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バカボンの兄
2024年6月28日 00:13
無常の水面いつかの夏奥多摩でキャンプしていたせせらぎに足先を沈めてじっとしていた時どうにも分からないことに気づいた水は今ここを流れているけれどこの水を多摩川と呼ぶのか川底を多摩川と呼ぶのかどこからどこまでを多摩川と呼ぶのか分からなかった人は蛋白質の川だかつ消えかつ結びて八十年程の動的平衡を終える無常の水面はきらきらしていて虚しさのかけらもない2022年9月
2024年6月28日 00:08
茶悟りに達した老師が葬式で念仏を唱えている意味ないことと知りながらそうやって禅堂に暖房がつく「新しい資本主義は投資です」( ゚д゚)ポカーンいい加減、拝金主義の次を考えましょうと誰か言い出す気配すらなく社会体制がどう変われど門を閉ざさず非二元の体現者を輩出し続けてきた、禅の法灯を前に本当に大切なことはこれだけでしたと少し濃いめの茶で試される2022年6月
2024年6月25日 21:30
私とあなた見ているものをアートマンと名付けた見られているものをブラフマンと名付けたしかしアートマン即ちブラフマンだと見抜かれたするとアートマンを識別する意味がなくなった世界が青一色ならその青を、青と名付ける意味がないこれが無我であるよってアートマン(我)とその否定形であるアナタ(無我)は矛盾しない私はあなたと生きていくのだたった一つの三千世界で踊り狂えみんな
2024年6月24日 04:22
from Vashishtその子でもう三人目です小指の外側にも指がある赤いマニキュアもしている指折り数えるカレンダーつくるには十二本の指が必要だったはずいいえ翼への痕跡?極東アジアの島国では多指症と名づけて切り落とすそうです十二進法の指をも切り捨てる握り締める手を選んだ大勢の分別にはもはや翼に進化し得る足がありません二階の部屋を出るとすぐ牛舎の屋根の上に出ます右手
2024年6月23日 17:45
悪しき者体中が痒いので毛穴を全部ひらいてしまおうと湯舟につかっている両手は宙でページを繰っているひとを傷つけて痛みを覚えることでまだ罪びとであることを確かめている痛みを感じなくなったあとに何が残ってるっていうのか手の甲に浮かんだ汗はしずくとなって落ちる前の心引力によって内側から自分の輪郭を保つ奥から沁み出してくるものによって太る自分の命を絶つ力を備えてなお生
2024年6月22日 03:40
刃物/パパゲーノ3小学生の時ボンナイフというものがあってそれで鉛筆を削った削り方は母が教えてくれた同じ頃父が懐刀をくれてこれで家族を守るんだぞと言ったボンナイフはとうになくしてしまったが懐刀は今でも持っている父は有名私立高校の卒業生で僕は子供の頃、実力以上を強いられ壊れた。父の母校の校章は「ペンは剣よりも強し」だが僕は、それはちょっと違うと思っているペンは
2024年6月21日 09:32
余韻脳が死んであなたは死んだからやがて止まるでしょう、心臓を動かしているのは誰?まだ生きていますもうあなたがいないのだとしても水族館へ脳も心臓も持たないものを見にいくそこにいる、生かそうとするものは誰かクラゲ クラゲクラゲそれぞれの場所で泳ぐそれぞれの名呼びかけてみる固有性は神の斑かあなたはあなたよりも大きかったのか恐れを宿して踊っていた、ト
2024年6月19日 09:37
荷このまま狂ってしまうのではないか。途中下車してうずくまりその強い恐れが去るのを待った脳をわしづかみにしてくる、鈍重な違和感の塊とともに。まだ中学生だったがその苦しみを担ったもういい歳だが人生は棒に振ってしまった抑うつも相まっていまだに時折あの恐れが来るじっとして、それが去るのを待った園児の頃も毎朝吐いていたからそのように生まれついていたのだたいがいは絶望的だが
2024年6月17日 11:27
サニーハウスなまぬるくても飲めれば大丈夫。バケツとほうきとぞうきんがあればたいがいのものはきれいにできる毛布を重ねて小さくなればなんとか寒さもしのげるもの暑いのだけはどうしようもないかそんな時は部屋を出て木立の下で風を待ってるそんなふうにして旅人ならばバックパック一つ分の荷物のほかはなければないで済んでしまうのに毒なしではいられない生活に生まれた時から組み込まれている
2024年6月15日 23:31
悼む常に太古から全てのいきものに作用してきたというのにニュートンの登場まで誰にも気づかれなかった、引力のように現前はあった。なのに毎晩死にたくなるのはなぜなんだろうどこにいてもいたたまれないどこからもいなくなりたい常にどこにもいないと気づいているというのに。眠れぬ夜が明けて葬儀の支度をするタゴールとアインシュタインが対話した時タゴールは現前について語りアインシュタ
2024年6月15日 22:54
無力ということあなたが仏教徒ならそれを仏性と呼ぶのでしょうかあなたがクリスチャンならそれをみ心と呼ぶのでしょうか私はそれを命と呼んでいますあなたが泣いているなら命が泣いているのですあなたが苦しんでいるなら命が苦しんでいるのですあなたが驕って(おごって)いるなら命が驕っているのです暗い道であなたが誰かを刺したなら命がその人を刺したのですあなたが悔いているなら
2024年6月15日 12:31
濡れ衣嘘をつかれて居場所をなくしたいじめを受けてその場から逃れたそんな折、良寛さんを思い出す盗みの濡れ衣を着せられて言い訳もせず穴に埋められたそれで良かった助けは来るだろうかそんなことを思いもせず待つこともなくただそこに在った宇宙として、粛々と。三億円もらってももうやりたいことがないんだ布団の上に寝転んだまま夕となり、また朝となった(創世記1:5)20
2024年6月14日 23:29
略歴ベッドと机と椅子を捨てたそれから手紙と葉書を破いて捨てたもう二度と読み返さないだろう本を捨てた十年分の日記を要約しようと読み返してそれはできないのだと知って焼いたその後、本は図書館で借りるので増えていない晴れた日には散歩している雨の日は読書しているまだ着られるがもう二度と着ない着古しを今日海外へ送ったただ座すことと何ら変わりのない、それらは生きていく上で何ら必要の
2024年6月12日 14:39
原点十三歳、天文学者になりたかった。教室に座っていることができずひと気のない便所でうなだれた。銀河中心はブラックホールだと直観していた。うずくまり人刺し指を咽頭めがけ突き立てた。教師は何も言わなかった。医者はトランキライザーをくれた。効かなかった。生き残るすべなど誰にも教わらなかった。いつかインドへ行こうと思った。十六歳、死へ。昼休み、図書室横の便所で糞をしながら、それでも生きていていいの