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本の紹介

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学びのあった本を紹介します。
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#脳科学

情報と賢くつきあう~脳のバグを知る~

情報と賢くつきあう~脳のバグを知る~

 一見もっともらしいレビュー情報に騙されて不要なものを買ってしまって後悔したり、権威のあるとされている学者や大学教授の発言を鵜吞みにして信じてしまったり、としたことは誰でもあるだろう。

本書「脳の闇」(著/中野信子)は、そんな人間の認知に関する脳の”バグ”により自覚的でありたいと願う人、情報に翻弄されたくない、しっかり自分の判断の軸を持ちたいと思う人にとってヒントとなる本だと思う。

 AIがど

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感情/情動がどのようにつくられるか

感情/情動がどのようにつくられるか

  ①自分の感情がどのように発露し、それを自分は認識しているのか、②どのようにしたらそれをうまくコントロールできるだろうか。自分の感情をコントロールできたらどんなにいいだろうと思ったことは、誰でも一度はあるのではないだろうか。

 脳科学的な見地からこれらの疑問に迫るのが、本書「情動はこうしてつくられる」だ。著者のリサ・フェルドマン・バレットさんは、ノースイースタン大学の心理学教授であり、感情科学

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脳はものの見方で変化する③

脳はものの見方で変化する③

前々回、前回の続き。本「脳はものの見方で変化する」より。

人間の脳は、興奮と抑制の間でバランスを保っている。脳はこのバランスのおかげで反応する能力を最大限に発揮できるのだ。抑制が強すぎると刺激が伝わらないだろうし、刺激が強すぎると痙攣のような発作を起こすだろう。

 バランスを保つことで、刺激に対する適切な準備をすることができる。どんな環境であっても、不確実な文脈における変化に反応できる。だから

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全ては、自分の"思い込み"である

全ては、自分の"思い込み"である

 前回の続き。いかに、我々は物事を「知覚」しているか。どのように自身の脳で捉えて、認識・解釈しているのか。そして、それは正しいのか。正しいって何なのか。

 どうせ人生を生きるならば良い結果がほしいし、理想や目標を掲げ、それが達成するよう、1日に1mmずつでも進歩したい。自分自身の思い込みによって結果が変わるとするならば、その思い込みを変えていきたいと思うのは、自然な事。自身の思い込みを変えて、望

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【本紹介】ものの見方を変える

【本紹介】ものの見方を変える

「脳は、ものの見方で進化する」。そのタイトル通りの本。

  アマゾンで評価が高くないけれども、自分にとって気づきが多い本と出会うと、なんだか嬉しくなる。それぞれの人にとって「良書」は異なる。①読者が持っている前提知識、②"今"、その本に求めているもの、③著者との対話力、すべてが異なるからだ。つまり、今の自分にとって学びがあると感じるものに出会えて、嬉しく思ってるという事なのだと思う。

 読書録

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自分の「石」を磨き続ける

自分の「石」を磨き続ける

 年末年始。昨年を振り返る。読んだ本、書いたメモ、手帳、仕事のノート。平穏な心で振り返りをしないと、同じような間違いを繰り返す。コロナで空いた時間で自分がやり始めたのが、日英同時読書。和訳版がある英語原著を日英共に買って読み始める。子育て中という事もあり、昨年はこの一冊から始めた。そして、再び読み返してみて、新たな気づきもあった。

 自分に合ったやり方、学び方を知る事はとても大切だ。それがわかれ

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ドーパミンを学んで人生を好転させる

ドーパミンを学んで人生を好転させる

 自分の「○○したい、○○になりたい」という欲求を、いかにしたら前向きな方向で行動に移せていけるだろうか。目標達成までやり続けられるだろうか。○○のような状態になりたいと思って何かを始めても、長続きしない、どうしてだろうと感じた事は、誰にでもあると思う。その理由を、一歩深めて考えてみるためのヒントが本書にはある。やる気と脳のしくみ、欲求(desire)が行動に繋がる仕組みを、脳科学の見地から、深く

