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【本紹介】Brain 一流の頭脳③

・創造性の作り方 (前回の記事はこちら)

スタンフォード大学の研究チームが176名の被験者を対象に、創造性を測る数種類のテストを行った。屋内や屋外で歩いたり、座って体を休めたりといった様々な条件下で、被験者にテストを受けさせた。(実験のタイトルは、「アイディアを働かせよ、創造的思考におけるウォーキングの効能」)
新しいアイディアを出す能力において、歩きながらテストを受けた被験者の成績は、歩かずに受けた被験者をおおむね60%も引き離していた。

・発散的思考には上記のような明確な効果があったが、収束的思考(正しい回答や共通点を探す能力)は上がらなかった。

・創造性が増すのに、歩いた場所は関係なかった。トレッドミルの上を走っても、キャンパスの芝生の上を走っても、同じ効果が得られた。

・車椅子で動いたものはあまり効果がなかった。実際に自分の身体を動かすことによって、新しいアイディアをひらめく力が強化されたといえる。

断定はできないが、創造性を持つためにはウォーキングよりもランニングが、もしくは、それと同じような活動により効果があると言われている。体にある程度の負荷がかかる方が、創造性において効果が高いのだ。少なくとも30分は取り組む必要がある。創造性は主に運動の後に高まる。創造性が高まる効果は、あくまで短時間だ。想像力の上昇は、1時間から数時間でその後は徐々に消えていく。もう一度インスピレーションを得たければ、また歩くか走るかするほかないだろう。
あの村上春樹も日常的にランニングをしている。(朝4時起床10時まで執筆。その後10キロ走り、水泳を行う。その後読書や音楽を聴いて過ごし夜9時には就寝する) ランニングの効用については、彼の著作「走ることについて語るときに僕の語ること」を参考に。
 運動をがんばりすぎた被験者は、その後の創造性のテストで、成績が著しくなかった。運動をするとら脳に流れ込む血液が増える。それによって脳の働きが促進され、認知能力も向上する。ただ、疲れるほど運動をすると、脳の血流量は、逆に減る。血液が脳から筋肉へと流れを変えるためだ。筋肉が最大限の力を発揮するためには、その筋肉により多くの血液が必要になる。
脳に生まれたアイディアを視床のフィルターに通してそれを生かすという重要な働きを担う部位は、前頭葉だといわれる。前頭葉は運動によって強化できる。運動するとすぐに前頭葉の血流量が増えて機能が向上する。
運動やトレーニングをすると、アイディアを生かす力が高まるだけでなく、アイディアそのものが溢れ出るようになると考えられる。

 スティーブ・ジョブズがよく歩きながら打ち合わせをしていたという話を聴いたことがある人は多いかもしれない。また、運動後にシャワー浴びている時、お風呂に入っている時にアイディアが浮んだという経験をしたことがある人もいるだろう。

 上記のように自らの身体を動かすことは、脳にとって極めて良い効果をもたらしていると言える。何時間もぶっ続けて、根詰めて机に座って勉強していると、確かに気持ちの面では充実感は得られるかもしれないが、その本当の効果はどうだろうか。

 人によってその脳の中身は、千差万別だ。しかし、徐々に共通する脳の仕組みは解明されつつある。今回紹介した内容をひとつでも試してみて、効果を検証してみるのは有益だろう。見えはしないが、あなたの脳が少しでも覚醒され、有効に活用されるようになったら、あなたの人生はより輝くものになるだろう。

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