バカボンの兄

(工事中) 詩とか旅とか

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  • バカボンの兄 雑記

    つれづれなるままにひくらしスマホにむかいて心にうつりゆくよしなし事をそこはかとなく書きつくっていきます。

  • バカボンの兄 旅記

    一話完結。読みやすい長さを心がけています。記憶を頼りに、ぽつりぽつり書き足していきます。

  • バカボンの兄 詩集

    詩の末尾に初稿を書いた年月を付していますが、note投稿にあたり加筆しています。投稿後の加筆もあり得るので、ご了承ください。

最近の記事

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詩/ニルヴァーナ あるいは 言葉の向こう側へ

ニルヴァーナ あるいは 言葉の向こう側へ 意味について 言葉で伝えようとする その無意味さ、 という意味を生じさせてしまう ジレンマを抱えながらも それでも伝える、を選択するのは そのジレンマが 次元への感受性の未熟さに過ぎないから。 物理的な痛みは 甘んじて受けるしかない 時折襲ってくる、強い恐れも 脳のメカニズムに変調をきたした結果としての表れ その耐え難きを 道端にうずくまって堪(こら)えている 足音が遠ざかっていく その痛みを 苦しみに変えない方法が 一つだけあ

    • 詩/玉ねぎの命

      玉ねぎの命 半欠けにラップした 冷蔵庫の玉ねぎが成長している ちゃぶ台に乗せて観察する 命はどこから来るのか 親から子へとつながっていないと 生命体にならない 命はどうやら 玉ねぎの内部から来ている 生命体の裏側に 異次元への扉がある (あるいは命の影として 投影されているだけの世界) 命はみえない、でも この身に発現している とわかる 錯覚ではない これに似たものを 僕は確かに知っている。 気づきの意識も みることができない 声が聞こえた時 聞こえたことに気づ

      • 詩/国語の授業

        国語の授業 お祭りの準備だろうか あるいは 戦争のしたくか ブルーシートで覆われた歩道が途切れて ふと顔を上げると 妙に世界が黄色っぽい アレ、目が変だ… 不安になる一歩手前で 補色残像のフィルターだよ と理解が追いつく 思考が助けになることもあるけど そうか うつむいて歩いてたんだ 義務教育を受けていた頃 国語の成績がすこぶる悪かった 問 : 太郎の気持ちを次の中から選びなさい って聞かれても そんなことわかるわけないじゃん 考え方なんかみんな違うんだし それじゃ

        • 詩/バランス

          バランス 古着屋で800円で買ったジーンズ 膝から下を切り落として 暑過ぎる夏の ハーフパンツにした 左右の長さが微妙に違うけど バランスなんか気にしてられない 左右の目の開き方も違えば 眉の高さだって違う そういうもんだ 沿道の 氷の彫刻 完成の一瞬に届かぬままに 溶けていくから詩が流れ出す 丈夫な人で社会をまわして 壊れている人が詩を紡ぐ そして、 丈夫な人が壊れそうな時に その詩をさっと差し出すんだ レオ=レオニの フレデリックって絵本みたいに 行き先に応じて荷

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        詩/ニルヴァーナ あるいは 言葉の向こう側へ

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        記事

          詩/明日になったら死のうと決めた

          明日になったら死のうと決めた 明日になったら死のうと決めた やり残したことはもうなかった 旅をした 地球一周できなかったけど 気が済むまで旅をした 楽器が弾けるようになった プロにはなれなかったけど あきらめることができるまで弾いた 黒帯を取った 弱かったけど弱いなりに 守りたいものがあった 死ぬほど知りたかったこともわかった それはわからないのだ、 ということがわかった 明日になったら死のうと決めた つらすぎるから 明日になったら死のうと決めて 今はこのごはんを

          詩/明日になったら死のうと決めた

          詩/原野2

          原野2 夢と知りながら 生き残る算段をしてみたが 奴隷労働で 生きているためだけに生きていくのは もう無理だった 突然 重心が消えて 胎盤から零れた 左右のない世界を どこまでも落ちていった (それとも昇っている?) 自分で決めた方向を見失い よるべきものが何もない 私の家はどこ? 壁に耳をあて 吐息をさぐるように 息をひそめた深海 その時 最古の聖典よりも古いものが すっくと立ち上がった お前の体 ここに帰りなさい 複数の世界観が交わる奇跡の肉体こそが 中道なのだ

          詩/息について

          息について 息は 自らの心 と書く 全ての声は吐息に乗る 吐息は 汗や うんこのように 少し前まで肉体の構成要素だった 呼吸、と一言で済ますけれども 吐く息と吸う息は 似て非なるもの 息とは 本当は吐息のみを表していて 吸う息は大気だ その大気に 全ての息ものの吐息が紛れている かくて肉体を回転扉として 陰は陽に、陽は陰に転じている 2024年6月

