思春期の水曜日 其二七

 動画を見終えてすぐ、あたしは教室を飛び出した。いなくなった女子学級委員の行き先はわかる。彼氏がヤンキーをボコした体育館裏だ。自分への虐めより、付き合っている相手の心配を優先するのが、彼女らしかった。
 あたしは友人も、友人の彼氏も心配だった。だから反射的に、教室を飛び出したのだ。余計なお世話かもしれない。しかし体が動いていた。友情を、感じていたから。
 しかしその思いは裏切られる事となる。心配で現場に着いたあたしは、抱きしめ合う学級委員二人を目にして、慌てて物陰に隠れた。
「――――」
「――――」
 本で読んだ、愛を語らうって、こういう事を言うのかと思った。
 なんであれ、この場にいては邪魔でしかない。お邪魔虫にはなりたくなくて、
「静かに去るわ」
 そう呟きながら現場から離れた。

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