLINEを送った。
もちろん、私は会社になんかいない。担当作家の家に上がり込んで、そのまま、流れに身を任せた。

          *

「最高だ

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第4話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第4話】

デート、いや、デートではないけれど、女の子と出掛けるのは、人生で初めてだ。一体、何をしたら良いのか、どんな話をしたら喜ぶのか、さっぱり分からない。本はたくさん読んできたが、あてになりそうなものは浮かばない。
何より、友達に相談しようという発想が、なかなか出てこなかったこと。そして、そういう友達もいないこと。自分の人生経験値の低さに呆れる。

二、三年前に、アッシー君だのミツグ君だのリープ君、いやキ

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第3話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第3話】

昼食時の大学の食堂では、それこそ人の数だけ会話が飛び交っている。

「波多野秋房さんの、『いつかの白昼夢』読んだ?」
「読んだ読んだ!泣けるよね。最後、主人公の女の子は、死んじゃってるのかな。それとも、生きているのかな。」

「なんかね、発売後にも改稿してるらしく、いろいろ加削があって、初版、第2版、第3版…それ以降とでは、それぞれちょっとずつ解釈が変わるって話だよ。
より新しいものこそが正史って

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第2話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第2話】

授業はいつもどおりつつがなく終わり、帰宅の準備をする。今日は私の誕生日らしい。42歳になっていたようだ。
お経のように定型句を唱え、機械のようにチョークで黒板を叩く変化のない暮らしは、年月の経過の認識をも曖昧にする。

大学の同級生と結婚し、非常勤とはいえ講師として働き、家も買った。上を見ればキリがないが、客観的に見れば、決して恵まれていないわけではない。しかし、言いようもなく満ち足りない。

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【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第1話】

【白昼夢の青写真 case1 二次創作 第1話】

神より才を賜った者は、いる。しかし、こんなに身近な場所にいるとは思わなかった。

学生にしてかなで新人賞受賞の栄誉に浴した傑物。今日はその彼の祝賀会に参加している。
彼の名は、波多野秋房。家は裕福らしく、その上これだけの才を持ちながらも、気取ったところがない。先輩、後輩からも人望厚く、彼を囲む人は一向に減らない。「あんな人、ゼミにいたっけ?」という女の子も何名かいるが、わけへだてることなく、談笑に

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