秋津灯奏(とうか)

詩を徒然と書いています。イラストや、絵本の読み聞かせも好き。児童福祉の仕事しながら、新…

秋津灯奏(とうか)

詩を徒然と書いています。イラストや、絵本の読み聞かせも好き。児童福祉の仕事しながら、新聞読者投稿してます。朝日新聞、信濃毎日新聞などの読者投稿欄掲載歴あり。気分で、社会的なテーマの詩も書きます。

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最近の記事

【詩】昼寝の哲学

耐えて責めて歪めた自分 睨む子どもの目でしか省みれない 未熟な僕に贈られた別れの花束 後ろ髪惹かれたくても 歩み始めた新しい生活 誰かにしがみつくのは 正しくないと気づいてるから 早寝したいのにまたこんな時間 夜更かしを叱られやしないか 怯えて息をひそめては 深夜の不適切と 嫌いな占いで得ようとする安心 理性を取り戻したくて 瞑想しても 浅い眠りと抜けない疲れ 二度寝できないまま 理不尽とエゴをなだめて 今日も感情労働へ 大観衆の前 震える手で落とされる化粧 覚えても記

    • 【詩】日だまりカレンダー

      3月曇天去って 日当たりの良い別れの午後 抱きついてきた小さな身体と いつもの笑顔 会えなくなる寂しさ 伝えてくれたつたない言葉 思い出すのは アパートに送り届けた帰り道 他愛もないお喋りと 手作りカレンダー 疲れて眠る助手席の寝顔は 見過ごしていた小さな幸せ 明日も明後日もずっとずっと 日だまりの中で笑って泣いて 元気でいて 大好きなアンパンマンと一緒にね

      • 【詩】隠れ湯の燕

        名門大学建つ通りには 鴉みたいに真っ黒な服の若い女 女の手を引き先を歩く男 その覚束なさに重ねる自分 周りの評価で己を縛る 棘だらけのハリネズミ プライドの奥にあるのは恐怖 傷つけられた過去よりも 傷つけた過去の重みが後ろめたい 発車する電車のひとつが遅れるくらい どうとでもなるものを 線路上尊い生命が消えようと スマホからは目が離せない 駅前ビルの看板には 架空の夢物語と高速鉄道 便利ばかり果てなく求め 自ら壊す脳細胞 自身を失くし 自信を奪い生きてきた それでも幸

        • 【詩】ゆっくりいこうよ

          止まない思索と詩作と試作 浅い眠り 室内テントの夢の中 顔が浮かばない同級生の通夜に参列 互いの偏見に悩んでも 過去の過ち悔いたとしても 対立する日があったとしても 自分を懲らしめず君を咤らず 素直に認めあいたい互いの生き方 女だから諭されて 決めつけられた悔しさ乗り越え 救済と慈悲より公平と平等で 無理なく安心させることが 出来る日がくるように 省みて省みられた末に 心と身体緩めたまま交わしたい 同じ人間同士の素直と慈愛 手始めに散らかった部屋を片付けて 子どもの自分

        【詩】昼寝の哲学

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        • 35本
        • 造形作品
          8本
        • 短編小説
          1本
        • アクリル画
          7本

        記事

          【詩】からあげ君とよもぎ蒸し

          値上げ続きの毎日に からあげ2つで罪悪感 確定申告とギターの成果は 男に依存で出遅れた焦りと恥 過去の後悔と過ちと失敗 本当の自分晒すこと恐れ 他人の目ばかり気にしては いったい誰の人生か 強気な言葉は傷つけられるのが怖いから 誰かに愛される資格がないと 生命に値段つけてきた私 悲しみを勘ぐりながらも 愚かに信じて磨きたい自分 会えない時間の不安より 身体と心を整えて 目標ある互いの生活 大事にできる自分になりたくて 風邪すら内緒のよもぎ蒸し

          【詩】からあげ君とよもぎ蒸し

          +2

          【コラージュ】With the bird

          【コラージュ】With the bird

          【詩】未来〜Alavidā, ām̐su(涙くん、さようなら)〜

          異国の地での生活 友達に気持ちが伝えられなくて 寂しいから会いたい おじいちゃん シャボン玉飛ばして ゆっくり運んだ言葉の先 膝の上のぬくもりと涙で 気付いた精一杯の頑張り 「誰にも理解されない」と 悲しんだ私の恐怖と卑屈は ティッシュに丸めてゴミ箱へ 君にはない平等と 人生を左右する大人の解釈 せめて自由に歌える日まで 心を磨いて生きなきゃね 涙はいつもとても良い奴だけど 悲しい時の味方だけど 誰もが笑顔で過ごせる未来は もっと素敵だよね Alavidā, ām̐

          【詩】未来〜Alavidā, ām̐su(涙くん、さようなら)〜

          【詩】特製にゃんパン 

          にゃん にゃん にゃんの猫の日は パンにジャムをうすーく塗って 生クリームをたっぷり挟んで 星とハートをパラパラと・・・ おじさんに叱られちゃってもさ 床に手をついてゴロニャンしたい気持ちを 抑えるのは至難の業 「いただきます」まで待つなんて 出来やしないよ 本当は僕ら 知っているんだ おじさんたちが、特別なパンを 扉の向こうに隠してあることを 眼鏡のお兄ちゃんがそいつを 狙っていることを 夕方のなぞなぞ選手権 勝ったやつの景品は あの生クリームがたっぷり乗った 特製パ

