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宇宙を抱いて

誰かといると さびしいね


あの子の中に ぽっかりと浮かぶ宇宙が さびしいね

私の中に ぽっかりと浮かぶ宇宙も さびしいよ


あの子と私が 手と手を伸ばして 

ふと 指先がふれあう時

お互いの中に浮かぶ 青暗あおぐらい宇宙が響き合って

よけいにさびしくなるんだ


冗談を言って 笑い転げたあとに

短い沈黙がおとずれる

すると 笑う前より もっとさびしくなるんだ


あの子も 私も 知らない


どうして生まれてきたのか

どうして死ななくちゃならないのか

死んだらどこへ行くのか

それとも すべてが無になるのか


人間たちは 毎日毎日がんばってるけど

いつか 地球は 赤色巨星せきしょくきょせいになった太陽に のみこまれるって 理科の時間に習ったよ

それなのに どうしてがんばっているのかな


あの子の中に ぽっかりと浮かぶ宇宙も

私の中に ぽっかりと浮かぶ宇宙も

果てしがなくて 膨張し続けてるんだって 理科の時間に習ったよ


宇宙という孤独をいて

あの子も 私も 永遠にさびしいよ




【※筆者注釈】

宇宙の果てについての考え方や宇宙膨張説、太陽の運命と地球の行く末等については、幾つかの仮説が提唱されているものの、いまだ解明されていないことが多いようです。この詩は、その仮説の中でひと昔前によく耳にしたことを材料としていますが、無論何ら科学的知見に基づくものでもなく、根拠のあるものでもありません。ただ、少なからぬ人々が、宇宙・太陽・地球の運命について、漠然とこのようなイメージを持っているのではないかと思います。



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