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本の紹介

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記事一覧

【本紹介】音楽と生物(坂本龍一・福岡伸一著)

【本紹介】音楽と生物(坂本龍一・福岡伸一著)

 AIの話題に疲れたり、違和感を感じている人は、本書を読むとその違和感が言語化されているかもしれない。音楽家(坂本龍一)と生物学者(福岡伸一)。一見相反する場所にいる二人の対談本である本書「音楽と生命」。自分の分野をとことん追求してきた二人だからこそ、深みのある言葉が綴られている。

20年来の友人である二人は共にNYに暮らし、英語という母国語以外の言語をメインとして、ロゴス(後述)で区切られた世

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自分との対話法を深堀る1冊

 ヒトは1日に約1万回、自分と対話しているという。実は、自分に一番影響を与える人物は、自分自身だ。だが、学校で自分との有効な対話の方法を学んだことはない、親から聞いたこともないという人が殆どだろう。そもそも、自分自身に生涯を通して1番影響を与えるのは実は自分(との対話)であるというその事実を指摘してくれる人は少ない。

 自己の存在を肯定できた場合、他人になんと言われようと困難を克服できる可能性は

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情報と賢くつきあう~脳のバグを知る~

情報と賢くつきあう~脳のバグを知る~

 一見もっともらしいレビュー情報に騙されて不要なものを買ってしまって後悔したり、権威のあるとされている学者や大学教授の発言を鵜吞みにして信じてしまったり、としたことは誰でもあるだろう。

本書「脳の闇」(著/中野信子)は、そんな人間の認知に関する脳の”バグ”により自覚的でありたいと願う人、情報に翻弄されたくない、しっかり自分の判断の軸を持ちたいと思う人にとってヒントとなる本だと思う。

 AIがど

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【本紹介】社会の変え方 泉房穂

【本紹介】社会の変え方 泉房穂

『弟に半分返してあげて』

4歳年下の障害児の弟を持つ房穂少年は勉強が出来る優等生だったが,1度だけ実母にそう言われたことがあると言う。

父が漁師、母がその手伝いで両親共に学歴は低かった。苦しい境遇を見かねた地元の本屋の主人が店内の片隅に机と椅子を用意してくれ、房穂少年は勉強をしたという。

日常生活に補助が必要、そんな理由だけで弟の近所の公立小学校への入学を断られ、バスを乗り継いで通わなくては

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安倍晋三回顧録

安倍晋三回顧録

 最長政権を担ったひとりの政治家の声・記録を、自分で読むべきではいないかと私は思う。この政治家は何をしてきたのか、どんな功績があったのか、問題点が何だったのか、それらについて本人はどう思っているのか。

巻頭の写真から、元首相である政治家のヨイショ本であるような印象を受けるかもしれないが、本書を実際に全ページ読めば、そうではないことがわかる。時系列に従って、当時どのように政治の決断がなされていたの

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感情/情動がどのようにつくられるか

感情/情動がどのようにつくられるか

 ①自分の感情がどのように発露し、それを自分は認識しているのか、②どのようにしたらそれをうまくコントロールできるだろうか。自分の感情をコントロールできたらどんなにいいだろうと思ったことは、誰でも一度はあるのではないだろうか。

脳科学的な見地からこれらの疑問に迫るのが、本書「情動はこうしてつくられる」だ。著者のリサ・フェルドマン・バレットさんは、ノースイースタン大学の心理学教授であり、感情科学

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本紹介『時間最短化、成果最大化の法則』木下勝寿

本紹介『時間最短化、成果最大化の法則』木下勝寿

本日11月16日発売の、㈱北の達人コーポレーション創業者の木下勝寿さんの最新刊。早速、読ませて頂いた。成果を出している人は、思考が違う。どの章からでも学びがある。巻頭の1日1話で45日のイラストがとてもいい。これで一気に惹きつけられた。

