思春期の水曜日 其二八

 学級委員二人のラブラブ登校から始まった騒乱も、一区切り付いた。朝には話が独り歩きし、昼には一波乱あり、放課後には終息した。紆余曲折したが、最終的には学級委員の万人への絶対的優位は変わっていない。初めから、何もなかったかのようだ。
 教師たちも、何事もなかったように振る舞っているが、あれは大人として許されるのか?昼過ぎには学級委員二人に明らかな虐めが発生したが、教師は見て見ぬふりだった。こんな感じに、大人の都合で「虐めはありませんでした」と言われるのが、現代日本の姿なのか?
 いっそ滅ぼしてしまいたい。日本を転覆させる革命を起こして、碌でもない大人たちを一掃したい。
 まあ、あの教師たちも、若い時は「革命万歳」なんて叫んでいたのかもしれないが。あの連中は夢破れた未来の俺の姿かもしれない。
 俺は鞄を持ち、帰り支度をしている男子の学級委員に話しかけた。
「よっ、お疲れ。今日はこの後どうすんだよ?え?また学級委員の仕事?教師共のいいように使われてないか?
 まあ怪我も大した事なくて良かったよ。道場にも、もう少し顔を出してくれると、親父の機嫌も良くなるんだけどな。
 じゃ、また明日」
 学級委員の仕事となれば、彼女との共同作業となる。公然とイチャつける。一波乱あったからこそ、互いに話し合って、ゆっくり過ごして欲しかった。
 俺は鞄片手に教室を出て、帰路に着いた。帰ったら親父の道場で、汗を流すつもりだ。今日も、明日も、「道」は続く。

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