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言葉を編んでいく感覚

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以前まで『言葉を手にしていく感覚』というブログを書いていました。 http://ryohsblogtakk.blogspot.jp/ それを引き継ぐ形で、今後はこちらに私的な文…
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#書評

“速読”よりも大切なこと

“速読”よりも大切なこと

読書は「こなすもの」ではなく「味わうもの」なぜだか、インスタ経由で「読書」に関する質問を寄せられることが多い。

まず、多いのが「なんでそんなに速くたくさんの本を読めるんですか?」というもの。

まあ、まずぼくがケニアでネオニート的な暮らしをしているので、読書に充てられる絶対量が多いのは間違いなくあるだろう。

一方で、強く思うのは「そもそも、本を速く読む必要なんてあるんだっけ」ということだ。

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動作としての「読む」と「走る」

動作としての「読む」と「走る」

この二週間、動作として「読む」と「走る」しかしていない。

ポーカーが負け込みすぎて、しばし休息することにしたのだ。
今月が始まってから15連勝と、いままでにない破竹の勢いで勝ちまくっていたのだけれど、ある日を境に、1週間連続で負け込む事態に反転。

ピュアにポーカーを楽しむ気持ちも枯渇しそうになりそうだったので、いったん完全に稼働を止めてみることにした。

そんなわけで、やることと言えば「読む」

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なぜか焼肉系のYouTubeチャンネルにどハマりしている件

なぜか焼肉系のYouTubeチャンネルにどハマりしている件

岡田斗司夫さんが予測する2028年の世界像岡田斗司夫さんの『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』を読んだ。

表題になっているYouTubeの趨勢、もっといえばコンテンツプラットフォームの行方に割かれているのはせいぜい1〜2章ほどで、全体としてはAIを中心としたテクノロジーの進化によって社会はどう変わるのか、といったライトな未来予測本になっている。

2018年に発行されている

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10代で知りたかったお金の話を教えてくれる5冊

10代で知りたかったお金の話を教えてくれる5冊

広く言われるように、日本ではファイナンシャル・リテラシーに関する適切な公教育が行われていないため、資本主義とは何か、お金(貨幣)とは何か、お金をどうやって稼ぐか(あるいは運用するか)などに関する知識・価値観が人によってまちまちである。

今回のnoteでは「お金をどうやって稼ぐか(あるいは運用するか)」を軸に、5冊ほどの本を紹介できればと思いつつ、包括的に「マネー」を理解しようと思えば、もちろん資

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「死」について真正面から考えてみたいときに読む五冊の本

「死」について真正面から考えてみたいときに読む五冊の本

「死」について思いをめぐらせることは、決して悪いことではない。

この世界において、「絶対」と言い切れることはほとんどない。唯一あるとするなら、人は誰しも最後は死ぬ、そのことだけは絶対だろう。

「今日より若い日はない」との至言に集約されるように、ぼくらは産まれ落ちた瞬間から確実に一歩づつ、死に向かっている。そのことを誰も否定できない。砂時計が落ち切る前に、ぼくらは生になんらかの意味を見出し、一度

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人生に“PRINCIPLE”はあるか

人生に“PRINCIPLE”はあるか

世界を相対化するためにある者は畑を耕し、ある者はコードを書き、ある者は哲学を探求する。またある者は、毎日ポーカーに明け暮れる。生き方はなんだっていい。一度きりの人生で、自分の意思で、実感を持って世界にコミットしているのかどうかが重要なのだと思う。

じゃあ自分はどんな角度から、どんな物差しを持って、世界のどこで、ある物事にコミットしながら生を燃やしていくのか。

ジョブズに言われるまでもなく、人生

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「思考」と名のつく本 15選

「思考」と名のつく本 15選

「考えるを考える」という連載をやっているくらいには、考えることや、抽象化、思考と実践の関係性に興味をいただいてきました。

振り返ってみれば、「思考」「思考術」「思考法」と冠された本もことのほかよく読んできたなと。鉄板級からちょいマイナー目まで、ここで紹介できばと思います!

「考え方」の考え方いわゆる自己啓発書に区分される本著ですが、「この一冊だけで自己啓発は十分なのでは」と考えているくらい影響

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今日も"言葉"を食べ、"言葉"と眠って、"言葉"と生きるーー #言語化力 を読んで

今日も"言葉"を食べ、"言葉"と眠って、"言葉"と生きるーー #言語化力 を読んで

「今から会おうよ」ーー。日付が変わりかけた、深夜のある日のこと。
タクシーに乗り込み、けやき坂のスタバへ向かう。

あの頃はまだ暖かかったから、テラスの席で。
ホットラテを二つ注文して待ってくれていた三浦さんと落ち合った。

「どうしたよ?」

そう声をかけてくれた、三浦さんに悩みを一つづつ吐露していった。

経営のこと、プレイヤーとして生きていくための展望、体調が優れぬこと・・・

一つひとつの

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こういう本に出逢うため、読書をしているのかもしれない

こういう本に出逢うため、読書をしているのかもしれない

勧められて読んだ本『急に具合が悪くなる』。

哲学者・宮野真生子さんと人類学者・磯野真穂さんの往復書簡で構成される一冊なのですが、その内容、本が出来上がるまでのストーリーとタイミング、二人が紡いでいく魂の交歓に胸が震えっぱなしでした。

こんな本に出会えることは、滅多にないと断言できます。最近は1年に100冊ほど読書をしていますが、肌感覚としておそらく3年に1冊出会えるかどうかの衝撃度。身体が揺さ

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サードドア・ノック/潜在的失敗の回避/正しいリスクテイク

サードドア・ノック/潜在的失敗の回避/正しいリスクテイク

弊社モメンタム・ホースとして編集・発信のパートナーを務めるVAZ.inc 代表・森くんのアツいnoteが反響を得ています。

「勝ち組になりたいのにも関わらず、その方法を勘違いする人が多い」ことには、問題を感じます。「勝ち組なる」ことと「勝ち組でいようとする」ことを混同してしまっては、いつまでたっても勝ち組になることはできず、幸せを手にすることができないからです。

今回のnoteでは、スタートア

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断片的なものの“みずみずしさ”

断片的なものの“みずみずしさ”

人生は日常でつくられるし、日常は“断片的なもの”でつくられる。

瞬間が織り込まれるように、幾重に連なる“断片的なもの”を個別に捉えるのは難しい。手にとって匂いを感じたり、観察したり、味わったり。

「当たり前」のラベルが貼られた事物や存在であるほど、その難しさは増す。

たとえば、それは肌をつたうそよ風かもしれないし、道に転ぶ小石や、仕事のささやかな悦びなのかもしれない。

一瞬を尊び、その意味

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「勉強」は人をダサく、孤独にする。でもその自己破壊は「変身」への序章なのである

「勉強」は人をダサく、孤独にする。でもその自己破壊は「変身」への序章なのである

千葉雅也さんの『勉強の哲学 来たるべきバカのために』を読みました。

昨日行われた読書会でご紹介させていただいたのですが、せっかくなのでこちらにも記録を残しておきます。

「深い勉強」を通じ、ダサさ、ノリの悪さを超えていくいちおう体としては哲学の入門書的な向きもあると思うのですが、
一読してみて僕が思ったのは、この本が千葉さんご自身の伝記でもあり、エッセイでもあるということです。
そして、僕は強烈

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