目的と手段

こういうものが欲しいな、こういうことがやりたいなと思った時、それは『目的』なのか『手段』なのかという観点で考えることがある。

例えば「もっと給料のいい仕事に転職したい」という場合。これは一見『目的』に見えるが、「もっとお金が欲しい」「もっと自分の時間を確保したい」という『目的』のための『手段』のひとつであると考えることが出来る。更に掘り下げると、「もっとお金が欲しい」「もっと自分の時間を確保したい」も、「もっと映画を見に行きたい」という『目的』のための『手段』であるかもしれない。自分の中にある根源的な欲求と、そのために自分が出来ることを掴むため、『目的』と『手段』という観点は有効であると考える。

最近、恋人が欲しいなぁと思うことが増えた。これもまた『目的』のようで『手段』なのだと思う。では「恋人を得る」という『手段』を用いて獲得したい『目的』は何なのだろうか?一緒に遊びに行くパートナーが欲しい、寂しい時に一緒にいてくれる人が欲しい、定期的にセックスが出来る相手が欲しい、悩みや愚痴や、逆に良かったことや楽しかったことを分かち合える相手が欲しい……パッと思いつく具体的な『目的』たち。更に掘り下げて行くと辿り着く根源的な『目的』は、「孤独な時間を何とかしたい」ということのような気がしてきた。「孤独な時間を何とかしたい」という『目的』のための『手段』のひとつとしての「恋人が欲しい」。うん、これはそれなりにしっくりくる『目的』だ。

『目的』がはっきりすることで、そのための『手段』を見直すことが出来る。その『目的』のための『手段』はそれがベストなのか?他にもっと有効な、或いはもっとコストの低い『手段』もあるのではないか?そうやって考えることでまた『目的』をはっきりと自認出来たりもする。しばしば混同しがちな『目的』と『手段』、こうやって分けて考えてみるのはとてもオススメです。

というわけで前述の「恋人が欲しい」について、「孤独な時間を何とかしたい」ための『手段』なのだとすれば、例えば「猫を飼う」などの代替案も考えられる。しかしどうも腑に落ちない。何故だろう?ともう少し掘り下げてみると、「好きな人と大っぴらに一緒に過ごしたい」、「誰かに愛されているという実感が欲しい」という『目的』が見えてきた。この『目的』を達成するためには、「恋人を得る」という『手段』以外はどうも難しそうである。なかなか難儀なもんだ。

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