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【小説】 📚瀟䌚掟ミステリヌ小説「PHASE」からの切り抜き玹介心の隙間線

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小説『PHASE』䞊巻の裏衚玙デザむン

※珟圚販売䞭の私の小説「PHASEフェヌズ」は、登堎人物たちの倚くが、蚳あっおカルト教団ず䜕らかの関わりを持っおしたった人たちです。そんな登堎人物たちの背景事情䞻には䜕故そんな怪しげな宗教団䜓ず関わりあうこずになったか、ずいう動機に繋がる事情や、人ずなりがわかるようなシヌンを、党回に分けお切り抜き玹介いたしたす。

ただし、ネタバレにならないよう、固有名詞を䞀郚『圌』や『圌女』に眮き換えたり、『』や『』などアルファベット䞀文字に眮き換えたりしお、誰の゚ピ゜ヌドだかわからないようにしおおきたす。これから小説本文をご芧くださる方は、「ああ、noteで芋たあの話、この人物の゚ピ゜ヌドだったのか」ず、答え合わせしながら読み進めるず面癜いかもしれたせん。


※プロロヌグず第䞀章の䞀郚をご芧いただける詊し読みの蚘事はこちら▌


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小説『PHASE 䞊䞋巻』

【切り抜き玹介】


 行動理由 

◆「匟がいたんだ。生たれ぀き䜓が匱くお病気がちで、ちょうど圌ぐらいの歳のずきに先立っおしたったんだけどね。あの子を芋おいるず、匟を思い出すよ」

 煙草を吹かすような仕草で、䞀床ふうっず宙に息を吹き出しおから、は続けた。

「倧孊進孊を諊めるずきにも、仕事で身を粉にしお皌ぐずきにも、気付けば決たっお『匟のためだ』ず蚀い聞かせる自分がいお、あい぀の面倒を芋るこずがあらゆる行動の動機みたいになっおしたっおいた。長い間ずっずそんな颚だったから、匟を亡くしおからは、目的のない宙ぶらりんな日々が䞍安で䞍安でたたらなかったよ。なんおいうか、もう䜕をやっおも無意味な気がしおね。それで今䞀床自分を突き動かす倧きな目的、行動理由を埗ようず、あの教団に  」

 チッず舌を鳎らしお肩をすくめ、は蚀った。

「バカなこずをしたもんだよ、今思うず」ず。

 匟に察する圹目ずいう点で倧いに共感しながら聞いおいた絵梚だったが、目の前の男性の自然䜓でポゞティブな雰囲気からは想像もできなかった過去に、コメントできなくなっおしたった。

「ああ、ごめんごめん。ちょっず暗かった」

 深刻な話題のはずなのに、䞀貫しお湿っぜさを感じさせないサバサバずした調子でそう蚀い、圌は頭をかき撫でた。

「い、いえ、暗いだなんお、そんな  」

  絵梚が返す蚀葉に詰たっおいるず、は「いいんだ。ほんずに気にしないで」ず笑いかけおから、自分の圹目に戻っおいった。


 死 別 

◆『やっぱりあのこずで、自分を責めおいるんですか あれは䞍幞な事故であっお、兄さんのせいじゃなかったのに。教団は兄さんの眪の意識に付け蟌んで、利甚しおいるだけ。早く目を芚たしおください。そろそろ自分を蚱しおもいい頃でしょう』

 の瞳からポツリず䞀滎の涙が零れ萜ち、詩織の䟿せんを濡らした。

 圌が入信したのは今から四幎前、劻子を亡くした翌幎に圓たる二十䞃歳のずきだった。あの頃のは、打ちのめされおいた。目から光が消え、食欲䞍振ず䞍眠症のせいで痩せこけお、廃人同然の有様だった。睡眠薬でどうにか眠りに就いおも、浅い眠りの䞭で芋る倢は決たっお悪倢ばかり。珟実の蚘憶そのたたの、拷問ごうもんのような倢だった。

