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#詩歌

【詩】月から太陽への手紙

【詩】月から太陽への手紙

大事な言の葉は
メールや手紙や動画配信じゃなくて
会えた時に届けたらよかったな

寂しくて不安でも
連絡の頻度は決めておけば
よかったな

君の仕事に 私の学びに
支障きたさないようにできたら
よかったな

君だけに固執しないで
友達と過ごしたり趣味を楽しめば
よかったな

適度な距離が取れたらよかったな
素直で平坦な心で関われたら
よかったな

君が誰といても
根底では揺るぎなく
「大丈夫」と思

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【詩】横綱は恋をしない

【詩】横綱は恋をしない

君のバンドメンバーを見ててもね
「服が素敵」と思っただけ

お年寄りは優しいけど、生理的に受け付けない
彼の理想の女性になるのは息苦しいよ

ナンパしない人は誠実だけど、
君に捨てられる不安から逃げた
私の不誠実だった

別に恋がしたかったわけじゃない
恋愛なら誰でもいいんじゃない

お姫様になって
白馬の王子様に出会いたかったんじゃない
王子様に幸せにして欲しかったんじゃない
君に王子様になって

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【詩】いつもの公園 いつもの夜に あなたを想う

【詩】いつもの公園 いつもの夜に あなたを想う

日曜の夜 いつもの公園
普段より多いギター侍
ラブソングを聴きながら
ロマンスに浸る恋人達
仲間と騒ぐ若者たち

一緒に歌うラブソング
沢山の新しい出会いの中で
あなたの影は記憶の彼方へ
遠くなっていくのかな

これからは新しい誰かと
ありきたりな恋愛をするのかな
「それもいいじゃん」て
あなたなら言うのかな

誰かといても頭の片隅に残る
言葉と音楽のキャッチボール
コンディション最低なまま

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【詩】朝焼けの快速

【詩】朝焼けの快速

深夜 誰もいない無人駅のホーム
過去の恐怖と君への依存心
嫉妬 束縛心 心配 執着
それから、見捨てられ不安を
貨物列車に積み込む

「今まで、守ってくれてありがとう」
ゆっくりと走り出す列車を
別れの讃美歌で送り出す

ホームにひとり残された私は
今になって、やっと
君からの思いやりを感じている

君の声を聴きながら
野次馬たちに
背を向けた私は
心の中の親友と手をつないで
次の貨物列車に紛れ

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【詩】素直な尻尾

【詩】素直な尻尾

もう土に帰った愛犬が、記憶の中で吠える

混乱と葛藤で蹴散らした君との関係
お互い本音を話し合えないまま
会えなくなったしんどさ

そんな憂いを抱えるくらいなら、
君に「 本音を話せ」と吠える
「僕の名前の意味を思い出して」と、吠える

だけど、僕は君に拒絶されるのが怖い
また君に、軽蔑されるのが怖い
冷静になれないと思われるのが怖い

本当の君が悪いやつじゃないのを知ってるから
不器用だけど、

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【詩】トンネルの中のぬくもり

【詩】トンネルの中のぬくもり

月夜に天幕の下でギターを奏でながら
勘ぐる私の心を尻目に
明るいトンネル中から聴こえる屈託ない歌声

その歌声に魅かれながら
「適度な距離感」ってやつを探るコード練習で
私は孤高で堅実な職人を気取る

恐怖を乗り越え、一歩足を踏み入れたトンネルの中想像した不幸は、一瞬で消し飛んで
私は、君たちに笑顔で迎えられた

軽口叩き、悪たれ付き合う君たちの間に
流れる信頼と愛情
ありのまま、素直に自分の心を

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【詩】ベルガモットの香りの中で

【詩】ベルガモットの香りの中で

「健康は本当に大事だ」
初めての喧嘩で
仲直りした時の君の
言葉が蘇る

私がより良く生きるヒントを
君はいつも与えてくれていたんだね
だけど、私は君にとって
そんな存在になれたかな?

