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人生のマジックアワー、綺麗だなんて言わないで

人生のマジックアワー、綺麗だなんて言わないで

はじめて“マジックアワー”という言葉を知ったのは、新入社員の4月、入社前から仲良かったグループでエアビーで深夜に『明け方の若者たち』を観た時だった。

今思えば、よくあの映画をキラキラの新入社員たちで観たなと思うのだけど、そんなことも出来てしまったのも、無謀で無敵だったあの頃の私たちだったなぁと思う。
7人グループのうち2人が、3年目を迎えたタイミングで転職しました。

正直この映画は苦手だった。

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本当に大切なものを大切にすること

先日、初めて長野県の伊那市というところに行ってきた。
きっかけは、コロナ渦の時に毎朝zoomをしていた人たちと約3年ぶりに話したことだった。
3年の時が経つと、みんなの環境はあの時と大きく変わっていてそれぞれの道を歩んでいた。博士に進んだ人、野菜の卸業をやっている人、車の大手企業に入った人。それぞれの道でそれぞれの人生を歩んでいた。
その中でも、鏡平くんという人が私の今の暮らしのもやもやの晴れさせ

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何も綺麗じゃない

何も綺麗じゃない

旅には予期せぬことが起きる。

例えば、
出国8時間前まで小樽でカラオケをして大寝坊をかますとか、
下着を買ったつもりがビキニを買っていたとか、
税関通るまでに何故か1時間半かかっちゃって近くにいた人たちに慰められるとか、
韓国の電車3回以上乗り間違えてパニック起こしまくるとか、
空港で気づいたら8時間くらい寝てるとか、
謎のプライドで10キロ背負って21キロ歩いちゃうとか、、、

予期せぬことが

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朝はいつだって過不足なく満ちている

朝はいつだって過不足なく満ちている

春が近いと感じる。まだまだ寒いけれど快晴の日に当たる陽の温かさとか柔らかさとか、外から聞こえる自然の音とか。

目を閉じると草木が揺れる音がもうすぐそこに聞こえてくるような気がする。目を開ける時自然と口角が上がる。

冬は外がとても静かだし陽が沈むのが早い。けれど雪が降りよく積もった日は、手元や足元が電灯なしでもよく見えるほど明るい。それがものすごく好き。

朝起きて、温もりを溜め込んだベッドから

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こんな私でもいいですか?

こんな私でもいいですか?

拝啓。
お母様、お父様

私はこんな人間に育ってしまいました。

熊本県出身、大学で岡山へ行き、1年間はニュージーランドへ留学。新卒で岐阜県の店舗へ配属。一年半で仕事を辞め東京へ。

転々とするのが好きみたいです。
自由奔放だと言われます。

幼い頃からバドミントンをしていました。水泳もしてました。スポーツは大抵出来てしまう人生でした。

勉強は努力を死ぬ思いで重ねてやっと人並みに。平均点を頑張っ

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クレイジーに配色を

クレイジーに配色を

東京に来て5ヶ月目に突入しようとする月。

個性あふれるカラーリングを身に纏った青年たちで、今日も溢れかえるトウキョウ

彼女は言葉を発することなく、その画面を私に見せてきた。

それが私たちの出会いだったみたいだね。

下北沢のゴミだめのような喫煙所にいた彼女はSNSからそのまま飛び出してきたような子だった。

初めて2人で遊んだのは渋谷のワンカン

緑ハイ片手に20%オフのイワシの唐揚げ、ウィ

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どうか優しいままでいて

どうか優しいままでいて

高校生だったとき、日直のたびに回ってくる学級日誌に文章を書くのを楽しみにしていた。

特に2年生のときは、毎回ふわっとした内容のよく分からない文章を書くことを意識していた。掴みどころのない感じ。空を泳ぐような、なにか遠い世界を空想しているような。

それは、私のページを読んでくれるかもしれないクラスメイトたちに「この人はよく分からないな」「変な人だな」という印象を与えたいという、すごく純粋な気持ち

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記憶が消えてもおぼえてる

記憶が消えてもおぼえてる

パリから帰ってきてからの2ヶ月間、1日たりともパリを思い出さなかった日はない。

その街並みがまぶたの裏に浮かんでくることもあれば、胸がギュッとなるように "その時" の感情が思い出されることもある。

大学生活に追われてとも言えるし、心の故郷に思いを馳せ始めるとキリがないから ”あえて” とも言えるけれど、確実に写真を見返すような時間は少なくなっている。

だけどいつだって、パソコンを開けばオル

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きっとまた、会いに行くからね。

きっとまた、会いに行くからね。

今朝、散歩が終わったあと、私の帰国を惜しむかのように雨が降った。

その後、授業が終わる少し前、窓から光が差し込み始め、私の最後を彩ろうと言うかのようにいつのまにか晴れていた。

明日 23日の朝8:30、寮に送迎タクシーが来てシャルル・ド・ゴール空港へ向かう。12時間のフライトで香港を経て、24日に成田へ帰る。

"憧れたちのほんもの"に心躍らせて、誰もが知る有名な場所を毎日歩き回った1週目。

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憧れで終わらせなくて、よかった。

憧れで終わらせなくて、よかった。

パリに来て、もうすぐ2週間。

毎日、どこに行こう、何をしよう、何を買おう、しか考えていない。ここにきてからの1日は、日本の日常の1週間分くらいの濃さをしている。

話したいこと、伝えたいこと、知ってほしいことが、たくさんある。

だけどまずは、今しか書けないことを。

***

物心ついた頃から私の夢の国はディズニーランドではなく、パリだった。

パリはきっと、とにかくおしゃれで、華やかで、美し

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夢の続きからみる景色

夢の続きからみる景色

パリに来てから 時間 を気にしなくなった。

日本にいるときは、夜遅くなれば親がうるさいから、どれだけ遅くなっても許してもらえるゼミの飲み会を除いて帰る時間が遅くならないかどうか、いつも怯えていた。

朝は乗る電車の時間に間に合うように起き、朝ごはんを食べ、化粧をし、家を出る。なんとしても乗りたい電車の時間に間に合うよう、間に合わなさそうなときは愛用のチャリをかっ飛ばし、歩くときは全力で走っていた

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