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僕の言葉の森

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僕の言葉の森に植えさせて頂きたい記事をまとめています。 https://note.mu/nazewokangaeru/n/ne66199a9189f
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2019年10月の記事一覧

貴方が笑えばそれで、

貴方が笑えばそれで、

三年ほど前だったか。
久々に連絡をくれた友人から、あいつが亡くなったとの報せを受けた。

正確に言うと、随分前に亡くなっていたのがわかった、との事だった。

“あいつ”というのは僕が都内で売れないバンドマンをやっていたときのギターを担当していたメンバーだ。

あいつと僕は何かとウマが合い、たまたま家が近かったこともあってバンド活動以外でもよくつるんでいた。
物静かで、おっとりしていて、マイペースで

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見えない糸を探して #手書きnoteを書こう

見えない糸を探して #手書きnoteを書こう



この世界には
目に見えない糸が
はりめぐらされている

あちこちでもつれている
その細い糸を
うっかりと
切ってしまわないように
そっと
そっと
注意深く
たぐり寄せて

私たちはときどき
その見えない糸に
偶然や
必然や
運命を感じてみたりする

手書き文字をさらすのは恥ずかしいのですが、他の方の文字を見てみたいという強い好奇心!
文字に人柄が出るとしたら、私の文字はあっち向いたりこっち向

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「こいつは普通の人だ」と安堵させ、「仲間」と錯覚させるという魅力。

「こいつは普通の人だ」と安堵させ、「仲間」と錯覚させるという魅力。

本を読みながら、いいフレーズがあると、スマホに書き込んで、自分のパソコンにメールで送る習慣がある。

さっき、そうやって送られてきた中に、こういうメモを見つけた。

去年の5月に書かれたメモ。

どの本なのかはわからないけれど、読んだ本に書かれていたもののようだ。

逸材には共通点がある。それは、瞬時に相手の語彙力に合わせる能力が高いことである。難しい言葉を駆使するわけではないが、難しい話もできる

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なぜ物語は、スタートに戻るのか -『ついやってしまう体験のつくりかた』より

なぜ物語は、スタートに戻るのか -『ついやってしまう体験のつくりかた』より

たとえば私が東京で暮らしていたとして、多くの人と同じように、コンクリートで固められた道を踏み、日々同じ場所へ通い、箱の中で「仕事」と呼ばれ、与えられた作業をこなしていたとして。

「そうではない場所」に憧れを抱いたとき、「どうしてこんなところに、居るのだろう」と、遠い「何処か」へ想いを馳せたくなる。

そして私は、旅に出る。長く、ながく、数年は帰ってこない世界の旅に。「今まではとは違う場所」を求め

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感想すらも表現のひとつ

感想すらも表現のひとつ

何かを見たとき、聞いたとき、読んだときの感想。

単純に「楽しかった!」「面白かった!」「感動した!」とか表せる言葉は数あれど、言い方は悪いかもしれないが誰でも使っているような言葉では表したくないのだ。

なぜかといえば、楽しいだの、面白いだの、感動だのをどういう風に感じてそう思うに至ったのかを掘り下げて表現したくなってしまう。我ながら面倒くさい。素直じゃないのかもしれない。

感想すらも表現のひ

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不甲斐ないなあ

不甲斐ないなあ

抱えきれない悲しさを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
抑えきれない苛立ちを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
伝えきれない苦しさを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
もう二度と言葉になることもないと思った。

空の広さに呆然とすることがある。
空は広いもんだってわかりきっているのに
たまにそれを認められないことがある。
認められないのは
別に空に限った話ではないのだけれど

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母の化粧

母の化粧

パァン!パァン!

洗面所から音がする。
餅でもついてるのかと思って思わず覗くと、母が化粧水を肌に入れ込んでいた。
少しでも多く浸透させたい気持ちはわかるがそんなにやったら逆に肌に悪いと思う。

母の化粧ポーチは小さい。
ファンデーションとアイシャドウとアイブロウとリップとチークとリップブラシがそれぞれ1つずつ入っている。
それらを使って母は化粧して出かけていく。
小さい頃、何でお化粧するのと

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短編小説「ゆなさん」

短編小説「ゆなさん」

「ゆなさんって、呼んでよ」
 はじめて参加となった、職場での忘年会。くじ引きでたまたま隣席になった彼女に、苗字をさんづけで呼びつつビールを注いだら、そんなふうに即答された。
 ぼくは瓶ビールをかたむけながら首をかしげた。ゆな。その名は彼女の本名とまったく異なっていた。苗字、名前となんのつながりも感じられない。ひと文字すら重なっていないのだ。
「ゆなさん、ですか」
「そう。みんなからもそう呼んでもら

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Voice 82

消えないでと
願った幸せは
還ってくるよ
信じること
忘れないでって