          【詩】特製にゃんパン 

          【詩】カルメンの歌声

          柴又女流しの 「あんたなんか相手にされないさ」で 地の底にまで落ちて与えた不安 抜けない杭(悔い) ピアノが趣味の職人から 贈り物を貰っても 君の誠実には及ばないから 自分らしく 響かせられる歌声で奏でたい アンダルシアの調べ カルメン気取りで美しく ギターを弾き語る君に 負けない歌を届けたいと 自信なくても夢見る僕

          【詩】カルメンの歌声

          【詩】ピアノを教えてよ

          ありきたりな 恋愛アドバイスなんかいらないから ピアノを教えてよ 分かりきった 一般論なんかいらないから ピアノを教えてよ 話を聞いて欲しいだけなのに 余計な世話まで焼く位なら ピアノを教えてよ 「終わってる」は絶望感の比喩なのに 「君は世界を終わらせたがってる」だなんて そんな短絡的発想で僕を呆れさせる位なら ピアノを教えてよ ピアノが弾けるようになったら 僕は自信を持って 好きな人にもっと優しくできるから

          【詩】ピアノを教えてよ

          【詩】雪山への手紙

          雪溶け またついた尻もち 恥ずかしくて隠したい気持ち 嫌われ者になること恐れ 誰にも言えず開いたノート 瞳の奥に偶然映る 5歳と1日遅れて生まれてきた君が 描き残した緑赤青 点滅するシグナルのレプリカ 雪道走り 久しぶりに再会した 君の安らかな寝顔 差し出されたおにぎりの味 愛し愛されたであろう人の追憶 雪山の頂き 滑走して てっぺん取った 君にもあった不安な心 誰の目も気にせず 心の声に従い 尊い相手信じろと 失敗恐れず存分に生きろと 雲の上のゲレンデ 滑走し続

          【詩】雪山への手紙

          【詩】歩道橋の自由

          私は自由を生きている あの娘と比べて 私は自分を持っている あの娘と比べて 私は努力している あの娘と比べて あの娘より自立して 自由で主体性があって オトコに依存してなくて 上手くやって生きてるつもり 平和を望んで生きてるつもり 多数派になってるつもり でも実際は社会の歯車 何も知らず居眠りしてるおっさんに 自己決定奪われても文句も言わず YouTubeの箱の中 楽しく生きる籠の鳥 傷ついた誰かが勝ち取り 生命がけで守ってきた歴史知らされなくても 金まみれ 大人の事情

          【詩】歩道橋の自由

          【詩】牡丹の沁み 雪景色と年賀はがき

          タツノオトシゴとかまぼこ板が 元旦に遅刻して 旧正月に出す余寒見舞い 小さな郵便局へと歩く道は この地で初めての雪景色 自販機ミルクティーのぬくもりに甘えて 見上げる星空 誰も待ち望まない 迷惑で常識に欠けた年賀はがきを 何度ポストに食らわせたことだろう 使い道がない花梨を拾った 温泉街の灯を眺めれば 脳裏に浮かぶは 足元にまとわりついた 幼子をなだめる女(ひと)の 着物の袖からのぞく 牡丹の花のような痣 車の傷より安く見積もられた性と生 どこにでもいる普通の顔して

          【詩】牡丹の沁み 雪景色と年賀はがき

          【詩】ダンクシュート

          君が教えてくれる儚さ 15に満たない若木でも もどかしさが増す枝葉 床に座ったまま狙うダンクシュート 決めポーズの写真 君の精一杯を前に悲劇のヒロインなんか 演じてたらカッコ悪いね 君が笑顔になれそうなことは何? 頭を悩ませる私の幸福を、権力に浮足立つ連中に どう話して聞かそうかな 突風に晒されても、健気な君の利発さを 大事な人たちと、どう分かち合おうかな

          【詩】ダンクシュート

          【詩】ピーマン帽子

          助手席乗りたがらない君のツンデレ ゴミ箱蹴っ飛ばして叱られても 意思の強さで譲らない負けず嫌いは 私そっくり ミラー越し グズって泣き出す弱虫の顔 車を降りたら「さっきは、ごめんなさい」 話してくれた本当の理由 大人になった私には難しい素直な態度 お友達とは時々ケンカ でも帰りの車では 節分の鬼を怖がった お姉ちゃんに譲る特等席 ピーマン帽子の君は 素直で優しくて 頑張り屋さん

          【詩】ピーマン帽子

          【詩】500円芋汁

          頼りっぱなし情けない占いで また見捨てられ不安が再稼働 焦りで失敗と自己嫌悪 君との距離詰め過ぎて 「餌をよこせ」とワンワン吠えた 自分の尊さが分からないまま お座りと待ての合図で 悲しいほど恥ずかしい自分と 風邪治す為 寝床へレッツゴー 元旦地震で我に返り 君がキャンセルしてくれた500円は その故郷で住宅支援打ち切りと 退去迫られる自主避難者へ 明日は我が身で回すお金 「大事な人や家族と明日会えなくなるかもしれない世の中や」 そう語った君の言葉で思い出す尊さ 焼

          【詩】500円芋汁