 初めおの子育おでストレスを募らせおいた劻ず、どうでもいいような些现なこずで喧嘩をしおしたう自分。怒りっぜい人間の郚類では決しおない぀もりだったが、仕事から垰る床に神経を尖らせむラむラしおいる劻ず顔を合わせ、济びるように小蚀を蚀われるうちに、い぀からかそうなっおしたっおいた。

 あの日は、狭い車の䞭で泣き声を䞊げはじめた幌い嚘の声が、そんな自分ず劻の苛立ちを煜り、離婚話を口走る寞前にたでヒヌトアップしおいた。そしお、険悪な雰囲気がピヌクに達したたさにそのずき、それは起こった。埌郚座垭の劻に䜕かを蚀い返そうずバックミラヌに目を向けおいたは、赀信号を無芖しお自分たちの方ぞ突進しおくるトラックの存圚に、気が付かなかった。

 耳を぀んざく衝突音、党身を駆け巡る激痛、物ずいう物が超高速で回転する芖界、フッず吹き消された蝋燭ろうそくのように途切れた意識。

   劻を、嚘を、どれほど愛しおいたかを思い出したのは、圌女等を倱ったあずだった。

 目が芚めたずきが最初に芋たのは、自分の真暪に迫る血たみれの劻の顔だった。圌女は運転垭ず助手垭の間に䞊半身を挟たれるような栌奜で、前にしな垂れ息絶えおいた。フロントガラスはバラバラに砕け散っおいお、劻の膝の䞊にいたはずの嚘が、倉わり果おた姿で前の路䞊に暪たわっおいた。

 そしお自分䞀人だけが、残された。

 朊朧もうろうずする意識の䞭、病院に運ばれおいったは、あれほどの事故にあっおこの皋床の怪我で枈んだのは奇跡だず医垫に蚀われたが、喜ぶ気になど到底なれなかった。

 䜕故自分だけが 䜕故あの二人は

 毎日毎日、自問に暮れた。生きるか吊か、迷っおいた。最悪のタむミングで起きた受け入れがたい悲劇に、理由を探さずにはいられなかった。

 が教団の存圚を知り、圌等の救枈にすがったのは、そういう時期だった。圌等の教えは圓時のの心にするりず入り蟌み、払った犠牲に盞応しい倩呜やら倧矩ずやらで、生きる気力を取り戻させおくれた。圌等の矛盟に、気が付くたでは。


 探究心 

◆「叔母があるずきこんなこずを蚀ったんです。お前は真実ほんずうのこずを蚀い圓おるから敵芖され、眰せられるんだ、っお。い぀か倧人になっお、瀟䌚に出ればわかる、ずも  」

 の口から、疲れたような溜め息が挏れた。

「あんな颚に、なりたくないず思った。瀟䌚ずかそんなものは、本来 生掻機胜のために築かれた人工の噚にすぎないのに、その入れ物を守るためのデタラメや䞍誠実の方が䞭身よりも重芁芖されるなんお、滅茶苊茶だ。そもそも僕等は、そんな也いた噚に抌し蟌められお、圹目を果たせばいいだけの機械じゃない。せっかく人間ずしお生たれおきたのだから、䜕かもっず奥行きのある心性の䞖界を探究しおみたいず思った。そんなずき、運悪く教団の勧誘員に出䌚っおしたったんです」

 瞌の裏に圓時の光景を再珟しながら、は話を続けた。

「倧孊のサヌクル勧誘に玛れお、圌等はもっずもらしい蚀葉で近づいおきた。はじめは僕の心の声が届いお、望んだ䞖界が迎えに来おくれたのかず錯芚したけど、実際に入信しお信者や幹郚たちず觊れ合ううち、すぐに目が芚めたしたよ。芋せかけばかりで、䞭身は空っぜ。結局あそこも、僕の嫌った元の䞖界ず、なんら倉わりがなかった。飛んで火に入った自分の愚かしさに、打ちのめされたものです」

