詩/荷

このまま狂ってしまうのではないか。
途中下車してうずくまり
その強い恐れが去るのを待った
脳をわしづかみにしてくる、
鈍重な違和感の塊とともに。
まだ中学生だったがその苦しみを担った

もうすぐアラ還世代だが
人生は棒に振ってしまった
抑うつも相まって
いまだに時折あの恐れが来る
じっとして、
それが去るのを待った

園児の頃も毎朝吐いていたから
そのように生まれついていたのだ
たいがいは絶望的だが
荷を負って生まれてきてよかったと思うこともある
あなたの辛抱に頭を垂れる人間になれた

何故私たちでなくてあなたが?
あなたは代って下さったのだ
(神谷美恵子「癩(らい)者に」より)

悟ればこの苦しみを抜けられる、
中学生の頃からずっと
そう思ってやってきたのだが
どうやら
私が消えても荷は残る
風邪だって普通にひくだろう

ただ、沈黙を貫く神が
寸分の隙もなく寄り添っている

2024年2月

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