          詩/息について

          詩/コイン

          コイン 見えているこの感じ 聞こえているこの感じ 触れているこの感じ この感じの全てが 私だけのクオリアであることから 世界は私の反映である、 それを、世界は私であるとも言い 世界には私しかいないとも言う その時 私が私である必要性が消失する 髪の毛の一本一本から 心臓から 思い出から 何から何まで全て与えられた 私すら、 私というこの感じすら 借り物である その時、 私を嫌いなあなたも同じ借り物なのだ あなたがどれほど自分を売り込もうとも 誰もいない 世界は一つのも

          詩/涙

          涙 争いが絶えない 人間の持つ人間性に失望している 宇宙全体が一つの神、 あるいは命だと知っているので 人間をこのように運行している神、 あるいは命にも失望している 神あるいは命が 自身の性質に失望している そんな世界の中で 傷つけられて流れた涙の中に、ある時 報復せず 憎しみの連鎖を断たんとする、 辛抱の萌芽を見て 神あるいは命は 自身に初めて希望を持った たとえそれが 太古の雨の最初の一滴のように ※ 地上に届かなかったとしても 確かに 希望を持った 2023年11

          詩/恩寵(おんちょう)

          恩寵 時間が解決してくれる これは本当のことです 100年たったら誰も知りませんから よしんば あなたが チベット仏教の徒として 輪廻転生を頑なに信じていたとしても ダライ・ラマ14世はこうおっしゃっています 13世だった時のことは覚えていない。 相手が悪いのにあなたが負けたままでも わかってもらえないままでも ひどく誤解されてしまったまま別れても あやまれなかったことがあっても 想いを伝えられぬまま逝かれてしまっても 途中で死んでも やがて宇宙すら閉じる時の訪れに

          詩/恩寵(おんちょう)

          詩/思いのソドム

          思いのソドム 私の中の死にたい私は 私の中で死ねばいい 私とともに死ぬのではなく 私の中に一つでも 信じるに足るものがあるなら 自分を滅ぼすことはない 皮膚で体を覆ったのは私ではない 内臓を配置したのは私ではない 心臓を動かしているのは私ではない 肺でガス交換しているのは私ではない 体中に血管を張り巡らせたのは私ではない ホルモンを分泌しているのは私ではない 目を横、鼻を縦にしたのは私ではない 髪を伸ばしているのは私ではない 脳をつくったのは私ではない 私はあとから来

          詩/思いのソドム

          詩/とぼとぼ歩いた

          とぼとぼ歩いた 左遷されて 帰り道、 とぼとぼ歩いた リストラされて 帰り道、 とぼとぼ歩いた 降格後に嫌がらせされて 帰り道、 とぼとぼ歩いた とぼとぼ歩いた とぼとぼ歩いた とぼとぼ歩いた 心底ガックリきて 起き上がれずに 何もしないでいたら たった一つだけ 死ぬほど知りたかったことが わかり始めた 生きていてよかった 2022年6月

          詩/とぼとぼ歩いた

          詩/アポロン

          アポロン まぶしすぎると痛いので 何かがそこを通るのだと分かる 絵を描く人は光を集める 体にためて 発光する ねえ、絵の具は光? カンバスは月の表面のようです 月 映す瞳 一度生まれた光は死なない 私は何を集めるだろう 言葉は光? 太古、言葉のない心で 死を悼み マンモスを畏敬した お前は何を集めたの? ノートを開いて 押し黙る 思いを離れ主張している、海から 無作為の方角から 届く まぶしすぎると痛いので 光とわかる何か 夜の波間に浮かぶ、 私は月 私から出る

          詩/アポロン

          詩/対立

          対立 上限は神で、下限も神で 神だけが現前していた 沈黙とは常に神の沈黙だった この意識が、神そのものだった この世界が神だったのだ 世界は色づいておらず 白黒かどうか 明暗があるのかどうかさえ分からない そもそも色彩の概念がない 目を持つものを通して初めて そこに 着色されたクオリアが浮かび上がる だからと言って、僕らは むき出しの世界には触れられぬのだと嘆くな この肉感こそが 僕らにとっての真実だ その本性が、電子と電子の反発であろうと 対象のある世界と対象のな

          詩/総意

          総意 故意に力を加えなくても 変化していく それ自身の力で寄せるのではなく もっと大きなものに後押しされている 誰に何を知られなくてもいい 何者かになろうとすることをやめて 自由になる 私は元々いなかったのだし そしてまたいなくなる 一人に一つずつの命ではなく 一つの 同じ命がある 人はこれによって生き 水はこれによって流れる そのほかのことは 何もない 2006年12月

          詩/祈り2

          祈り2 対象を必要としないはずの 祈りの向こうに くるくるまわる電飾の光背 ただ祈ることは難しい ヤンゴン、 その中心にそびえるパゴダを背に 一歩外に出て 聞こえていたはずの首都の喧騒に気づく、 たった今まで この背の方には 音も声もなかったと知る ターヨーという村へ向けて カローの町から山に入る パラウン族と呼ばれる人々の住む、 ターヨーはマレビトの耳で太陽となった 日のあるうち 朝六時から夕方の六時まで働いて 誰かの結婚式以外には休日はないという 生き残るための暮