永井孝尚

マーケティング戦略コンサルタント、ビジネス書著者。 主な著書はシリーズ60万部『100…

永井孝尚

マーケティング戦略コンサルタント、ビジネス書著者。 主な著書はシリーズ60万部『100円のコーラを1000円で売る方法』、10万部『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』。最新著は『なんでその価格で売れちゃうの?』 サイト http://takahisanagai.com

記事一覧

経験からの学びは、実は意外とアテにならない?

毎日餌をもらう七面鳥は「人間って、親切だなぁ。毎日餌をくれる」と思っています。しかし生後1000日経った感謝祭の前日、七面鳥は首を切られて焼き鳥になります。   …

永井孝尚
4年前
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Zoom朝活永井塾 「アル・ライズのポジショニング戦略、ブランド論、広告/PR論」

  7月8日は、月イチの朝活・永井塾。Zoomで行いました。 今回も全国からのご参加をいただき、有り難うございます。   テーマは「アル・ライズのポジショニング戦略、ブラ…

永井孝尚
4年前
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40年前にトフラーが予言していたコロナ後の世界

コロナで在宅ワークを続ける中で、今後どのようになるかを識者の方々が語っていますが、その指摘の多くは40年前にこの本で語られています。   「第三の波」(アルビン・ト…

永井孝尚
4年前
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電話で営業支援サービスを売り込む会社

弊社には、営業の電話が頻繁にかかってきます。 この日も、営業の電話がかかってきました。   「御社の営業をご支援します。私どもに新規顧客開拓のお手伝いをさせてくだ…

永井孝尚
4年前
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コロナ禍を成長に転じる企業

明日の夜は、日経クロストレンド読者限定のオンライン講演会。 「事業創造型マーケターの時代がやってくる」と題してお話しします。講演会ではこんなお話しをしたいと思っ…

永井孝尚
4年前
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商談オンライン化で、論客型セールスへのシフトが加速している

先週、ある企業様で法人セールス研修を行いました。 現場のB2Bセールスで活躍するリーダーが多く参加されました。   研修に先立って配信したオンデマンド講義で、こん…

永井孝尚
4年前
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この2〜3ヶ月間で、デジタルシフトは2〜3年分進んだが…

新型コロナでデジタル・シフトが一気に進んだことは、私たちが実感していることだと思います。 私の場合、昨年オンライン会議での打ち合わせは限定したお客様のみで、1年…

永井孝尚
4年前
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Zoom朝活永井塾を行いました

昨日6月3日は第40回の朝活・永井塾。今回はZoomで行いました。全国から大勢のご参加をいただきました。有り難うございます。   テーマは「サブスクとカスタマー・サクセス…

永井孝尚
4年前
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もはや顧客はコントロールできないという実験

マーケターが使っていた手法に「おとり効果」があります。 こんな実験があります。   被験者を2グループにわけ、Aグループにはカメラ2台(2万円と3万円)から1台を…

永井孝尚
4年前
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顧客目線が難しい理由

顧客目線に立つのは、本当に難しいですね。   顧客目線で徹底的に考え抜き顧客インタビューを何度も行って商品や広告メッセージを創り上げ、「これだけ考え抜いたから絶対…

永井孝尚
4年前
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朝活永井塾「サービス・イノベーション 〜 製造業のサービス化」

先週5月13日は、月イチの朝活永井塾。テーマは「サービス・イノベーション 〜 製造業のサービス化」でした。   多くのものづくり企業は「製品だけではあっという間にコモ…

永井孝尚
4年前
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製造コスト50ドルで1000ドル節約する商品。値付けは?

世界的な価格戦略の第一人者であるヘルマン・サイモンとハーバード・ビジネススクールのロバート・J・ドーラン教授は、名著「価格戦略論」の最終章で、日本企業の経営者と…

永井孝尚
4年前
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New York Timesは10年かけてサブスク・シフトした

一時期、こう言われていました。 「新聞業界は死ぬ。オンラインニュースは無料だ。現代人はコンテンツにお金を払わない」   現実には、2019年に日経電子版の購読数は70万…

永井孝尚
4年前
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成功の90%は適切な場所とタイミングに依存する

「ガラガラポンッ」という音を立てて世の中が急速に変化しています。マーケターはどうすべきなのでしょうか?   セオドア・レビットは「マーケティングの針路」と名付け…

永井孝尚
4年前
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人同士の関わりが高い価値を持つ世の中に変わっていく

新型コロナで、人と人の接触がすっかり少なくなりました。 この状況は続きそうです。   こんな中で、2007年に出版された「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMも…

永井孝尚
4年前
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今、生まれている無数の新規事業の種を掴む方法

新型コロナの影響で、多くのビジネスが止まっています。 一方で、こんな中でも新たな需要が次々と生まれています。   ごく一例ですが、在宅勤務の急増で、遠隔会議サービ…

永井孝尚
4年前
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経験からの学びは、実は意外とアテにならない?

