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エッセイ

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サブカルや日常のあれこれをキリスト教の視点から書いています。
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#エッセイ

ウルトラQとイングランド国教会の関係

ウルトラQとイングランド国教会の関係

ウルトラマンシリーズの原点、ウルトラQを現役でご覧になっておられた世代の方もおられるのではないでしょうか。1960年代、まだテレビも白黒の時代でした。2020年はウルトラQのケムール人が宇宙からやって来た年。当時は2020年なんて遥か未来のことに思われたのでしょう。2020年に放送されたウルトラマンzにケムール人が出てきたときはまさかと驚きました。令和の世にケムール人に会えるとは。

ケムール人の

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初代ウルトラマンと旧約聖書ヨブ記

初代ウルトラマンと旧約聖書ヨブ記

初代ウルトラマンに「バラージの青い石」という無国籍風の砂漠の都市を舞台にした幻想的エピソードがあります。昆虫型の怪獣アントラーが登場します。
アントラーはおそらく英語のアントライオンに由来するのでしょう。ウスバカゲロウの幼虫アリジゴクのことです。
このアントライオンがヨブ記に関係します。ヨブ記4章11節に雄獅子は獲物を得ずに滅びとあります。ヘブル語にはライオンを表す単語はいくつかありますが、雄獅子

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メトロン星人とカトリックと台湾

メトロン星人とカトリックと台湾

わたしの母校、中央聖書神学校の近くに滝野川があります。ここ出身の方にウルトラマンやウルトラセブンの監督だった実相寺昭雄さんがおられます。わたしの世代では有名なモロボシダンとメトロン星人がちゃぶ台を囲むシーン。あの演出をされた方です。メトロン星人編の後日談は平成ウルトラマンのウルトラマンマックスでも作られていて、あの回ももちろん、実相寺監督でした。推理小説ファンのわたしとしては京極夏彦の「姑獲鳥の夏

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ウルトラマンと讃美歌

ウルトラマンと讃美歌

私は、第二次怪獣ブームの世代。帰ってきたウルトラマンからウルトラマンレオまで、現役で見ています。初代ウルトラマンとウルトラセブンは再放送で見ました。あの頃、毎晩ゴールデンタイムに特撮番組やっていた記憶がある。裏番組で特撮がかぶることもしょっちゅう。その中の一つ、ウルトラマンタロウに讃美歌が流れた回があるのが記憶に残っています。タロウが強敵、怪鳥バードンによって倒された時。讃美歌380番「立てよいざ

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平成ウルトラマンのキリスト教モチーフ

平成ウルトラマンのキリスト教モチーフ

平成も間もなく終わりますが、平成ウルトラマンのキリスト教モチーフについて少し書いてみようかと。1996年に始まった「ウルトラマンティガ」の敵キャラにキリエル人(キリエロイド)という異次元人がいます。このネーミングそのものがキリスト教の祈りの言葉「キリエエレイソン」に着想を得ているのではないかとも想像するのですが。(古代の邪神という設定で偽預言者の風貌で登場する)

ティガがキリエル人に倒された時に

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平成ウルトラマンとメソジスト教会の関係性について

平成ウルトラマンとメソジスト教会の関係性について

平成ウルトラマンのウルトラマンティガに「霧が来る」というエピソードがあります。これはある村が謎の霧に包まれ、村人が霧に操られるというホラーテイストの話。この霧の正体が当然怪獣なのはお約束。

明らかにアメリカのモダンホラー作家スティーブン・キングの作品「霧」のオマージュですね。この回を担当した脚本家、長谷川圭一が大のキングファンであることを公言しておられますし。実際、ストーリーにも霧にまつわるある

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鬼滅の刃と平成ウルトラマンと永井豪と14世紀イタリアの接点について

鬼滅の刃と平成ウルトラマンと永井豪と14世紀イタリアの接点について

少年シャンプで最終回を迎えた鬼滅の刃。煉獄杏寿郎というキャラがいますよね。鬼退治の話だから日本の民間信仰的な世界観だとは思うのですが、煉獄という名前だけは異質。カトリック用語ですよね 煉獄と聞くとどうしてもダンテの「神曲」(かみきょくではない。この曲、マジ神みたいな。笑)を思い出します。

