記事一覧
紫陽花に降る青黒い雨ー『カムカムエヴリバディ』の詩的な映像表現
今日の『カムカムエヴリバディ』(第17話)は、岡山大空襲を描いており、内容的には見ていてとてもつらくなった。一方で、金太役の甲本雅裕さんの慟哭のシーンを初め、俳優陣の演技からは今日も感動をもらった。それと同時に、独特な映像表現の秀逸さに目を奪われた回でもあった。
甲本さんの迫真の演技については言わずもがな、ここでは一言だけ、上白石萌音さんの演技に触れておきたい。避難先で空襲の恐怖に怯えながら、安
松村北斗さんの所作の美しさーー『カムカムエヴリバディ』の稔さんーー
ここ最近、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』を観ることが最大の楽しみだ。
三世代のヒロインのトップバッター安子を演じるのは上白石萌音さん。ミュージカル映画『舞妓はレディ』の時から、演じて歌って踊れるすごい新人が出てきたなあ、と注目しているうちに、あれよあれよとスターダムを駆け上がっていった。安子役も、安定の演技。それでいて初々しい清らかな女性像がちゃんと感じられるから、やはりただものではない。とにか
『愛の不時着』 封印されたエンディングーー「NHKアナザーストーリーズ」所感ーー
※ネタバレあります※
先月半ばにNHK BSプレミアムで放送された「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」は、『愛の不時着』制作の舞台裏に迫った。タイトルは「愛の不時着〜国境を越えた大ヒットの秘密〜」。(放送日時2021.10.12(火)21時〜、再放送10.21(木)8時〜)
この番組で流されたインタビューの中で、監督のイ・ジョンヒョの口から、『愛の不時着』のエンディングは当初の予定とは違うも
誰かひとり足りないよ
3歳のわたし
太陽がカンカンと照りつける夏の庭にしゃがんで
何時間でもミミズを見ていた
ジョウロでチョロチョロと水をかけたり、時々小枝の先でつついたりしながら
「あれ?誰かひとり足りないよ」
お兄ちゃんも、年子の弟もいる
今日も、大人たちが「愚連隊」と呼ぶ近所の腕白坊主たちと、元気に遊びほうけている
お父さんもお母さんもいる
でも
この家の中には、誰かひとり足りないよ
5歳のわ
牛乳瓶の中の絶望と希望ーーエルサ・ペレッティとの出会いーー
ティファニーで活躍したジュエリーデザイナー、エルサ・ペレッティは、約半年前、2021年3月に逝去している。そんな故人と、私は数日前、全く唐突に出会った。
体調不良のために、昨年秋退職してからというもの、無収入になったおかげで、私はかなりの節約家になった。初めてフリーマーケットにも参戦した。そして、モノとの関わり方について、色々と考えるようになった。ミニマリストになったわけではないが、少なくとも、
『愛の不時着』のエンディング––「リアル」と「夢幻」が交錯する二重構造––
※ネタバレを含みますので、本作品をご視聴前の方はご注意ください
『愛の不時着』は今日もネットフリックス(日本)の総合10位以内に入っており、その人気は衰える気配がない。『冬のソナタ』が、韓流ドラマというすてきなコンテンツの存在を日本に知らしめた歴史的名作であったとすれば、『愛の不時着』は、韓流の映像作品が、世界的に通用する高価値を持つコンテンツへと見事な成熟を遂げたことを宣言するという意味での画