マガジンのカバー画像

映画レビュー【映画の中の人生】

403
悩み事だらけの私は、映画で描かれる人々の生き方を観て、励まされ、救われ、生きる術を学んできました。そして、わずか2時間前後のストーリーに凝縮されたキャラクターたちの人生から、本当…
運営しているクリエイター

#ファンタジー

9 〜9番目の奇妙な人形〜(2009)

9 〜9番目の奇妙な人形〜(2009)

ティム・バートンが惚れた麻布人形たちの活躍を描く
愛らしくも切ないダーク・ファンタジー

1988年に製作されたホラーコメディ『ビートルジュース』で注目を集めたティム・バートン監督は1989年『バットマン』の監督に抜擢され、1990年には名作『シザーハンズ』を発表しました。

『シザーハンズ』は手がハサミの人造人間エドワードという奇想天外な主人公のため、私はドタバタB級コメディかと思って観始めたの

もっとみる
ビッグ・フィッシュ(2003)

ビッグ・フィッシュ(2003)

豊かな人生を送りたい人は必見!
奇才ティム・バートン監督の心温まるファンタジー

ファンタジー映画『ビッグ・フィッシュ』は、人を喜ばせようとする優しい気持ちに満ち溢れた作品です。ファンタジックな映像の数々に、映画という媒体の素晴らしさが改めて分かります。

原作は米国でベストセラーを記録したダニエル・ウォルスの小説。映画ではファンタジーを信じる心が何を生み出すのか、実際に目にできることの幸運をじっ

もっとみる
落下の王国(2008)

落下の王国(2008)

映像の魔術師ターセム監督が圧倒的な
スケールの映像で描く愛と再生の物語

『ザ・セル』のターセム監督による、ファンタジーアドベンチャー映画。

独創的で色彩豊かな映像と、愛と死が交錯した深遠なストーリーで、観る者を美しくもミステリアスなファンタジーワールドへ誘います。

映画では、ロイとアレクサンドリアとの現実世界の物語と、ロイが作り出したおとぎ話が交互に映像化されます。

ロイが語るのは、仮面の

もっとみる
ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(2002)

ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔(2002)

観る価値のある作品にした
視覚効果技術で生み出された迫真の映像

2001〜03年にかけて、ニュージーランドの異才監督ピーター・ジャクソンがトールキン原作の人気ファンタジー叙事詩『指輪物語』3部作の映画化に取り組みました。

第1部『旅の仲間』(01年)はアカデミー賞で13部門ノミネートという高評価を受けましたが、結局、受賞は視覚効果賞を含む3部門にとどまりました。

でも、それもそのはずでしょ

もっとみる
チャーリーとチョコレート工場(2005)

チャーリーとチョコレート工場(2005)

悪い子どもたちにはしっかりお仕置き!
大人も童心に返って楽しめるファンタジー映画

2005年に、ジョニー・デップ主演で映画化された本作は、とびきり楽しい映画です!

正体不明の天才菓子発明家ウィリー・ウォンカの経営する謎の巨大チョコレート工場で4人の子どもたちがひとりひとり消えていき……。

子どものときに絶対読んでほしい児童書といえば、ロアルド・ダール原作の『チョコレート工場の秘密』があげられ

もっとみる
ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女(2005)

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女(2005)

想像力が生み出すナルニア国
子どものためのおとぎ話を忠実に映画化

「想像力」がなければ、決してたどり着けないナルニア国。1950年代に出版された英国の作家C・S・ルイスの原作はトールキンの『指輪物語』と双璧をなす児童向けファンタジーであり、子どもの頃に原作を読み、ペベンシー家の4人兄妹が体験する異次元のナルニア国でのアドベンチャーに想像を膨らませたファンが世界中にいるという人気シリーズです。

もっとみる
ハウルの動く城(2004)

ハウルの動く城(2004)

老いの戸惑いも、戦争の苦しみも乗り越えて! 
恋する90歳のソフィー婆ちゃんの活躍に注目

戦争や高齢化社会など、世の中には憂慮すべき問題が溢れ、最良の解決策は当分見つかりそうにありません。

宮崎駿監督の『ハウルの動く城』は、これらの厳しい現実を反映させながらも、押し付けがましいメッセージはありません。“素直な心で感じてほしい”というのが監督の願いで、公開時、作品を宣伝するための資料は一切公開し

