井創灯

中年の遅筆な戯言。 主に地元である宮城県仙台市を舞台とした自作小説を小分けに投稿してい…

井創灯

中年の遅筆な戯言。 主に地元である宮城県仙台市を舞台とした自作小説を小分けに投稿しています。 更新は不定期ですが、文がお気に召した方はフォローを是非、よろしくお願いいたします。

マガジン

  • タンブルウィード

    ーあらすじー これは道草の物語。露木陽菜(ツユキヒナ)は地元山形を離れ、仙台に引っ越してきて三年目。自宅とアルバイト先を行き来するだけの淡々とした日々を過ごしていた。ある日、誤って自宅に届いた一通の手紙。陽菜を取り巻く少し面倒で不思議な人々との小さな出来事が、やがて陽菜の心の奥底にある光を呼び覚ましていく。  ○主な登場人物○ ■露木陽菜(ツユキ ヒナ) ■久保桃子(クボ トウコ) ■橘俊(タチバナ シュン) ■小峰まゆ

  • スケッチ

    仙台でカメラマンを夢見る男性、北多川悠(キタガワユウ)は彼女の江美と二人暮らしをしている。 ある日原因不明の病で北多川は視力を失う。 彼が辿る運命とは。 とある楽曲をベースに紡がれたオリジナル小説 ー主な登場人物ー ■北多川悠(キタガワ ユウ) ■江美(エミ) ■神谷修平(カミヤ シュウヘイ)

記事一覧

久々に朝走ってきた。
いつも犬散歩させてる爺ちゃんいた。

井創灯
9日前

僕がラインのプロフィールにリハビリを書いた理由

気まぐれやマイペースだと綴りながらも、ちゃんと自身の製作活動を継続し、日々自分から生まれる何かを着実に世に送り出している人がいる。 そんな人を目の前にして、僕は…

井創灯
11日前

週末に買い出しし常備菜を作る。
日曜に眠るとき、明日の朝弁当箱になにを詰めようか考えている自分が居る。
当日の朝、惣菜を詰めながら昼を楽しみにしている自分が居る。
自分で作り、自分で食べ、独りきりの職場で美味しい!いいじゃん!と心で叫ぶ。
誰かに食べてもらえる有り難みを知る。

井創灯
1か月前

すごいよなぁ。。保育園の時に初めて観て、今もうアラフォーだけど監督の作品を生で観ている。こんなにエネルギーに満ち満ちた人なのに死の匂いもちゃんとする。おそろしいひとだと思う。大好きだ。

井創灯
2か月前

当たり前だが季節柄暑い。本格的な夏まではいかないが湿気の強くじわじわと汗がでるような陰湿な感じが辛い。夜中に寝苦しくて目覚めると夏が来たなと思える。

井創灯
2か月前

出会い

最近の事を書こうと思う。 もっぱら自分語りになってしまい、なんのことなし。 ツイッターのつぶやきを長くしただけに他ならないが。 あぁ、、そうか。今はもうツイッター…

井創灯
6か月前
3

29

言葉がでないという感覚。目の前の風景に陽菜は茫然としていた。 変色した立ち入り禁止の立て札が隆起した泥の上に突き刺されている。 変わり果てたコラフは朽ち果てたまま…

井創灯
1年前
3

未完

先日、Twitterを眺めていると、あるツイートが目についた。 ※ 社会人として日々生活をしていて、文化的な感性や表現における熱意が徐々に削がれていく気がする。 なにか…

井創灯
1年前
3

28

地下鉄を降りて地上へ出る。 陽の落ちかけた歩道が一面茜色に染まっている。 通りを歩く人々の顔をなんとなく眺めて歩きながら、陽菜はあの雪の日の出来事を回想していた。…

