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📚【出版】社会派ミステリー小説『PHASE』紙の本のご案内 (電子書籍は kindle unlimited 対象)
【内容紹介】
この作品『PHASE』は、2012年に文芸社から出版した過去作品(文庫本)を、上下巻に二分冊して加筆修正した社会派のミステリー小説ですが、今回一番の違いは、単行本(正確にはA5)にサイズアップした点です。老眼世代の方々から、文庫本の文字サイズでは読みづらいという指摘が複数あったもので(^_^;) (私自身はというと、元々が近視の乱視なので、近付きさえすれば小さい文字でも難なく読める
【小説】 📖謎の男との遭遇(試し読み1:社会派ミステリー小説『PHASE』より)
【 プロローグ 】 大気が冷たく押し黙る夜、暗い道の先で街灯が不規則に明滅していた。闇を瞬くその蒼白い光に目を奪われながら、牧野典之は、埼玉市内の人気のない一角を歩いていた。空を見上げると、日々輪郭を変え、見る度違った相を覗かせる天上の月が、今日は分厚い灰色の雲に覆われ姿を隠してしまっている。
調べものに没頭して帰りが遅くなったというのに、これという収穫を得られなかった不毛な一日を振り返って、典
【小説】📖安全神話が崩れるとき(試し読み2 :社会派ミステリー小説『PHASE』より)
※前話(プロローグと第一章の一部)をご覧いただける試し読み1はこちら
「安全神話の崩れるとき」 週末を待たずに仕事を早めに切り上げて、絵梨は埼玉郊外にある教団の総本部に向かった。教団施設まではタクシーを拾わなくてはならない距離だが、一応に最寄りと言える駅に降り立ったとき、付近で布教活動に励んでいる信者たちの姿が目に留まった。一枚の布に穴をあけて首を突っ込んだだけのような、シンプルな薄紫色の装束を
【小説】 📚社会派ミステリー小説「PHASE」からの切り抜き紹介(心の隙間編)
※プロローグと第一章の一部をご覧いただける試し読みの記事はこちら▼
【切り抜き紹介】
--- 行動理由 ---
◆「弟がいたんだ。生まれつき体が弱くて病気がちで、ちょうど彼ぐらいの歳のときに先立ってしまったんだけどね。あの子を見ていると、弟を思い出すよ」
煙草を吹かすような仕草で、一度ふうっと宙に息を吹き出してから、Aは続けた。
「大学進学を諦めるときにも、仕事で身を粉にして稼ぐときに
📚【小説】社会派ミステリー小説「PHASE」切り抜き紹介(心の闇編)
※切り抜き紹介①(心の隙間 編)はこちら
【切り抜き紹介】
--- 理由探し ---
◆「姉さん……牧野さんは、人に騙されたことがありますか? 心底から信じようとして、心の鍵を渡した人に」
『姉さん』から『牧野さん』へとわざわざ呼び方を改めたその声に、絵梨は喩えようのない喪失感を覚えていた。Hがもう、自分さえも信じてくれなくなったのだと。
そんな絵梨を前に、Hが独白のような口調で語りだ
【文学】 📖登場人物たちの言葉📖 (名言・格言・名毒舌集 :社会派サスペンス小説 『PHASE』より)
※概要と書籍の案内はこちら▼
【登場人物たちの言葉】
絵梨:「ねえ、そもそも相転移って、どういう意味なの?」
J(地下活動の中心人物):「物理学用語さ。本来はな。書いて字の通り、物質の相(=PHASE)が別の相に変化することを表現した言葉だ。最も身近でわかりやすい例は、H²Oの変化だな。水が冷えて氷になったり、蒸発して水蒸気になったりするだろう?
液体から固体へ、固体から気体へ。本質的には
✏️著者プロフィール&📚出版作の紹介 (兼サイトマップ)
【著者プロフィール】
2007年、二人のサッカー少年を主人公にした純文学系小説『クルイロ~翼~』でデビュー(文芸社)。芸術心理学の観点から、スポーツ芸術としてのサッカーを描きつつ、密接な共依存関係の光と闇に着目した 異色の友情物語に仕上げている。
2012年、同出版社より、謎が謎を呼ぶカルト教団との攻防戦を縦軸に、人間心理や社会の闇に斬り込んだ社会派ミステリー小説『PHASE』を出版。2016