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悠冴紀/小説家・詩人
2021年8月4日 12:04
作:悠冴紀答えなどはじめからどこにも存在しない誰かの導き出した明確な答えは他の誰かにとっての問いとなる私にも誰にも答えようがないその時どきに見出す小刻みの持論ならすでに幾度となく言葉にしてきた年月を経てそれら全てが問いに帰するだから朽ちない循環により生を得る終局を迎え 落ちた木の葉は残像だけをおいて土にかえる土を踏みしめる誰かが樹を見上げるときそこに
2024年2月23日 11:30
作:悠冴紀互いの存在を知りながらも近付きすぎてはならない間柄がある一つの世界には 一人の自分同時に二人は存在できない掟を軽んじてはならないもう一人の発見に歓喜しても会うことを望むのは禁忌に当たる会っては互いに破滅する何度かの失敗体験をもとに私は距離の取り方を学習した突き放したのは嫌悪ではない君がもう一人の私だからだ残念だが私たちは最も慎重に距離を取らねばな
2019年11月27日 08:06
作:悠冴紀蒼白い雪を被った鋭い針葉樹林を私は手探りで駆けていくどこから来たのかどこに向かっていたのか時折わからなくなる自分がいる今はそれでも走るほかない凍てついた樹海の奥から狼たちの遠吠えが聞こえてくるあれは血に飢えた冬の捕食者かつての私に 似た奴らだ目印もない雪原の中私には君だけが道標だった君の雪山に語りかけ木霊する声の反響で己の立ち位置を知ることが
2021年1月9日 22:39
作:悠冴紀過ぎ行く一年の終わりに私はまた 君を振り返っていた巡り来る一年の始まりに私はまた 君を思っていた今では行方も分からない君のために私はこの先どれだけの涙を流し続けるのだろう一年の終わりに 私はまた君にしてあげられなかったことを思い謝っていた一年の始まりに 私はまた君がいなくてはできなかったことを思い君の大きさを実感していた君を失ったことで私はなんと
2020年11月14日 22:26
作:悠冴紀君に届けたい曲がたくさんある君のその耳でこそ聴いてもらいたい曲が君に届けたい言葉がたくさんある君のその眼でこそなぞってもらいたい言葉が君のその感性その受け取り方が私はずっと好きだった君の良質な反応一つ一つが私を育て 磨き上げただがすべては遠い過去君が私を許す日は永久に来ないだろうそれと知りながら尚も時折 君を思う作り手の一人として芸術を愛
2020年2月19日 19:09
作:悠冴紀「おかえり」その響きに対する憧れはなかった今も変わらず 昔から長い間 ずっと帰りたい家がなかったためかそれを寂しいと 感じたためしもない「おかえり」その一言を聞いて抱くのは違和感のみだった自覚はある醒めた人間だ無い物ねだりの甘い期待に縋るほどロマンチストになどなれなかったいかにも自分らしいとつくづく思う誰も帰りを待たない自由を愛し清々しい充実