ベルガモットの香りの中で
君と笑いあった日々が
どれほど
尊いものだったか
思い出を噛み締めている

君との穏やかな時間を
諦めきれず、葛藤し続けて
浅い眠りを貪る私は
やっぱり不健康だね

また会えたら、今度こ

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【詩】To respect

【詩】To respect

どんなに手紙書いても
君には分かって貰えない

なんで君ばっかり
好きなことやって
なんで君ばっかり
家族にめぐまれて

なんで君ばっかり
人気あって
信頼されて
なんで私ばっかり
大変なの?

私は人一倍
頑張ってるのに
なんで批判ばかり
されるの?
人から敬遠されるの?

どうせ私なんか
君に比べたらね

そうやって嫉妬し続けて
自分を卑下して
目の前の幸せを
無視してきた

そのままの自分じ

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【詩】湯上がり玉子

【詩】湯上がり玉子

仲間と夜通し過ごした後の温泉
待たせるのが心配で
恩着せがましく
急ぎ出た湯上がり

後からのんびり出てくる君
「この人には私のペースで大丈夫」
ホッとした瞬間

束の間の幸せ
消えない不安に
のみ込まれる心

君が酔って鼻の下伸ばした
女の子と同じじゃないと
きっと愛されない

誰よりも近くにいないと
きっと愛されない

大丈夫だと分かっていても
募る焦りと過剰な期待
伝えられた愛情
信じられ

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【詩】テーブルの上、散らばる光

【詩】テーブルの上、散らばる光

久しぶりの笑顔
「もう会えないと思ってた人に会えた」
そんな大袈裟な泣き顔

それぞれの成長
再会が嬉しくて手につかない宿題
ゆっくりだけど
解ける問題も増えてきたね

わざと歩くテーブルの上
私の膝に乗せられた
天邪鬼な細い両足

思い通りにならないと
拗ねてトイレにこもるのは
相変わらず

そんな自由な君たちが
暗闇で見つけた光

便利よりお金より
ずっとずっと尊いもの

私はどうせ自分なんか

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【詩】髪結いの宴

【詩】髪結いの宴

星空
噴水の水音と甘い果物の香り
残暑の天幕に集う
若き髪結いの友が
奏でる音楽で結ばれる宴と縁

ぬかるみに嵌まったかのような
君との憂いがこびりついた心

暮らすため、仕事につくため
音楽を禁じられ
対面で会えない日々を
思い出す

君が「会いたいなら来て」と言った時、
私も本当は会いに行きたかった
だけど、罰に怯えて
会いに行くことができなかった

ただただ耐えて心を壊し
出来上がったのは

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【詩】酔拳の夜は明けて

【詩】酔拳の夜は明けて

酔拳ばりに
酔ってギター振り回して
歌ったあと
ヘベレケで女の子に囲まれて
「幸せやわあ」と呟いて
俯いた女の子に
声をかけ続けたからって
誰も君を捕まえたりはしないさ

だって、もう既に君は
謝ったじゃないか
充分反省したじゃないか

言葉を押し付け過ぎた君との最後の夜
お酒と傷つきストレスで
らしくない虚像を演じる君が
酷い男どもとダブって見えて
巡査に通告すると言っただけさ

それでもまだ君

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【詩】リラックマの休息

【詩】リラックマの休息

リラックマの着ぐるみを着て
オザケンを聴きながら
ぐっすり眠り
失恋の傷を癒やすことで
僕から逃げた君を解放してあげたい

人知れず茨の森を全力で
駆け抜けた僕の休息なら
それができるかな

男の欲望は微笑ましく受け流されるのに
月の怒りや悲しみは恐れられるのは嫌

だから、力士の如く
大らかで包容力のある
人間になりたい

今更信じて貰えない
だろうけど
愛おしい存在がいるから