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うつわマガジン2017

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記事一覧

すくわれる料理、すくう器

すくわれる料理、すくう器

Cocciorinoの定番シリーズには「ミラノ釉」という乳白色の器がある。過日のヘッダー写真の酢の物と酒器は、そのシリーズでまとめてあったが、実は白ばかりのコーディネートはなかなかむつかしい。

実は『白の器』はハードルが高い。
「ていねい暮らし」「シンプル暮らし」「ヘルシーライフ」「スローまたはロハスライフ」というコトバつきで流行った『白い器』(パン景品ではなく)が最低数あればいいと提唱する

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探春パニーノなんちゃってレシピ

探春パニーノなんちゃってレシピ

いつも朝でかける近所の小川はそろそろ桜の園。近頃のスケジュールは「年度末ハンボウ」というわんぱくが襲いかかりすっかり逃げ腰だ。甲羅干しにでも行こうかな、そうだ忠雄さん伝授のヘッケさんのパンでパニーノをつくろうと思った。件のパンはオリーブオイルに浸したり、トマトソースパスタのお供にもなったが最後のひとかけ!

ルッコラが大好物。軟弱に育てられたそれよりも、茎のしっかりした特に苦いやつが好き。

嬉し

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ニヒルな笑みで Mr.ヘッケ・パンガスキー鍋

ニヒルな笑みで Mr.ヘッケ・パンガスキー鍋

先日の「パンガスキー鍋」はカンパーニュ生地であったため、勢いよくぷぅーとは膨らむ性格ではなかった。そのためミニ土鍋で焼いたが、第二弾は大きくいこうじゃないか。参考レシピは生地を60gずつ丸めるパンだが、ここは土鍋サイズで250gまるごとドンッ。(長文コラムあしからず)

ニヒルなミスターヘッケのレシピ第二弾は「Mr. ヘッケ・パンガスキー鍋」とでも命名しようか。忠雄さんの記事で興味をもったイタリア

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紅白まんじゅう的 素朴な記憶

紅白まんじゅう的 素朴な記憶

赤字、赤っ恥、真っ赤な嘘、赤裸々など「赤」がつく言葉にはネガティヴ要素が含まれることなどから「紅」と表記するらしい。プラス純白の「白」。めでたいお菓子といえば「紅白まんじゅう」。

楽天的で抽象的な「めでたさ」あってもなくてもどっちでもいいものなんだけど、卒業式などで手のひらに重量を感じる小さくて白い紙箱をもらうと、なんとなくうれしかった。

進学や将来に不満や不安を抱えて卒業する場合でも、「とに

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パンガスキー鍋

パンガスキー鍋

土鍋をつくり、つかい、たのしみ、デビューして早10年が過ぎようとしている。新アイテムをデビューさせるときは最低1年は試用する。土鍋こそ、その試用を慎重にしてきた作品で1年以上試用を重ねた。だからこそ、彼らには特段の愛情を添えて、手を変え品を変え、いろんなかたちで世の中デビューさせてあげているのだ。

今回は土鍋でカンパーニュを焼いちゃった。
炊飯はもちろん、さまざまな料理、世界の料理、そして直火で

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王様の耳はパンの耳

王様の耳はパンの耳

「ここだけの話ね」という言葉がなくとも、クローズドな意を示すおしゃべりへの感情は、知ったど!というワクワク感どころか、やり場のないモヤモヤが残るから苦手だ。しかもそのモヤモヤは普通の何倍も大きく広まるもので。穴を掘って告白しても、そこらじゅうに広まる。そんな大意を持つ「王様の耳はロバの耳」は、人に対する寛容さを説いた神話だ。

バレンタインディの日につくった王様ロールサンドの端っこ。薄切りパン

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トマトの出汁ジュレ

トマトの出汁ジュレ



「だしジル」ではなく「だしジュレ」

美味しいトマトが驚くほど安価な国イタリアで当たり前に極上を食べていたからか、日本のトマトはイマイチ~!なんて、引っ叩きたくなるような小言から正直に書き出そう。そんな人が東京で極上トマトに出会ったのだから。

ミラノ万博2015にて、日本館に出店した京懐石の料理長は、トマト出汁を使った創作和食を編みだしていた。昆布と同じグルタミン酸が含まれているトマト。旨味

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ぽろぽっろスープ

ぽろぽっろスープ

ラテン語の世界において、日本人は [R]の発音、つまりは巻き舌ができないのね、ぷぷぷかわいいと笑われる件。舌の長さなどが関係するのだろうが、幸か不幸か(できなくて不幸はない)わたしは困ることなく巻き舌が得意なので、かわいくない中途半端な日本人。

あっ!できなくて不幸はないと書いたが、「ネギ」ごときの、小さな不幸はよく聞く話だ。

Cocciorinoの器「土鍋(浅タイプ)」

イタリア語で「

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ふきのとう味噌パスタをつくろう!

ふきのとう味噌パスタをつくろう!

オペラ「蝶々夫人」の最終幕はなんとも切ない情景からクライマックスを迎える。待ち焦がれた「春」がやってきて、長崎の港に夫が乗っている軍艦が入港した。着物を整え夫の帰りを待つ蝶々夫人は裏切られていることをまだ知らない。(過去記事▶︎春を待つMadame Butterfly)

写真「蝶々夫人とふきのとう」

「ふきのとう味噌」をつくろう!

ふきのとうが雪の下から芽吹く。
「春」がやってきたのだ。ザク

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