もっとみる
ハリー・ポッターと賢者の石(2001)

ハリー・ポッターと賢者の石(2001)

世界中の人々を魅了した、魔法のようなファンタジー映画
『ハリー・ポッター』映画シリーズ記念すべき1作目

魔法使いの能力を秘めた孤児の少年ハリー・ポッターが偉大な魔法使いとして成長していく姿を描いた『ハリー・ポッターと賢者の石』は、1997年に出版され、世界中で大ベストセラーを記録したファンタジー児童書です。

魔法魔術学校で勉強する魔法使いの子どもたちの物語は、絵空事に留まらないリアリティと親し

もっとみる
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1993)

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(1993)

ハロウィンの死者たちがいじらしくも、かわいい!
楽しくも、切ない、味わい深いアニメーション

『バットマン』(’89年)や『シザーハンズ』(’90年)で注目された、オタク監督のティム・バートンが原案・原作・製作を手がけ、その並外れた創造力を発揮したストップモーション・アニメーション。

1993年に公開されて以来、冬のホリデーシーズンになると観たくなる、愛すべき作品です。

クリスマスを知らない怪

もっとみる
イルマーレ(2006)

イルマーレ(2006)

大ヒット韓国映画のハリウッドリメイク版
『スピード』の名コンビが紡ぐ、美しくも切ないラブストーリー

ハリウッドスターの本領発揮! 撮影時の実年齢は40歳を過ぎた中年なのに、文通で始まるウブなラブストーリーがこれほど絵になるなんて。

アクション映画『スピード』の名カップル、キアヌ・リーブスとサンドラ・ブラックが12年ぶりに共演を果たし、姿の見えない相手を愛する男女を情感豊かに演じきっています。

もっとみる
トイ・ストーリー2(1999)

トイ・ストーリー2(1999)

笑って泣けるドラマを演じるのはオモチャたち
最先端なのにアナログ的なフルCGアニメ

オモチャたちが演じる “実写”映画――。

1995年、画期的なテクノロジーを用いて映画史に新たな1ページを開いた『トイ・ストーリー』について語るなら、世界初のフルCGアニメーションという、いかにもデジタル的な言葉よりも、どこかアナログ的な温かみのある言葉であえて呼びたいです。

それほどオモチャたちの豊かな個性

もっとみる
グリンチ(2000)

グリンチ(2000)

見事な特殊視覚効果技術が生み出した
ファンタジックで楽しいクリスマスの物語

イタズラ好きでひねくれ者のグリンチはクリスマスが大嫌い。だから、クリスマスをこよなく愛するフーヴィルの住人フーたちを悲しませるためにクリスマスを盗み出そうとします――。

世界中で親しまれているドクター・スースの寓話『グリンチはどうやってクリスマスを盗んだか』を『アポロ13』(’95年)のロン・ハワードが実写で映画化しま

もっとみる
フラバー(1997)

フラバー(1997)

コミカルなロビン・ウィリアムズを脇にまわすのは、
ILMの最新テクノロジーで生まれたすごいヤツ

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(’97年)で、初めてアカデミー最優秀助演男優賞に輝いたロビン・ウィリアムズが同年に出演した本作は、もうひとつの助演(?)作品です。

本作の主演はフラバーです! といっても、フラバーとは単なる緑色のくねくねした物体。しかし、これが、ジョージ・ルーカスが創始した

もっとみる
美女と野獣(1991、2002)

美女と野獣(1991、2002)

《他者への優しさ》を知る、未熟な野獣の心の成長に共感
美しい映像とストーリーで魅了する名作ディズニーアニメ

心の醜い野獣と、愛に溢れる聡明な美女ベルのラブストーリーはいつまでも色褪せません。

アニメ史上初めてアカデミー作品賞にノミネートされたディズニーアニメ映画『美女と野獣』(’91年)は、『リトル・マーメイド』(’89年)から始まるディズニー第2次黄金期を象徴する作品です。

でも、その評価

もっとみる