 ごたかしのきかない真っ盎ぐな目をしお、はそう語った。

䞭 略

 出䌚いはじめの頃は、ニヒリスティックな目をした無神論者のにどう思われおいるか䞍安に思ったものだが、圌は、入信した事実があるからずいっお責めたり蔑さげすんだりする぀もりはないず、はっきり蚀っおくれた。人にも物事にも段階ずいうものがある、たずえ䞀時凌ぎの幻でも、その圓時には、教団の閉ざされた䞖界芳に逃げ蟌む必芁が切実にあったのだろう、ず──。

「それはそれで自分の歩みの䞀郚ずしお受け入れ、今埌の教蚓にすればいい。そういう立堎の者にしかできないこずもあるしな。俺の呚りで皆が今やっおいるこずが、たさにその䞀぀だ」

  玫明教祖のような、盞手を暗瀺にかけようずする抌しの匷い説教口調ずは違い、隣に座っお詩を詠むような口調で、圌はさらりずそう語った。

 ずの掻動を新たな出発点にしようず、はそのずき決心した。


 喪 倱 

◆「あなたは、どうしおこんなこずに関わっおいるの 危険を承知で察抗勢力に協力しおいるからには、それなりの理由があるんでしょう」

 圌女は䞀床芖線を別のずころぞやり、しばらくの間をおいおから答えた。

「あの教団に、婚玄者を奪われお  」ず。

 絵梚は思わず、「えっ」ずいう顔で目を泳がせおしたった。絵梚の目には、圌女ずいう人が、この䞖の誰にも心を蚱さず誰も愛さないタむプの人物ず映っおいただけに、驚かずにいられなかった。

䞭 略

「── 誰䞀人ずしお、䞍死身じゃない」

 か぀お死神ず呌ばれた圌女が、しみじみず実感を蟌めお蚀った。

「あの人だっお、呚りからは『この人なら絶察に倧䞈倫』ず思われがちな人物だった。郜合がいいほど頌られお、損するくらいにね。たさかあの人をあんな圢で倱うなんお、私でさえ思っおもいなかったんだから」

 圌女は蚀い知れない喪倱感に瞳を现めるず、どこか遠くを眺めるような県差しで宙を仰いだ。

「どんな関係でも、絶察神話に堕ちた過剰な安心は、喪倱ぞの第䞀歩。今振り返るず、圌の匷さを過信しお、䞀緒にいられるのが圓たり前ず思いはじめた頃から、私はすでにあの人を倱っおいたんだず思う。目の前で損なわれおいくものの譊鐘けいしょうにも、気が付かないたた」

 あらゆる疑問笊を打ち捚おた盲目的な信頌こそが、自分を信じおくれた人ぞの最倧の誠意、至䞊の愛情蚌明になるず信じた日々は遠く、拭い去るこずのできない埌悔ず無数の自問を湛えた県差しが、行く圓おもなく切なげに非垞階段の暗がりを圷埚い続けおいた。


 恩 矩 

◆「実は  、僕にはか぀お窃盗癖があっお、床々぀たらない眪で譊察の䞖話になっおいたような人間なんですよ」

 絵梚は耳を疑った。のその、嘘の䞀぀も蚀えなさそうな人のいい盞貌からは、ずおも想像できない話だった。

「でもそんな僕に、ある人が歯止めをかけお、自分を倉える機䌚を䞎えおくれた」

「それがあなたの『恩垫』」

 が静かに頷いた。

「圌は䞍思議なくらい盞手の心の奥深くに入り蟌んで、色んなこずを芋通しおしたう人で、蟛抱匷く面倒を芋おくれたした。厳しくも懐の深い、他の人たちにはない䜕かを持ったカリスマめいた人だった ──」

 特別に生掻に困っおいるわけでもなければ、必芁だから調達しおくるずいうわけでもなく、自分でも理由がわからないたた、぀い぀い人様のものに手が出おは無意味な盗みを繰り返す垞習犯だった圓時のは、心のどこかで『誰か、この匱くお眪深い僕を止めおくれ』ず叫びながら暮らしおいた。そんなの声にならないサむンを、圌は、出䌚うなり瞬時に芋砎った。その病的な窃盗癖が、本圓は物質的ではない別なこずを求める飢逓きが感から来るもので、それを最も必芁ずした頃の幌心が、未だ解消されないたた取り残されおいるからに違いない、ず指摘したのだ。

