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思春期の水曜日 其二五
ホームルームも終わった放課後、私たちは女子学級委員を囲んで立っていた。本当は男子も巻き込み、男女両方の学級委員をさらし者にしたかったが、男子学級委員はいつの間にかいなくなっていた。彼氏に見捨てられた女子学級委員は、席に着いたまま、四方から囲む私たちを見上げていた。居心地は悪そうだ。
「あんたの彼氏、あんなザコだったの?」
私の友人は、学級委員を責めた。
「はぁ〜、いい気味だわ。普段から、アンタ
思春期の水曜日 其二三
随分と格好悪い彼氏を持った。それが私の正直な感想だった。女子がこぞって学級委員に難癖つけ始めたのも当然である。女の序列は彼氏の能力や容姿で決まるからだ。
女子学級委員は、ため息をついて俯いている。いたたまれなさが、周囲にまで影響しているようだ。斜め前の席に座る学級委員の仕草は、全て見えていた。その心中も察しがつく。今回の事で女子カーストの頂点から転落して焦っているのだろう。
授業中、私は学級
思春期の水曜日 其二一
昼休み終了間際、女子の学級委員が教室内に戻ってくると、女子たちは一斉に白い目を向けた。無敵の学級委員も数多の威圧的視線にたじろいだ。
ただ、問題となった映像を見るやいなや、学級委員は急いで教室を出ていった。
わたしたち女子は、一斉に学級委員の悪口で盛り上がった。
「あの天下無敵の学級委員が選んだ男が、この程度だったなんてね〜」
「運命の人、みたいに言っていたのも、虚しく聞こえるよね」
「ほん
思春期の水曜日 其一八
前席の女子が、学級委員との紙片のやり取りで一喜一憂している。
他人の恋路に一喜一憂するなんて、くだらなくて幼い――――とは言えない。おれも、一喜一憂した人間の一人だ。何故なら、おれも女子学級委員に恋していた者だからだ。手を繋いでの登校風景を見て、おれは傘を落とし、しばらく呆然として動けなかった。雨に濡れ、涙を流し、立ち尽くした。同じ思いを味わった生徒は、男女双方に何人もいたはずだ。
あの二人