井創灯
2年前
2

どうしようもなく惹かれる
その理由を探そうとしている

ぼくは
きみのことを
まだなにもしらないのに

どうしてなのだろう

井創灯
2年前
1

仙台では、いよいよ青葉祭りの準備が始まったようです。

仙台は勿論、青葉祭りも自小説にて描かせていただいております。
夏の仙台、今年は久しぶりの景色が見れます。。

https://note.com/sobayu_nomanai/n/n0e55b47f453c

井創灯
2年前
1

27

おつかれさまぁー。 ノックをすることなく事務所へ入ってきた女性は、溜息の入り混じった声で挨拶をする。 背後の気配に反射的に顔を向けると、先に休憩を始めていた陽菜…

井創灯
2年前
7

26

「昔から、、姉さんは俺達みたいな出来損ないを気にかけてくれていたんです。」 大男は喉の奥からしぼりだすような声で、低く丁寧な速度で言った。 「…ミカミネ!!」 途端…

井創灯
2年前
7

+1

明日はどんな日になるだろう。 十数年前、あなたと同じ年頃だった僕は、漠然としたそんな想いと共にこの年齢から一歩先へ踏み出した事を覚えている。 あなたがこの世に産…

井創灯
2年前
2

25

陽菜は雪のついた前髪を指先で払った。 「クボさん、なんでここにいるんだろう。」 路地での予想外の状況に思わず口から言葉がこぼれる。 陽菜にとってコラフの前でクボを見…

井創灯
2年前
1

遠く、山の向こうで鳥の鳴き声が聴こえた気がした。 阿久津は、閉じていた瞼を開き、眼前に広がる広大な夜の闇を見つめる。 「ほんまに、、勿体ない場所やな。」 陽の出て…

井創灯
2年前
4

久々に朝走ってきた。
いつも犬散歩させてる爺ちゃんいた。

僕がラインのプロフィールにリハビリを書いた理由

気まぐれやマイペースだと綴りながらも、ちゃんと自身の製作活動を継続し、日々自分から生まれる何かを着実に世に送り出している人がいる。

そんな人を目の前にして、僕は何を語れるのだろう。

めちゃくちゃやるきもらってます。。
ウェブ売店も然り数十年前に停止したアパレルもやってみようかなという気にさせていただきました。

あなたの存在は、確実に誰かの希望や救いになっています。

週末に買い出しし常備菜を作る。
日曜に眠るとき、明日の朝弁当箱になにを詰めようか考えている自分が居る。
当日の朝、惣菜を詰めながら昼を楽しみにしている自分が居る。
自分で作り、自分で食べ、独りきりの職場で美味しい!いいじゃん!と心で叫ぶ。
誰かに食べてもらえる有り難みを知る。

すごいよなぁ。。保育園の時に初めて観て、今もうアラフォーだけど監督の作品を生で観ている。こんなにエネルギーに満ち満ちた人なのに死の匂いもちゃんとする。おそろしいひとだと思う。大好きだ。

当たり前だが季節柄暑い。本格的な夏まではいかないが湿気の強くじわじわと汗がでるような陰湿な感じが辛い。夜中に寝苦しくて目覚めると夏が来たなと思える。

出会い

出会い

最近の事を書こうと思う。

もっぱら自分語りになってしまい、なんのことなし。
ツイッターのつぶやきを長くしただけに他ならないが。
あぁ、、そうか。今はもうツイッターっていうのも死んだ言葉か。。

僕はバンドサウンドを聴かない。
おい、なんだ、急に。急に宣言か。
嫌いとかネガティヴな意味ではなくて、なんとなく聴かないのだ。

とはいえ、中学時代に初めて購入したCDは175Rさんだったし
はじめて覚え

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29

29

言葉がでないという感覚。目の前の風景に陽菜は茫然としていた。
変色した立ち入り禁止の立て札が隆起した泥の上に突き刺されている。
変わり果てたコラフは朽ち果てたままで目の前に立っていた。
記憶の中で最後に観た時よりも何処となく小さく縮んでしまったように思う。
小さく深呼吸をすると燃えた木々の匂いが未だに漂ってくるようだった。
通りを歩く人々の中、陽菜以外立ち止まる人は誰もいない。この場所にこの風景は

