青葉

文学を学んでいた23歳の日々

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文学を学んでいた23歳の日々

マガジン

  • 花摘み

    ふわふわ、ぴかぴか、しゃりしゃり

  • ひとりごと

  • アンソロジー

    目次がついている、たっぷりめの記事のまとめ

  • 彼、もしくは彼女について

    うつくしく、たくましいひとびと

  • 遠距離物語

    4年間の遠距離恋愛を終えた、私と恋人のこと

最近の記事

  • 固定された記事

私のばかりじゃなく、みなさんのお話もお聞きしたいな、と思ってマシュマロをくっつけてみました。いつでもひらいていますから、もしよければお話きかせてください。どんなささやかなことでも。 人生はビスケットの缶だと思えばいいのよ🌱 https://marshmallow-qa.com/strawberry_moon?utm_medium=url_text&utm_source=promotion

    • つめたい水

      朝目覚めたらコップ一杯の水を飲みなさい、そこから1日を始めなさい、というのは父の教えのようなもので、それは結局のところは父の母、すなわち私の祖母の教えなのだった。 毎朝きちんと水を飲んで、体内に新しくきれいな血液をめぐらせなさい、と。 私は昔から、こうした血液にまつわるイメージがかなり好きで、たとえば母は玉ねぎをつかった料理を出すたびに必ず「玉ねぎを食べたら血液がさらさらになるよ」と言ったものだけど、私はその言葉を聞くたびに、玉ねぎを食べたあとさらさらになり、小川のように

      • 太陽と月

        夕陽が海に沈んでいくのを眺めて、地球の自転速度というものが存外速いことを知る。 そんな少女時代だった。 日本海側で育った私にとって、太陽とは山から昇り、海へ沈むものだった。家のありとあらゆる窓から海を見ることができる環境にあったから、夕方に海の底へと沈んでいく太陽を肉眼でじっと見つめるのは幼いころから好きだった気がする。 さびしいから夕方は苦手だ、というひとも結構いると聞くけれど、私は夕方が好きだ。 そしてそれはおそらく、私が夕方の太陽と海、そして夕焼け空を愛している

        • さびしいことには慣れているのに、さびしくさせることには慣れていない。あなたをさびしくさせてしまったことがかなしい

        • 固定された記事

        私のばかりじゃなく、みなさんのお話もお聞きしたいな、と思ってマシュマロをくっつけてみました。いつでもひらいていますから、もしよければお話きかせてください。どんなささやかなことでも。 人生はビスケットの缶だと思えばいいのよ🌱 https://marshmallow-qa.com/strawberry_moon?utm_medium=url_text&utm_source=promotion

        • つめたい水

        • 太陽と月

        • さびしいことには慣れているのに、さびしくさせることには慣れていない。あなたをさびしくさせてしまったことがかなしい

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        記事

          夏の終わりの王国

          もう夏至だ、太陽の時代だ!とうきうきしたのはついこの前なのに、気づいたら暦の上ではもう立秋を過ぎている。 なんてびっくりなんだと思いながら、去年も同じことを言っていた気がするし、きっと来年も同じことを言っているのだろう。 夏も終わりが近い。 そういえば川上弘美さんの小説『ニシノユキヒコの恋と冒険』には、「夏の終わりの王国」という章があって、そこに以下のような会話がある。 この文章は最初、Xのアカウントでひそやかにフォローしている、ひとひら言葉帳という名前のアカウントで

          夏の終わりの王国

          ミルキーな魔法

          夕方は好き。魔法のような時間だから。夜はあんまり得意じゃないけど、夕ぐれはすこし先回りして、夜がくることをそっと私に教えてくれる。いつもそう。 このまえも夕ぐれがうつくしかったから写真を撮って、その写真を見ながらなにかnoteを書きたいと思って、タイトルを考えていたら、ミルキーという言葉を思いついた。 それで思い出したことを書いてみる。 小学生のころ、たぶん4年生のときだったけど、授業で川へあそびに行った。よく晴れた夏の日で、クラスのみんなで水に入って遊んだあと、木陰で

          ミルキーな魔法

          まぶたにさす陽

          なにを希望として、なにを絶望とするのか、それは私たちひとりひとりに委ねられていて、そのことにできるだけ希望を見出したい、と思う。 くたびれてものも考えられないとき、そんな気もなく今までこつこつと集めてきた、星屑みたいな記憶のかけらや、愛しい誰かとの関係性や、おまもりみたいな大切なものたちにすこしでも救われるのであれば、私たちの日々は、ほんのすこしだけやさしさに満ちたものになる。 がんばっているひとに「がんばれ」って言うことがそのひとを孤独へと追い込むように、いますごく疲れ

          まぶたにさす陽

          砂糖がとける温度

          高校最後の9月、学校帰りにふたりで縁日の屋台に寄ってクレープを食べたあと、「これ記念にとっててくれてもいいよ」と私が手渡したクレープの包み紙を、恋人は今でも持っているらしい。 彼は私とはちがって、形をとっている何かには全く無頓着な男の子だ。クレープの包み紙など、すぐぐしゃぐしゃにして捨ててしまうようなタイプなのだ。 たとえばデートで一緒に見た映画の半券とか、贈りものの包装についていたリボンとか、そういうものに対して彼はおそらく興味が全くない。 恋人にとっては私と時間を過

