詩/余韻

余韻

脳が死んで
あなたは死んだから
やがて止まるでしょう、
心臓を
動かしているのは誰?
まだ生きています
もうあなたがいないのだとしても

水族館へ
脳も心臓も持たないものを見にいく
そこにいる、
生かそうとするものは誰か

クラゲ
 クラゲ

クラゲ

それぞれの場所で泳ぐ
それぞれの名
呼びかけてみる
固有性は神の斑か
あなたはあなたよりも
大きかったのか

恐れを宿して踊っていた、
トカゲの尻尾
うずくまる朝を迎え
その輪郭を露にすれば
伴に生きたものの気配も消え
人は死んだ

1998年8月

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?