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「日記の練習」12月 くどうれいん
小説、エッセイ、短歌、俳句とさまざまな文芸ジャンルで活躍する作家、くどうれいんさん。そんなくどうさんの12月の「日記の練習」です。
12月1日
キコと安藤さんと平興へ。わたしははさみ将棋が強い、と豪語していたことを覚えていた名人が「やるか!」と言ってくれたがぼろ負け。一気にふたつの駒を取られたとき、我ながらあまりの愚かさに笑ってしまった。あらゆる「最後」が苦手なので、閉店する前の最後の来店だろう
あのとき、どんなふうに言えばよかったんだろう?
きのうは、幡野広志さんとのトークイベントだった。
打ち合わせらしい打ち合わせもないまま、せっかくご用意いただいた台本もほとんど見ず、自由に雑談の延長みたいなおしゃべりをした。暑い日曜日だというのに、思わぬ人も駆けつけてくれたりして、ありがたいような申し訳ないような、不思議な場だった。
帰宅後しばらくして、犬の散歩に出た。犬の散歩道について、だいたいぼくは5つくらいのルートを持っている。おおきな
映画「MINAMATA」を観て
先日、Uniさん主催の試写会にご紹介いただいて、「MINAMATA」という映画を観てきました。
招待をいただく前、映画公開のニュースを見たときから「写真を撮る人間のはしくれとして観ておかねばなぁ……」とは思っていました。しかし、コロナなどのヘビーなニュースが流れ込む毎日に私自身が疲弊してしまっていることもあり、「観に行くにはパワーが必要だよな」と思って少し尻込みしていたのも事実。
そんなタイミ
さようならツイッター、今まで本当にありがとう。君がいなければ、ぼくの今の人生はなかったよ。
さようならツイッター。
さようなら青い鳥。
本当に君はいなくなってしまうんだね。
まだスマホのアプリでは君を見ることができるんだけど、いつ会えなくなるか分からないから、今のうちに手紙を書いておくよ。
君に出会ったのは2007年の3月だったよね。
当時のぼくは、とにかくシリコンバレーの新しいサービスを片っ端からレビューしてたから、君と出会ったときにこんなに長い付き合いになるとはまったく思って
「自分が普通の女子高校生だったら、って思うことはないですか?」との質問に対するセーラーウラヌスの解答の秀逸さ
先日「なぜ『セーラームーン』は、世界中の少女たちの胸を熱く燃やし続けるのか。大人になった今わかったこと」という記事を書いた。その際、原作を改めて読み直し、旧アニメを見返すことにした。あまりに膨大なので、ところどころながら視聴やら倍速で見ていたのだが、途中でかなりヒヤッとするセリフがあった。
美奈子(セーラーヴィーナス)が、はるか(セーラーウラヌス)に向かってこんなことを言うのだ。
思わず耳を疑
みんなと違う ≠ 仲間外れ
眠れない夜。
薄暗い部屋の天井を見つめ、自分だけが世界から取り残されたような気持ちが芽を出す頃、ふと思い出すのは、保育園の「お昼寝の時間」のこと。
*
お昼寝の時間が、とても苦手だった。
喘息持ちだったわたしは、ほこりっぽい保育園の床に寝そべると、コホコホと咳が出てしまうのだ。みんながすうすうと寝息を立てるなか、一人だけ目が冴え、わたしだけがこの世界に取り残されているような寂しい気持ちにな