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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2023年1月の記事一覧

心のやすらぎを求めて 日本人と仏教~読書記録228~

心のやすらぎを求めて 日本人と仏教~読書記録228~

1983年に発行された書であるが、今はネットなどを探しても見つからない。

5人の執筆者がおられるが、さすが直木賞作家!寺内大吉先生の書かれた文章が面白かったのと、大吉寺の事や、滋賀県長浜にあった浅井長政の城とお寺の話やら歴史を知る事が出来た。

1983年は、寺内大吉先生は、世田谷区の大吉寺の住職をされていた。生まれもこちらである。

この大吉寺というのは、本来は、滋賀県の伊吹山の裏にある浅井と

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ためない練習~読書記録227~

ためない練習~読書記録227~

真言宗豊山派、元結不動密蔵院住職の名取芳彦氏のエッセイだ。2016年に書き下ろしされたものになる。

現代に生きる日本人に、仏教の教えである「小欲知足」を簡単に、自分の話もされながらわかりやすく語られている。
物を処分する。なども、書いている私も、なかなか。。。など、上から目線に偉そうに言わず、四角い部屋を四角く掃けない人間なのだと言われる所に好感が持てる。

私たちは一度何かを手にすると失うのを

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人間の絆~読書記録226~

人間の絆~読書記録226~

イギリスの作家・モームの長編小説。半分は自伝で、そこにフィクションも取り入れている。

この作品は、キリスト教を少しでも知っている者と、全く知らない者とでは感想も違ってくるかもしれないと思う。

私が田舎娘で、聖書やらクリスチャンやら全く知らないで過ごしていた若い頃に、中野好夫先生の訳で読んだのが最初であった。

幼くして両親を失い、牧師である叔父に育てられたフィリップは、不自由な足のために、常に

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善人のやめ方 ひろさちや~読書記録225~

善人のやめ方 ひろさちや~読書記録225~

2014年発行。宗教哲学者の、ひろさちや先生の著書。
架空の人物との対談方式で組み立てられている。

一言で言うなれば、自分を第一に!だろう。
世間体、経済、会社や仕事などに一番にしている日本人のなんと多いことか。

「人生の危機」。よく聞く言葉でもある。会社をリストラされた。明日からどうしよう。などという時に、「人生の危機」と言う人は多い。
「人生の危機」とは、自分が何のために生きているかわから

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病院のスケッチ~読書記録224~

病院のスケッチ~読書記録224~

若草物語で有名なルイザ・メイ・オルコットの作品。谷口由美子先生が訳されている。

これは、小説ではなく、ルイザ・メイ・オルコット自身の体験を元にしている。主人公の名前は変えてあるが、若草物語に登場する姉妹たちのことだな、とわかるものである。

この本が書かれたのは、1863年。
当時のアメリカは、リンカーン大統領が奴隷制度反対を唱え、南北戦争の中にあった。

熱烈な奴隷制度廃止論者であったルイザは

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真説・赤穂銘々伝~読書記録223~

真説・赤穂銘々伝~読書記録223~

大好きな童門冬二先生の本だ。

この本が書かれたのは1999年。息子が生まれた年だ。
そして、泉岳寺隣にある中学に入った年に、息子は童門冬二先生にお会いした。不思議な運命を感じるのは、私だけだろう。多分。

泉岳寺といえば、赤穂浪士の討ち入り事件。その赤穂浪士討ち入り事件の元々のきっかけが塩にあったという。

江戸城松の廊下にて吉良上野介を斬りつけた浅野内匠頭長矩の父は幕府より赤穂で塩の大量生産を

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希望格差社会~読書記録222~

希望格差社会~読書記録222~

「パラサイトシングル」という言葉を生み出した社会学者・山田昌弘先生の著書。2004年発行。

日本社会は、将来に希望が持てる人と将来に絶望している人に絶望していくプロセスに入っているのではないか。これを私は「希望格差社会」と名付けたい。~本書より~

今から約20年前に書かれたものであるが、これは1つの警告であったかもしれない。
二極化、自己責任、親子関係の共依存、などなど。著者が指摘していた問題

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60歳からの前向き人生のすすめ 弘兼流 やめる!生き方 ~読書記録221~