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未完

未完

先日、Twitterを眺めていると、あるツイートが目についた。



社会人として日々生活をしていて、文化的な感性や表現における熱意が徐々に削がれていく気がする。
なにか作品として残したくとも一日を終えて疲れて帰宅すると、もうスマホゲームをするくらいしか意識が向かない。
我々は給料と引き換えにそうしたものも犠牲にしている。



当人のツイートを引用して載せる事は控えるが、内容としては確かこん

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28

28

地下鉄を降りて地上へ出る。
陽の落ちかけた歩道が一面茜色に染まっている。
通りを歩く人々の顔をなんとなく眺めて歩きながら、陽菜はあの雪の日の出来事を回想していた。
かじかんで真っ赤になった指先。
頭や肩に薄く積もって溶けた冷ややかな雪の感触。
白い息。夜の闇。

書き上げていた小説は、クボさんとミカミネさんの一件ですっかり頭から抜けてしまい結局お店に置いたまま、あの火事で焼けてしまった。

コラフ

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どうしようもなく惹かれる
その理由を探そうとしている

ぼくは
きみのことを
まだなにもしらないのに

どうしてなのだろう

仙台では、いよいよ青葉祭りの準備が始まったようです。

仙台は勿論、青葉祭りも自小説にて描かせていただいております。
夏の仙台、今年は久しぶりの景色が見れます。。

https://note.com/sobayu_nomanai/n/n0e55b47f453c

27

27

おつかれさまぁー。

ノックをすることなく事務所へ入ってきた女性は、溜息の入り混じった声で挨拶をする。
背後の気配に反射的に顔を向けると、先に休憩を始めていた陽菜は、テーブル上におもむろに広げていた荷物を手早く目の前にまとめた。
おふかれふぁまれふ・・・
残り一口にしては大きすぎたサンドイッチを咄嗟に口へ詰め込んだために、不恰好な挨拶を返してしまった。
両腕をぶらぶらとさせて気だるげに歩く彼女は陽

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26

26

「昔から、、姉さんは俺達みたいな出来損ないを気にかけてくれていたんです。」
大男は喉の奥からしぼりだすような声で、低く丁寧な速度で言った。
「…ミカミネ!!」
途端に黙っていたクボが口を開き、目を見開いて隣の大男を睨み付ける。
突飛な声に陽菜とタチバナくんは一瞬体を強張らせた。
ミカミネ。。男はそういう名前らしかった。
彼は一度軽くクボと目を合わせてから小さく頭を下げて見せた。
鉄砲を構えられて命

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+1

+1

明日はどんな日になるだろう。

十数年前、あなたと同じ年頃だった僕は、漠然としたそんな想いと共にこの年齢から一歩先へ踏み出した事を覚えている。

あなたがこの世に産まれた事を祝福すると同時に、様々な偶然が織りなす奇跡の、悪戯な巡り合わせのその先に、出逢いがあって、知り合えた事に改めて感謝をしています。

ありがとうございます。

あなたの生きるこの時代は本当に受難の(不適切な使い方だったらすみませ

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陽菜は雪のついた前髪を指先で払った。
「クボさん、なんでここにいるんだろう。」
路地での予想外の状況に思わず口から言葉がこぼれる。
陽菜にとってコラフの前でクボを見かける状況というのは実に珍しかった。仕事の時以外、つまりここでは陽菜の様に何かしら別の用があった場合、クボはコラフにプライベートで立ち寄る事は一度も無かったからだ。
自らがシフトに組まれていない時に野暮で立ち寄ったという話も店長やタチバ

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☠

遠く、山の向こうで鳥の鳴き声が聴こえた気がした。
阿久津は、閉じていた瞼を開き、眼前に広がる広大な夜の闇を見つめる。
「ほんまに、、勿体ない場所やな。」
陽の出ている時間であれば、ここからはきっと素晴らしい眺望なのだろう。
黒一色の中で濃淡が別れた境界線をなぞると、雑木林の隙間からなだらかな丘陵がぼんやりと見えてくる。
「この場所にこんなもん作ったんが間違いや。」
目の前の風景と自分とを隔てている

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