「本圓に欲しいものずは異なる筋違いなものを、いくら他人から奪っお手に入れおも、満足できる日が来ないのは圓たり前。だからい぀たでも繰り返しお、その手を止めるこずができないんだ」

 圌はズバリず蚀い攟った。

「でも、自分でそれず気付いお受け容れ、個々の生ぞの責任意識を持ち埗たなら、人は倉われる。こちらから手を差し䌞べたりはしない。自分でやるんだ。どこかに逃げ蟌んでごたかすのをやめお、向き合うこずだ」

 そうやっお、必ず倉われるず信じお芋守っおくれる人の存圚があったからこそ、今曎ずいう歳でもはどうにか倉わっおいくこずができた。泚意はしおも蔑みはせず、突き攟しながらも決しお芋捚おない。そんな圌の芖線の䞭で──。

「圌が僕に、自分自身になる機䌚を䞎え、本圓の人生ぞず導いおくれた。人生の恩垫だず思っおいたす」

 は着叀されおくたびれた自分のゞャンパヌの裟を、誰かの手を掎むような仕草でギュッず握りしめおいた。

「圌のためにこそ、僕はこうしおここにいるんです」

 絵梚は、そう語ったの決意の固い衚情から察した。圌の蚀う『恩垫』ずいうのも、きっずなんらかの圢で教団に巻き蟌たれた犠牲者の䞀人で、圌の芚悟の源もそこにあるのだろうず。


 宗教二䞖 

「そうだ、あなたなら、圌があの教団に関わり合うようになったきっかけに぀いお、䜕か聞いおる 私には仲間を倱ったっお蚀っおいたんだけど、あれ、本圓かしら」

「仲間を──」
 憲玲ケンレむが眉をひそめ、䜕かを確かめるように絵梚の顔を芗き蟌んできた。
「圌がそう蚀ったの」

「そうだけど、違うの」

 憲玲は少し混乱した様子で、こう答えた。
「私には、あの教団のせいで『旧友』を亡くしたっお話しおた」

「旧友 それじゃあ、元々プラむベヌトでも芪しくしおいた仕事仲間か䜕かだったのかもね」

 絵梚は想像力任せにそう話をたずめたが、䞍意に憲玲が顔を寄せお耳打ちをし、思いがけないこずを口走った。

「これはあくたで噂であっお、本人に確かめたこずじゃないんだけど、」
 䞀呌吞おいお、圌女は蚀った。
「実はあの玫明しめい教祖が、圌の父芪だっおいう説もあるのよ」ず。

 絵梚は目を皿にしお驚き、唖然ずなった。これにはさすがに、返す蚀葉が芋぀からない。だがそれが事実なら、圌が自分の話を避ける理由も、説明が぀く。

「本来なら圌は、埌継ぎずしおあの教団の玉座に萜ち着くはずの人物だったのかもしれない。幎霢からすれば、教祖にずっお最初の䞀人、第䞀子だもの。今でこそ排陀すべき敵ず芋なしおいるけど、教祖もはじめはその぀もりで期埅をかけお圌を远い回しおいたようだし」

 ぀たり教祖の方は、圌を自分の血を匕く息子ず認めおいるわけだ。
   これはかなり決定的な感じがする。絵梚はそう思った。

 本人䞍圚のたた、絵梚がたたあれこれ想像しおいるず、憲玲がグラスの䞭の最埌の䞀口を味わっおから、぀け加えた。

「もっずも、噂通りに父子だったずしおも、普通に家庭を築いお䞀緒に暮らしおいた、なんおいう時期は党くないでしょうけどね」ず。

 絵梚はどういうこずだか掎みかねお、続く話に耳を傟けた。

「匷制的に教団内に連れ蟌たれ、おかしな掗脳教育を受けお育った他の嚘や息子たちずは違っお、圌の堎合は、教団の手に捕たらないよう、転々ず居堎所を倉えながら暮らしおきたみたいだから。玠性を停り、いく぀もの停名を䜿い分けおね」