60歳からの前向き人生のすすめ 弘兼流 やめる!生き方 ~読書記録221~

2020年に書かれた「島耕作シリーズ」で有名な漫画家・弘兼憲史氏の著書。

弘兼氏は昭和22年生まれであるから、バッチリ団塊世代になる。
もはや、70歳を超えており、このような本を多く書かれるようになられた。

この本の中で著者はいくつかの「辞める」事を提案している。
一例をあげるなら、年賀状を辞める事などだ。

この本は、もうじき60になろうとする私には同感することが多かった。
身体が動くうちは

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日本の風俗嬢~読書記録220~

日本の風俗嬢~読書記録220~

ノンフィクションライターの中村淳彦によるルポ。

「お金のために腹をくくって裸の世界に飛び込み、涙を流しながら性的サービスをしている」といったイメージは過去のものである。どこにでもいる一般女性がポジティブに働いている。高学歴の者もいれば、家族持ちもいる。これが現在の普通の光景である。~本書より~

この文には、全く同感だ。おそらく、多くの人は、次代が変わった、抵抗もなく可愛い顔をした女性が裸になる

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大草原の小さな家で ~読書記録219~

大草原の小さな家で ~読書記録219~

ローラ・インガルス・ワイルダーの研究者として知られる、スティーブン・ハインズの著書。

「大草原の小さな家」シリーズで知られるローラ・インガルス・ワイルダーの信仰に光をあて、その生涯と物語の底に流れるスピリットを読み解く。「真実はいつの時代も変わらない。誠実であること。うそをつかないこと。物事がうまくいかなくても朗らかに。そして勇気を抱くこと」。大草原で信仰を育んだ永遠のパイオニアガール、ローラの

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妖女の隠れ家~読書記録218~

妖女の隠れ家~読書記録218~

密室トリックの巨匠、ジョン・ディクスン・カーの作品。
およそ125㎏もの巨体で、いつも息を切らしている名探偵フェル博士の初登場の作品となる。

「魔女の隠れ家」という、新たに訳されたものがあり、訳者は私の好きな高見さんなのだが、図書館にはなく、中古で3万円を超える。。。。

ということで、図書館から、この訳本を借りたのだった。
訳者は大正5年生まれの方で、漢字が旧かったり、言い回しが旧かったりと難

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僕の心臓は右にある~読書記録217~

僕の心臓は右にある~読書記録217~

お笑い芸人であるチャンス大城の自伝。

題名の由来は、チャンス大城の心臓が実際に右にあるからだ。
内臓全てが左右対称なのだそうだ。

ちょっと勝手に思ったのは、内臓逆位の方は先天性疾患とかないのかな?とか心配してしまった。アルコールを少し飲んだら救急車とか。
勝手なイメージで申し訳ない。

チャンス大城さん自身は、いたって健康。

尼崎編、東京篇と分かれているのだが、兵庫県、酷いわあああ。
虐めが

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曲がった蝶番~読書記録216~

曲がった蝶番~読書記録216~

密室トリックの巨匠、ジョン・ディクスン・カーのミステリー小説。
登場するは、名探偵フェル博士。

1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽者であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと言う。あの沈没の夜に―。やがて、決定的な証拠によって事が決しようとした矢先に、不可解極まりない事件が発生した

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ケティのはるかな旅~読書記録215~

ケティのはるかな旅~読書記録215~

作者は、アメリカ・ケンタッキー州生まれのレベッカ・コーディル。
1899 年 2 月 2 日 - 1985 年 10 月 2 日
アメリカ開拓時代を描いた作品だ。

 舞台は、独立後まもない一七八十年のアメリカ。それは、独立革命の独立派と英国派との対立がまだ根強く残っている中で、東部に飽き足りない人々が西部にあこがれ、西へ西へと移住し、各地で白人とインディアンとの抗争が絶えなかった波乱多き時代であ

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