経験からの学びは、実は意外とアテにならない?

毎日餌をもらう七面鳥は「人間って、親切だなぁ。毎日餌をくれる」と思っています。しかし生後1000日経った感謝祭の前日、七面鳥は首を切られて焼き鳥になります。
 
哲学者バートランド・ラッセルの作と言われている寓話です。
 
今日までの出来事で、ある程度は未来を予測できます。
しかし予測の正確さは、実際には思っているよりもやや少ないのです。そのちょっとした違いは、意外と大きな違いになります。
 

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Zoom朝活永井塾 「アル・ライズのポジショニング戦略、ブランド論、広告/PR論」

Zoom朝活永井塾 「アル・ライズのポジショニング戦略、ブランド論、広告/PR論」

 
7月8日は、月イチの朝活・永井塾。Zoomで行いました。
今回も全国からのご参加をいただき、有り難うございます。
 
テーマは「アル・ライズのポジショニング戦略、ブランド論、広告/PR論」でした。
 
「ポジショニング」はマーケティングの基本概念の1つです。
1969年にアル・ライズとジャック・トラウトが提唱しました。
彼らは、ポジショニングとは「消費者の脳内に、商品を位置づけること」であると

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40年前にトフラーが予言していたコロナ後の世界

40年前にトフラーが予言していたコロナ後の世界

コロナで在宅ワークを続ける中で、今後どのようになるかを識者の方々が語っていますが、その指摘の多くは40年前にこの本で語られています。
 
「第三の波」(アルビン・トフラー著、1980年出版)
 
トフラーは未来学者です。本書はインターネット普及の15年前に出版された本です。当時私は大学生。貪るように読みました。在宅ワークの未来については、第16章「エレクトロニクス住宅(コテージ)」で描かれています

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電話で営業支援サービスを売り込む会社

電話で営業支援サービスを売り込む会社

弊社には、営業の電話が頻繁にかかってきます。
この日も、営業の電話がかかってきました。
 
「御社の営業をご支援します。私どもに新規顧客開拓のお手伝いをさせてください」
 
前々からこのような営業の電話には興味があったので、勇気を出して尋ねてみました。
 
「あの、ちょっといいでしょうか?質問があるのですが…」
「はい?」
「御社では、普段はこんなスタイルで営業なさってるのでしょうか?」
「え?…

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コロナ禍を成長に転じる企業

コロナ禍を成長に転じる企業

明日の夜は、日経クロストレンド読者限定のオンライン講演会。
「事業創造型マーケターの時代がやってくる」と題してお話しします。講演会ではこんなお話しをしたいと思っています。もしよろしければ、ご意見をいただけると嬉しく思います。
 
新型コロナでしがらみが吹き飛び、新しいビジネスの種が生まれています。
こんな状況で、部下にこんなことを言うマネージャーもいるのではないでしょうか?
 
「この状況でどうす

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商談オンライン化で、論客型セールスへのシフトが加速している

商談オンライン化で、論客型セールスへのシフトが加速している

先週、ある企業様で法人セールス研修を行いました。
現場のB2Bセールスで活躍するリーダーが多く参加されました。
 
研修に先立って配信したオンデマンド講義で、こんな話をしました。
 
---(ここから)--
B2B営業の世界では、顧客の課題を理解して解決策を提供する「ソリューション営業」が主流でした。このソリューション営業はもはや限界です。
 
顧客の課題は様々。課題把握には時間も手間もかかるし、

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この2〜3ヶ月間で、デジタルシフトは2〜3年分進んだが…

この2〜3ヶ月間で、デジタルシフトは2〜3年分進んだが…

新型コロナでデジタル・シフトが一気に進んだことは、私たちが実感していることだと思います。
私の場合、昨年オンライン会議での打ち合わせは限定したお客様のみで、1年間で数回程度。
今年3月以降は、全ての打ち合わせが一気にオンラインに変わりました。
 