以下、本書からの学びメモ。

・スキルの差はせいぜい3倍だが、思考アルゴリズムの差は最大50倍。

・ビッパの法則:ピッと思いついたら、パッとやる。すぐやる人の

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本紹介 『限りある時間の使い方』

本紹介 『限りある時間の使い方』

人生80年=約4000時間。

 身近な人の突然の死を経験した事があるならば、『自分の人生の有限性』という言葉に、よりリアルさを感じる事ができるかもしれない。それが明日突然やってくる可能性がゼロでない事も。しかし、不思議なことに時間が経過すると、あれほどまでに強烈に感じていた時間の有限性という感覚が薄まっている事に気づく。少なくとも私はそう思う時がある。

 どうやら、大切なことは、時々立ち止まっ

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ヤマザキマリさんに学ぶ、目に見えないものを思い描く力

ヤマザキマリさんに学ぶ、目に見えないものを思い描く力

 「テルマエ・ロマエ」を知らない日本人は多くないと思うが、原作者ヤマザキマリさんが、いかにして、2000年以上の時空を超えたあのような作品を生み出せたのか、本作の着想を得たのか、そのちょっとフツウじゃない半生の一端を垣間見れる本。ヤマザキさんというヒトがいかに形成されてきたかのヒントが、少しだけわかる。

 なんか、わたしを取り巻くこの日常、この世界に違和感を感じている10代、20代の人には、ぜひ

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脳はものの見方で変化する③

脳はものの見方で変化する③

前々回、前回の続き。本「脳はものの見方で変化する」より。

人間の脳は、興奮と抑制の間でバランスを保っている。脳はこのバランスのおかげで反応する能力を最大限に発揮できるのだ。抑制が強すぎると刺激が伝わらないだろうし、刺激が強すぎると痙攣のような発作を起こすだろう。

 バランスを保つことで、刺激に対する適切な準備をすることができる。どんな環境であっても、不確実な文脈における変化に反応できる。だから

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脳はものの見方で変化する②

脳はものの見方で変化する②

何かでネガティブな感情に襲われたときに、どの思い込みが期待通りにならなかったのかと自問することで心を落ち着かせることができる。このような状況の自己分析を行うと、自分でも気づいていなかった思い込みを発見することにつながる。そして思い込みの存在に気づけば、選択肢も手に入る。

能動的に違いを探す事は、変化の原動力となる。経験の多様性は、脳を変える力となる。

新しい人や環境は、自分の思い込みに気づくき

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全ては、自分の"思い込み"である

全ては、自分の"思い込み"である

 前回の続き。いかに、我々は物事を「知覚」しているか。どのように自身の脳で捉えて、認識・解釈しているのか。そして、それは正しいのか。正しいって何なのか。

 どうせ人生を生きるならば良い結果がほしいし、理想や目標を掲げ、それが達成するよう、1日に1mmずつでも進歩したい。自分自身の思い込みによって結果が変わるとするならば、その思い込みを変えていきたいと思うのは、自然な事。自身の思い込みを変えて、望

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【本紹介】ものの見方を変える

【本紹介】ものの見方を変える

「脳は、ものの見方で進化する」。そのタイトル通りの本。

 アマゾンで評価が高くないけれども、自分にとって気づきが多い本と出会うと、なんだか嬉しくなる。それぞれの人にとって「良書」は異なる。①読者が持っている前提知識、②"今"、その本に求めているもの、③著者との対話力、すべてが異なるからだ。つまり、今の自分にとって学びがあると感じるものに出会えて、嬉しく思ってるという事なのだと思う。

 読書録

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他人に期待していませんか?

他人に期待していませんか?

xx だと信じてたのに。xxしてくれると思っていたのに。xxくらい、やってよ。。

わたしたちは、常に他人への"期待"を持っていて、それをゼロにすることはできません。自分の期待を少なからず相手にかけているために、その期待にそぐわない事象/結果が生じた時に、失望したり、裏切られた気分になったり、ストレスを感じたりします。

いったい、この問題をどう処理すればいいのか。それを解決してくれるヒントをくれ

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