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【本紹介】Brain 一流の頭脳④

【本紹介】Brain 一流の頭脳④

前回の続き。

今回のポイントは、ずばり「運動こそがすべて!」。

これでもかと言うほどに、著者のアンダース・ハンセン医師は強調する。もちろん、運動だけしていればいいという意味ではなく、身体を動かして心拍数を上げる事により、集中力が高まりやすくなり、勉強の効果が上がりやすくなるという意味だ。机に向かう時間は、十分に確保しなければならない。

現在の社会は、脳の進化の速度をはるかに凌ぐ速さで変化して

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【村上春樹】走ることについて語るときに僕の語ること

【村上春樹】走ることについて語るときに僕の語ること

 自己啓発なら、この一冊で十分。そんなある書評を読んだが、確かにそうかもしれない。運動が脳(特に創作活動)に与える影響について、小説家のことばにヒントがあるかもしれないと思い、本書を購入したが、思いの外、自分との向き合い方について、示唆を与えてくれる文章だった。

 ご本人も語られているように、小説家が、自らの私的な部分を開示することはあまりない。しかし本書はランニングという、村上さんの半生におい

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【本紹介】Brain Driven②ストレスとの向き合い方

【本紹介】Brain Driven②ストレスとの向き合い方

前回の続きです。

自分を守るためにも、"自分はどんな状況でどんなストレスを受けると、過剰なストレス反応が出るか"は、知っておいた方がいい。

過剰なストレスを感じる→前頭前皮質のdlPFCが働かなくなり、正常な判断力を失う(現実性の把握、エラー検知機能をモニタリングする機能が停止)

慢性的なストレスは、脳によくない

慢性的なストレス→コルチゾールが出続ける→海馬に悪影響で細胞を委縮させる(論

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【本紹介】Brain 一流の頭脳③

【本紹介】Brain 一流の頭脳③

・創造性の作り方 (前回の記事はこちら)

スタンフォード大学の研究チームが176名の被験者を対象に、創造性を測る数種類のテストを行った。屋内や屋外で歩いたり、座って体を休めたりといった様々な条件下で、被験者にテストを受けさせた。(実験のタイトルは、「アイディアを働かせよ、創造的思考におけるウォーキングの効能」)

新しいアイディアを出す能力において、歩きながらテストを受けた被験者の成績は、歩かず

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【本紹介】Brain 一流の頭脳①

【本紹介】Brain 一流の頭脳①

 本書の著者は、スウェーデンの精神科医Anders Hansen氏。ノーベル生理学・医学賞の選考委員会がある名門カロリンスカ研究所にて医学を、ストックホルム商科大学でMBA(経営学修士)を取得修めている。本書は、一般読者を対象に、極めて平易な文章で書かれているが、記述の裏づけ(参考文献、参考研究)はしっかりしており、何の論拠もない自己啓発本ではない事を最初にお断りしたい。論拠を深く知りたい場合には

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【本紹介】Brain Driven ①モチベーションの高め方

【本紹介】Brain Driven ①モチベーションの高め方

 やる気が起きない、続かない。そんな悩みを持つ人は多いだろう。やらなければならないとわかっているのに手がつかず、後回しになってしまい、いつの間にか継続できなくなっている。そんな自分を変えたいと思っているが、変え方がわからない。そんな人には、本書「Brain Driven」(青砥瑞人著)がオススメだ。巷に溢れているHow to本ではなく、脳の専門家である著者が、脳神経科学に基づいた知見を私たちに共有

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【本紹介】How to create a mind (レイ・カーツワイル 著)

【本紹介】How to create a mind (レイ・カーツワイル 著)

 シンギュラリティが2045年に訪れると1980年台から提唱をしている、レイ・カーツワイル氏。2005年に発表された著書「 Singularity is near」 (和訳版はこちら)は、記憶に新しい。

 今もその考えは、多くの人に影響を与えている。若い頃からその才能を発揮してきた氏は、(その人生で初めて従業員として)Googleで働き始めた事や、シンギュラリティ大学の創設のニュース等で、ご存じ

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