詩/略歴

略歴

ベッドと机と椅子を捨てた
それから手紙と葉書を破いて捨てた
もう二度と読み返さないだろう本を捨てた
十年分の日記を要約しようと読み返して
それはできないのだと知って焼いた

その後、本は図書館で借りるので増えていない
晴れた日には散歩している
雨の日は読書している
まだ着られるが
もう二度と着ない着古しを今日海外へ送った

ただ座すことと何ら変わりのない、
それらは生きていく上で何ら必要のない事柄だったが
そうやって生きていたのだ
その痕跡として書き連ねられたものの後に
記せずにいることが心にしまわれている

流れ星の略歴は短い

見つけてから願うのでは遅すぎるから
目を覚ましていなさい
(マタイ25:13)
いつもいつも願っていて
光の速さで願っていて
初めて私たちは間に合うのだから

生まれ変わることも生まれ変わらないことも
もうどうでもいいことなのだと、
星屑が流れた時
愛される者が瞑目している
愛する者は泣くかもしれない

願いは消えて
願いはそのようにして叶う

1998年11月

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