          砂糖がとける温度

          濡れた髪、シャンプーの香り

          このまえ恋人の実家に泊まりに行った。 ごはんを食べてお風呂を借り、夜遅く、そろそろ寝るかあ、となって彼とともにベッドに横たわったとき、彼が私をぎゅうっと抱きしめて髪の匂いをかぎ、「シャンプーの匂いがする」と眠そうな声で言った。 シャンプーのにおいなど、お風呂上がりに一緒にいるときにはいつもしているだろうに、わざわざ彼が言葉にしたのがおもしろく、すこしうれしくて、「男の子というのは、やっぱり女の子からシャンプーのいい匂いがするとうれしいものなの?」と尋ねた。 恋人は私を抱

          濡れた髪、シャンプーの香り

          7月の微熱

          ものすごく眠いときと発熱時の感覚はよく似ていて、いまだにまちがえてしまう。 まちがえてしまうというのはつまり、発熱を眠気と勘違いしてしまうということで、それとは反対に眠気を発熱とまちがえることはほぼない。なぜだろう、不思議だ。 昨日もそのパターンで、なんだかやたら眠たいな…と思って昼寝をしたら余計身体がつらくなり、夕方ごろにかすかに関節の痛みを感じたので「これはきたぞ」と確信して体温計で熱をはかると37.9度の熱があり、びっくりした。 ごはんは食べられそうだったからもぐ

          7月の微熱

          midsummer

          きらきらと透きとおっている夏の青空をたたき割ったら、空の一部が琥珀糖みたいにばらばらと落ちてくるのではないかと、そんなことばかり夢想している。 割れて穴が開いてしまった部分には適当に、溶けた飴か何かを流し込んでおけば、何もなかったことになってしまうのではないかしら。空が割れたことさえ。 中学生のころだったか高校生のころだったか忘れてしまったけど、「星屑と太陽」というタイトルの短い物語を書いたことがある。「僕らの街には太陽が出ません」という文章から始まる、500字程度の短い

          言葉の標本、もろくてきれい

          春ごろから、今まで書いてきたnoteの記事を少しずつプリントアウトしている。 数年間にわたって書いてきた、140ほどの記事をわざわざプリントアウトした理由のひとつは、電子データのみではなく形あるものに文字を印字して残すのもいいなと思ったから。 もうひとつは、単に自分が書いてきたものを紙媒体で読み直したくなったから。 そしてプリントアウトするのに加え、私は自分の書いてきたnoteのタイトルとそれを投稿した日付、時間をノートに書き写している。 プリントアウトしているのにも

          言葉の標本、もろくてきれい

          アウトサイダー

          アウトサイダーという言葉を耳にするたび、しゅわしゅわと泡の弾ける炭酸飲料を連想しちゃう。 しかしそれは、完璧に後半の「サイダー」という部分に引っ張られているからであって、アウトサイダーという言葉本来の意味は、きっとあのさわやかな炭酸飲料とは何の関係もないのだろう。 そんなことを考えてつけた今回のnoteのタイトルにたいした意味はない。 語感がいいのと、使おうと決めていた空の写真との相性がいいのと、サイダーという部分が夏っぽいんじゃないかな、くらいのいい加減さ。けれど、夏

          アウトサイダー

          眠れない羊たちの沈黙

          「今夜は頭がいたい」という歌詞から始まり、サビで「眠れない、無理に寝ない…」と歌っている曲を聴いてから寝てるんだよねと、数ヶ月前に妹が言っていた。 その当時、無自覚ではあったけれども、おそらく卒論執筆によるストレスのために一時的な不眠症になっていた私も、眠れない夜にその曲を聴いてみた。 けれどやっぱりなぜだかどうしても眠れなくて、夜中の3時ごろまで起きていた。 夜の10時以降に何かの返信をしたりすると「なんでこんな時間まで起きてるの?」「何かあったのか?」と心配されるほ

          眠れない羊たちの沈黙

          蝶々忌

          蝶がふわふわひらひらと飛んでくると、あの蝶には誰が乗っているのだろうか、と考えてしまう。 同じように、風の入らないような場所でろうそくの火が強く揺らめいたときも「ああ、いま誰か来ているのだな」と思うけれど、これは火の話になるので別のときにする。 死者の魂は、蝶や鳥のように空を飛ぶかろやかなものに乗ってくるのだと、幼いころ母が教えてくれた。 大学生になり、4年間かけて学んだ文学の世界においても、どうやらそれは同じらしい。 実際に私が卒論で扱った小説では、鳥というモチーフ

          ターコイズブルーの空

          まえがき こんにちは!青葉です。みなさんお元気にしておられますか? 5月末からお山へ行っていたけれど、いったんおうちに戻ってきました。なつやすみです。電子機器を使えない日々だったので、携帯やパソコン、テレビが不思議なものに思えて、なんだかすこしおもしろいです。 また時間のあるときに、この2カ月弱のことについて書こうと思う。けれど非常に難しいことに、私が高野山で経験してきたこと、やってきたことには、書けることと書けないことがあります。 他者に言っても大丈夫なことと、言っ

          ターコイズブルーの空