それで連想するのが、平成ウルトラマンのウルトラマンティガ。ガゾートというファンの間では人気の怪獣がいるのです

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ウルトラマンと大河ドラマ「いだてん」との接点

ウルトラマンと大河ドラマ「いだてん」との接点

初代ウルトラマン第一話の設定には、元ネタがあります。ハル・クレメントというSF作家の「二十億の針」。宇宙の刑事が地球に逃げ込んだ逃亡犯を地球人のからだを借りながら探すというストーリーは、ウルトラマンが怪獣ベムラーを追い、ハヤタ隊員のからだを借りるという設定に生かされています。原案の段階でこの小説読んでいる方がスタッフの中にいたはず。

平成ウルトラマンも元ネタを隠す気はないようで、ハル・クレメント

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ウィンダムの元ネタ

ウィンダムの元ネタ

以前「ウィンダム」という語が検索ワードに上昇してきて、なぜと不思議だった。どうも、当時放送中のウルトラマンZに、ウルトラセブンに出てきた昔懐かしいカプセル怪獣「ウィンダム」が登場したからのようでなるほどと疑問が氷解。カプセル怪獣。ポケモンの発想の原点になったカプセルに入った怪獣ですね。

この怪獣の名前の由来はイギリスのSF作家ジョンウィンダム。代表作に「トリフィド時代」があります。知性があるらし

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銀河鉄道999とジ・アルフィーとウルトラセブン

銀河鉄道999とジ・アルフィーとウルトラセブン

松本零士の「銀河鉄道999」に出てくるメーテルのモデルの一人は映画「わが青春のマリアンヌ」に出てくる女優のマリアンヌ・ホルト。この女優の日本語吹き替えをしたのが声優の池田昌子で、後に999でメーテルの声を担当した方ですね。
松本零士に漫画家を目指すきっかけを与えた映画らしく、その思い入れの強さは氏の「わが青春のアルカディア」とう作品のタイトルにもあらわれている。
原作がペーター・メンデルスゾーンの

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オウム

オウム

地下鉄サリン事件
地下鉄サリン事件が起きた1995年3月。自分はどこで何をしていたか。それぞれの思い出があると思う。わたしは神学校を卒業してようやく1年になろうとする頃で、熊本県の教会にいた。阪神淡路大震災の爪痕がまだ残っていた頃だ。一体、何が起きたかテレビで見ていてもわからなかった。テロ?この日本で?全く現実味が感じられないのに、恐ろしいことが起きたことだけはひしひしと伝わってきた。前年に起きて

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ブラッドベリと日本

ブラッドベリと日本

子どもの頃、漫画もアニメも映画もSFブームだった。東西冷戦の時代背景からだろう。SFジャンルは冷戦の中で深まっていったジャンルという面もあるので。ブームだった松本零士もそうなのだが、自分の中で印象に残っているのが石ノ森章太郎の「サイボーグ009」。

当時、何度目かのアニメ化がされ、それに連動するように少年サンデーで009の新連載も始まった。1979年だったと思う。ネオブラックゴースト団編とでも言

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アンノン族

アンノン族

1968年生まれです。子ども時代だったのは1970年代。思い切り昭和です。大阪府下に住んでいたので、1970年開催の大阪万博には家族で行ったらしく写真は残っている。「芸術は爆発だ」で有名な岡本太郎作の太陽の塔もリアルタイムで見ているらしいのだが、全く記憶にない。なにせ2歳です。

この年、出版界で特筆すべきなのはananという雑誌が誕生したことでしょうか。雑誌名はパリの動物園にいたパンダから名付け

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ジブリアニメと夏目漱石

ジブリアニメと夏目漱石

柳原白蓮とジブリアニメ「風立ちぬ」と夏目漱石。関係あるんです。柳原白蓮の姑、宮崎槌子。白蓮の文学を支えるために、子育てや家事を一手に引き受けた理解ある人物です。熊本の英語学校で学び、神戸のミッションスクールでも学んだキリスト教文脈の中で語られる進んだ女性。宮崎槌子の父が、自由民権運動家の前田案山子。

宮崎槌子の姉、卓子と前田案山子は夏目漱石の小説「草枕」に名前を変えて登場しているんです。草枕は熊

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