米マイクロソフトの4月29日決算発表でサティア・ナデラCEOも、「2年分のデジタル変革が2カ月で起きた」と述べています。
実際にMicrosoft Te

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Zoom朝活永井塾を行いました

Zoom朝活永井塾を行いました

昨日6月3日は第40回の朝活・永井塾。今回はZoomで行いました。全国から大勢のご参加をいただきました。有り難うございます。
 
テーマは「サブスクとカスタマー・サクセス」でした。今回は下記をテキストに使いながら、サブスクとカスタマーサクセスについて学んでいきました。
 
「カスタマーサクセス」 ニック・メータほか著
「サブスクリプション」 ティエン・ツォ著
 
今回は朝活永井塾としては、3ヶ月ぶ

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もはや顧客はコントロールできないという実験

もはや顧客はコントロールできないという実験

マーケターが使っていた手法に「おとり効果」があります。
こんな実験があります。
 
被験者を2グループにわけ、Aグループにはカメラ2台(2万円と3万円)から1台を、Bグループは1台(5万円)を追加し3台から1台を選ばせる実験をしました。
結果、Bの方が3万円のカメラに人気が集まりました。5万円のカメラがおとりになり、3万円のカメラに誘導した結果です。
 
この手法は実際の店舗でよく使われてきました

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顧客目線が難しい理由

顧客目線が難しい理由

顧客目線に立つのは、本当に難しいですね。
 
顧客目線で徹底的に考え抜き顧客インタビューを何度も行って商品や広告メッセージを創り上げ、「これだけ考え抜いたから絶対大丈夫」と思ったのに、顧客がまったく反応しない、ということは実によくあります。
 
「刺さる広告」(レックス・ブリッグス&グレッグ・スチュアート著)に、その理由を端的に述べている一文があります。
 
マーケターは家族や恋人と過ごすよりも自

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朝活永井塾「サービス・イノベーション 〜 製造業のサービス化」

朝活永井塾「サービス・イノベーション 〜 製造業のサービス化」

先週5月13日は、月イチの朝活永井塾。テーマは「サービス・イノベーション 〜 製造業のサービス化」でした。
 
多くのものづくり企業は「製品だけではあっという間にコモディティ化してしまう。もう限界だ」と考えています。しかし製造業はサービス化により大きく成長できます。
 
たとえばGEは、ジェットエンジンの稼働状況の監視サービスが大きなビジネスになっています。
AQUA(旧三洋電機)の洗濯機も、クラ

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製造コスト50ドルで1000ドル節約する商品。値付けは?

製造コスト50ドルで1000ドル節約する商品。値付けは?

世界的な価格戦略の第一人者であるヘルマン・サイモンとハーバード・ビジネススクールのロバート・J・ドーラン教授は、名著「価格戦略論」の最終章で、日本企業の経営者とのこんな経験を紹介しています。
 
1980年代後半、経営者セミナーの参加者に「製造コスト50ドルで顧客に1000ドルの節約を実現する製品に、いくらの値付けするか」という課題を与えました。
 
欧州経営者は600ドル、米国経営者は500ドル

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New York Timesは10年かけてサブスク・シフトした

New York Timesは10年かけてサブスク・シフトした

一時期、こう言われていました。
「新聞業界は死ぬ。オンラインニュースは無料だ。現代人はコンテンツにお金を払わない」
 
現実には、2019年に日経電子版の購読数は70万人を超えました。かく言う私も、数年前から日経は電子版で読んでいます。紙の新聞は嵩張るので配達は止めました。
 
考えてみれば「オンラインは無料、紙は有料」というのは変ですよね。
 
また無料オンラインニュースは広告で稼ぎますが、「広

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成功の90%は適切な場所とタイミングに依存する

成功の90%は適切な場所とタイミングに依存する

「ガラガラポンッ」という音を立てて世の中が急速に変化しています。マーケターはどうすべきなのでしょうか?
 
セオドア・レビットは「マーケティングの針路」と名付けられたハーバード・ビジネス・レビュー2001年11月号のインタビューで、次のように語っています。
 
—(以下、引用)—
「変化と対応こそ生存する唯一の方法」なのです。
「何をすべきか」の答えは、マネージャーの頭の中や社内に存在するのでは

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人同士の関わりが高い価値を持つ世の中に変わっていく

人同士の関わりが高い価値を持つ世の中に変わっていく

新型コロナで、人と人の接触がすっかり少なくなりました。
この状況は続きそうです。
 
こんな中で、2007年に出版された「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」を再読中です。
 
改めて思ったのは、人と人との関わりの大切さ。
 
スタバは広告を出しません。
広告を出すお金があれば、店舗で顧客がより心地よく過ごせることに投資したり、無料のテイスティングサービ

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今、生まれている無数の新規事業の種を掴む方法

今、生まれている無数の新規事業の種を掴む方法

新型コロナの影響で、多くのビジネスが止まっています。
一方で、こんな中でも新たな需要が次々と生まれています。
 
ごく一例ですが、在宅勤務の急増で、遠隔会議サービス、自宅の仕事環境グレードアップ、運動不足解消のための運動、といった需要が急拡大しています。
 
この需要の周辺で、たとえばリモートでエクササイズをレッスンしたり、Zoom活用の営業方法のコンサルティング、といった新規事業の種も生まれてい

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