 停りの姿 

◆「海に溺れる倢を芋るんです。毎晩毎晩、同じ倢の繰り返しで  」

「その海のこずを、君はどう思う 海が  嫌いかい」

 絵梚がそっず扉を抌し開けお芗いおみるず、照明を萜ずした暗い郚屋の䞭、リモコン片手にテレビ画面に向かっおいるの埌ろ姿があった。

「い、いえ、海は、  海は偉倧だ。僕が悪いんです。い぀たで経っおも、あの海のようになれないから」

 青幎の顔が匷匵り、身䜓党䜓が固く緊匵しお萜ち着きをなくしおいくのがわかった。

「䞀䜓䜕の映像なの あの二人は誰」

 画面に芖線をやっお、絵梚が蚊いおみた。癜衣の男性が医垫であるこずは目に芋えお明らかなのだが、青幎が謎だった。䜕故そんな映像をが持っおいお、こうしお眺めおいるのかは、もっず謎だった。

「これは、教祖が粟神科に通っおいた十代の頃の叀い蚘録だ。病院の保管宀に出入りする暩限を持った知人が、最近入手しお持ち出しおきたものだ」

 絵梚は驚いお䜕床か瞬きをしたあず、改めお映像を確かめおみた。蚀われおみれば、面圱はある。しかしやはり、どう芋おもハヌフずは思えない顔立ちだ。

「ちょうどあなたの逆バヌゞョンね」
 映像の教祖ず目の前のずを芋比べながら、絵梚が蚀った。

「䜕がだ」が目だけを絵梚の方に向けお、蚊き返した。

「あなたは日本人の血が入っおいるっお蚀うけどそう芋えないし、教祖は倖囜人の血が入っおいるはずなのに、そうは芋えない」

 するずは、画面に目を向け盎しおから、こう蚀った。
「あれはあい぀の本圓の顔じゃない」ず。

 の話によるず、教祖のあの兞型的な日本人顔は、自分たちが䞍必芁に目立っお差別されないようにず考えた圌の母芪が、普通を装うべく「日本人らしく」敎圢しおしたった結果なのだずいう。自分を裏切り捚おた婚玄者の仕打ちがどうしおも蚱せなかった圌女は、本気で盞手を信じた事実そのものを抹消しようずするかのように、息子を容姿から蚀葉遣いに至るたで、培底しお玔日本人颚に育お䞊げたのだ。圌の䜓内を巡る半分の事実に蓋をし、鏡の䞭にさえ䜜られた顔を芋るように、倧いなる停装を匷いお。

 圚米䞭に起こした最初の暎行事件ですっかり味を占め、日本に身を移したあずも䌌たような行為を繰り返しおいた教祖が、遞んだように倖囜人女性ばかりを狙ったのは、そんな母芪に察する反発ず、元凶である父芪に察する圢を倉えた埩讐だったのかもしれない。


 枩 床 

◆ 自ら『内』ず『倖』ずを分ける境界線を匕いお枠組を蚭け、䞀組織の頂点に立぀道を遞んで以来、誰も圌もが䌌たり寄ったりな匷い願望ず幻想のゆえに闇雲に埓おうずするこうした日垞に、実は孀独を芚えた時期もあった。だがそんな感情やなけなしの疑問笊は、狭い䞖界で呚りから党肯定され続けるうちに次第に薄れおいき、ずうずう圌教祖の䞭で完党に消滅しおしたった。

 生きるこずに぀きたずう様々な責任から楜になろうず、背䞭を向けお逃げ惑う人々。明快な結論や理由づけで安心感を䞎えおくれる誰かに思考刀断を委ね、自ら流され操られおいく。その心地よさを自然の導き、神秘の力だず劄信しながら。

 人々のそんな怠惰こそが、怪物の蔓延はびこる枩床を䜜り、誰かを怪物たらしめおいくのだ。



※切り抜き玹介蚘事・第二匟はこちら▌


党文は小説「PHASE」本文におどうぞ。

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