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不器用な男女の恋の物語

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僕のnoteより、恋の話セレクションです
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2024年5月の記事一覧

目的と手段

こういうものが欲しいな、こういうことがやりたいなと思った時、それは『目的』なのか『手段』なのかという観点で考えることがある。

例えば「もっと給料のいい仕事に転職したい」という場合。これは一見『目的』に見えるが、「もっとお金が欲しい」「もっと自分の時間を確保したい」という『目的』のための『手段』のひとつであると考えることが出来る。更に掘り下げると、「もっとお金が欲しい」「もっと自分の時間を確保した

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愛は○○

愛は○○

愛は音楽だと誰かが言った。
人と人、違う楽器がひとつのハーモニーを奏でるからだと。

愛は絵画だと誰かが言った。
キャンバスに絵の具を重ねるように、想いは重なってゆくからだと。

愛は映画だと誰かが言った。
瞬間瞬間を繋ぎ合わせて、いつでも見返せる作品になるからだと。

愛は芸術で、愛は美しく価値のあるものだ。

愛は水だと誰かが言った。
乾きを潤し、生命を育み、汚れを洗い流し、時に我々はそれを強

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勇者と姫の20年

勇者と姫の20年

魔王にさらわれた姫を助け出すために、勇者は王国を旅立ちました。長い長い冒険の旅の果て、勇者が魔王のところにたどり着くまでには20年の月日が流れていました。

当時18歳だった姫は38歳になっていました。姫は魔王と結婚し、魔王との間には双子の男の子と娘の3人の子供を授かっていました。双子の男の子はもう16歳、高校ではサッカー部に所属し、ポジションは左右のサイドバック。将来はサッカー選手になりたいと言

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しり太郎

しり太郎

彼は私のおしりが好きだと言う。私は自分の大きなおしりがずっとコンプレックスだった。しかし会うたびに素晴らしい最高だ芸術だエクセレントだと褒められ続ければ悪い気はしないものだ。いつしか私は自分のおしりに自信を持つようになっていた。

どうしてそんなにおしりが好きなのと聞いてみたことがある。彼は一瞬口ごもったあと、信じられないかもしれないけれど、嘘みたいな本当の話なんだけど、と2つも前置きして話をして

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魔弾の射手

魔弾の射手

「好きです。俺と付き合ってください」

愛の告白は銃を撃つのに似ている。4回目のデートの帰り道、駅までの近道にと選んだ井の頭公園の街灯の下で、俺は意を決してリボルバーの引き金を引いた。誤たず彼女のハートを撃ち抜くことが出来れば俺たちは恋人になれる。俺には勝算があった。

彼女は仕事関係で知り合った友人だった。映画が好きだという話で盛り上がって、どマイナーなポーランド映画を一緒に観に行くことになって

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砂糖菓子の弾丸

砂糖菓子の弾丸

「やめろ、それ以上近づいたら好きになってしまうぞ!」

4回目のデートの帰り道、会話の流れで次は美術館に行こうよと提案してきたマキコに、俺は拳銃を向けてそう言い放った。

これをデートなのだと認識していたのは俺だけだったのかもしれない。マキコとは仕事関係で知り合った友人だった。映画が好きだという話で盛り上がって、どマイナーなポーランド映画を一緒に観に行くことになって仲良くなって、それからはたまに映

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失望する権利

失望する権利

大好きな映画監督さんの8年ぶりの新作が公開された。学生時代に観てどハマりして、そこからレンタルビデオ屋さんで過去作品も漁ってどれも素晴らしくて、でも8年前の作品を最後にもう撮らないだろうと言われていた老監督の待望の新作だった。

新作を準備中だというニュースを観たのは3年ほど前だったろうか。それからずっと楽しみにしていてようやく完成。ヨーロッパの映画祭でいくつか賞を取ったというニュースにも更に期待

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愛される側の人間

愛される側の人間

周りの人たちと関わっていて、ふとした言葉や考え方を聞くにつけ、あぁこの人は愛される側の人間なんだなぁ、僕とは根本的に違うんだなぁと思うことが時々ある。『愛される』を当たり前に持っていること。それはとても強い。僕はそれをとても羨ましく思う。

ここで『愛される』の定義だとか、何をもって周りの人たちが愛されるを持っていて自分はそうでないかと感じるのかとか、そういうことを論じたいわけでない。愛される側の

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20×20-1

20×20-1

私から逃げないでくださいとあなたは言った
分かったよきちんと向き合うよと僕は応えた
もう5月なのに冷たい雨が降る嫌な日だった
話し合いを終えてクタクタになって帰ったら
風邪を引いた猫があちこちに粗相をしていた
慌てて電話をして車で動物病院に連れて行く
幸いただの風邪だったようでそこは良かった
嫌いな注射をされてしょんぼり小さくなる猫
釣られて僕もしょんぼり小さくなってしまう
ああ僕はあの時どうすれ

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僕が出会い厨だった頃の話

僕が出会い厨だった頃の話

基本的にここに書いていることは全部嘘ですよ、という話を昨日書きましたね。

と、前置きしておいて、

僕が不特定多数の女性との出会いを楽しんでいたのはおよそ7、8年前のことだ。きちんと数えたわけでもないが、おそらく3年弱の期間で30人以上の人と会った。これはそこそこ多い方なのではないかと思う。

当時僕はコンビでお笑いをやっていた。事務所には所属せず、フリーでライブに出てはネタを磨いていた。が、な

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俺の書いた俺たち

俺の書いた俺たち

「オイお前、何で俺たちの恋愛はいつもうまくいかないんだよ!」と、これまで書いてきた作品の主人公たちが文句を言ってきた。

「仕方ないじゃないか、俺は恋愛経験が少ないんだ。恋愛でうまくいくってことがよく分からないんだよ!」そう文句を言い返してやると、主人公たちはぶつぶつ言いながらも引き下がってくれた。さすがは俺が書いた登場人物たち、俺の言うことはよく分かってくれるようだ。

「しょうがない、俺たちが

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好きの構成要素

好きの構成要素

・もっと知りたいなと興味を持つ
・会いたいと思う
・一緒にいて楽しい
・感情が動く出来事があった時にそれを分かち合いたいと思う
・何でもないような出来事も分かち合いたいと思う
・困っていることや悩みがあったら助けたい
・外見を見て、かわいいな、綺麗だな、カッコイイなと好感を持つ
・触れたくなる
・連絡が来ると嬉しい
・生き様や人生哲学、仕事ぶりなどを尊敬する
・性的魅力を感じる
・性的な接触を持ち

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永遠に美しく

永遠に美しく

魔女の愛していた竜人族の男を私は殺した。私は魔女を愛していたからだ。竜の返り血を浴びた私は不老不死となり、魔女は想い人を殺した私に復讐するために私を殺す方法を探し始めた。愛する人が私を殺すために生きている、それはまるで愛のようだった。

魔女は私を殺すためのあらゆる方法を試した。私を炎で焼き、水に沈め、雷を落とし、切り刻み、毒を盛った。けれども私は死ななかった。古今東西様々な文献を読み漁った魔女は

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