翼が無いと分かった僕は地面をひた走る②【小説】
『背景、鳥飼 直様。
突然の手紙でさぞ驚かれただろうと思う。
もう僕の葬儀は済んだだろうか。済んでいるとは思う。この手紙が君のポストへ配達されるのは、一週間後と設定しているから。でも、まだ落ち着いていないのかもしれない。何せ、遺書も何も残さずにこの世を去ったから、みんな混乱していると思う。他殺を疑われていたら、嫌だな。
僕の親は、どうだろう。学校のみんなはどうだろう。涙を流してくれる者はいるだろうか。駄目だね、僕は弱い人間だから、こうしてこう手紙に書いているだけでも、意思