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ソーのこの優しさに憧れる

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自分を助けてくれた大切なものたち

自分を助けてくれた大切なものたち

 おはようございます(*´꒳`*)

 画像は「みんなのフォトギャラリー」から使わせていただいています。ありがとうございます(*´꒳`*)

 こちらは、次男が小学校にあがるときに自転車を新しく買い換えた時の気持ちをFacebookに書いた記事を抜粋(一部加筆)しています。

自転車を新しくしました。
海の町の市民には自転車は欠かせません。
そして新しい自転車を購入すると同時に子供のせ自転車を卒業

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小説|人だからさ

小説|人だからさ

 十年ぶりに彼女は町へ帰ります。知らない土地に思えました。古い建物の屋根は焼け落ちており、土壁には銃痕。支援金で建てられた新しい家々には知らない人々が住んでいます。夜に沈む町は変わりました。そして彼女も。

 十年前。彼女と病弱な幼い弟は、町の飯屋で無口な店主から軍人の残飯をもらいました。姉弟が急いで食べるかたわら、店主の腹が鳴ります。店主の痩けた頬を見て「なぜ、くれるの?」と彼女。店主は答えませ

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【1話完結小説】文化祭(午後原茶太郎シリーズ)

【1話完結小説】文化祭(午後原茶太郎シリーズ)

高校生活最後の文化祭。俺はベタながらお化け屋敷をやりたかった。男子はほとんど俺の味方をしてくれたけど、女子の大半が「メイドカフェをやりたい」と譲らない。

「文化祭と言ったらお化け屋敷だろ!」
「そんな暗いしキモチワルイの絶対イヤ!」
「メイドカフェ、一回くらいやってみたいし!」
「そんなもん女子しか盛り上がんねーだろ!」

意見は平行線で、出し物は永遠に決まらず、明日、改めて仕切り直すことになっ

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【短編小説】「靉靆」

【短編小説】「靉靆」

 都会の夜はどこか寂しく思える。
 青白い空も、いつまでも一人点滅している看板も、遠くで揺らいでいる電波塔も。全部自分のもののようにも思え、また世界の果てのようにも感じる。白い息の行方を目で辿ると、薄明の空が僕の頭上に横たわっていた。――みんなの知らない夜の姿、それを見るために僕は人より早く目を覚ます。
「おはよう、じいちゃん」
「えっと、お前は……たかし?」
「そう、だね」
 僕は目の前から歩い

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もう届かない③【短編小説】

もう届かない③【短編小説】

洗面台で顔を洗っているとき、お兄ちゃんと後ろから声がした。

鏡越しで後ろを見ると、妹の澪が怪訝そうな顔で見ていた。

「どこか行くの?」

「買い物だよ」

「何買うの」

「・・・服」

嘘・・・と持っている手提げ鞄をワザと落とし、大袈裟に反応してみせる妹。

「何、虐め?」

「別に命令されて買ってくるわけじゃない」

「じゃあ何で急に」

「俺もお洒落くらいするさ」

「ちょっと待って。今

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もう届かない②【短編小説】

もう届かない②【短編小説】

3月9日の朝。

結局、一睡もできなかった。

頭の中は明日のことで一杯だ。
しかし同時に「何故」という疑問が消えない。

年に一度、3月9日の0時0分に電話をしよう。

卒業式に山岸からそう声をかけられたのが全ての始まりだった。

最初は、何を言っているのかが分からなかった。

だってそうだろう。
相手は学年一番の人気者。一方こちらは勉強しか取り柄がない日陰者。

高校三年間で同じクラスになった

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もう届かない①【短編小説】

もう届かない①【短編小説】

3月8日午後11時59分。

普段この時間に連絡なんて来ないが、俺は一分後に携帯が鳴ることを確信している。

ベッドの上に置いてある携帯電話を凝視する。

部屋の壁際に置いてある時計の針の進む音だけが聞こえてくる。

俺は一秒ずつ数えていた。57.58.59・・・。

3月9日午前0時に着信が来た。

携帯を取る。
ディスプレイには山岸 里桜と表示されている。

直ぐに通話ボタンを押して電話に出た

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もう届かない④【短編小説】

もう届かない④【短編小説】

3月10日。当日を迎えた。

昨日妹の澪にお勧めされた服装、そしてワックス。ばっちり決まっているはずだ。

「あれ、もう行くの?」

リビングのソファでくつろいでいる妹が、携帯を触りながら聞いてくる。

「あぁ、父さんには帰りが遅くなるかもって伝えてるから。ご飯も冷蔵庫に置いてるから温めて食べてって言っておいて」

「そんなこと私から言わなくても、お父さんもう分かってるでしょ」

携帯をテーブルに

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もう届かない⑤完【短編小説】

もう届かない⑤完【短編小説】

3月は別れの季節だと、高校生の頃の担任教師がいっていた。

3月8日。
この時期になると、少し寂しくなる。
そんな事を思いながら書斎で仕事をしていると、携帯が鳴った。

「もしもし」

『あ、お兄ちゃん、久しぶり』

久し振りに聞く妹の声は、変わらず単調だった。

『明日の日曜日、暇だよね』

「勝手に決めつけるな」

『どこか出掛けるの?』

「そんな予定はない」

『じゃあ暇でしょ。仕事も日曜

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神様どうかこれ以上は【短編小説】

人は、祈る。
どうか願い事が叶いますようにと。

「もうすぐだぞ」

時計を見ながら兄が僕に話しかけてくる。
僕はため息をつきながら兄を見た。

さっきからずっとこうだ。

テレビでは住職が除夜の鐘をついている姿が映っていた。
あと一分で年が明ける。

父はリビングの炬燵で寝ており、母は自分の部屋で布団に入っている。そして来年から社会人になる兄は年が明けるのを今年も待っている。
我が家の年末年始は

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雨の受けとめ方

雨の受けとめ方

「あ、雨!」
ぶらんこに乗っていた五歳息子が真っ先に反応した。

「ついてないな、せっかく」
広げようとしたシートを畳み、屋根のある場所へ。
ぼやく私とは反対に「雨の匂いがいい」と明るい妻。

「写真で面白そうな滑り台があった」
妻の直感に従い訪れた公園。
しばらく待てど霧雨は濃くなるばかり。
お弁当を食べ終える頃には多くの家族が引き上げた。

「せっかくだから遊んでいこっか」
妻が息子に声を掛け

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好々爺しげさんの独り言は         かるくて深くてせつない

好々爺しげさんの独り言は         かるくて深くてせつない

この世を去った後に

その人の存在が
さらに
大きくなるということがある。

しげさんが亡くなったのはコロナ禍真っ只中の春だった。
葬儀はひっそりと行われ、家族だけに見送られて旅立った。

あれから1年半。しげさんの言葉は生き続けている。いや、その言葉の重みは増しているのだ。
しげさんの生前の生活は平凡だった。穏やかな日々。でも、だからこそ心豊かに生きるヒントがいっぱい。

ちょっと覗いてみましょ

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昔からよく道を聞かれます

昔からよく道を聞かれます

 おはようございます。

 イラストは「みんなのフォトギャラリー」から使わせていただいています。ありがとうございます。

 今回は、私が人に話しかけてもらうことが多いことについて書こうと思います。

 10代の頃から道を尋ねられる

 大抵一人で歩いていると、声をかけられて道を聞かれます。

 多いときは一週間に2回聞かれていました。

 出来る範囲で道案内をします。

 横浜駅でのバイト

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