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【第25回】転職は我が身を守る究極の手段

組織を生き抜くための「サバイバル術」は、工夫次第で誰にでも身に着けることができます。

あまり難しく考える必要はありません。まずは、「自分にできそうなことからチャレンジすればいい」だけの話です。

どうしようもないくらい相性の悪かったパワハラ上司も、いずれ人事異動でいなくなります。

状況によっては、自分のほうが先に異動してしまうかもしれません(将来、またどこかで「ご一緒」する可能性も否定できませんが……)。

微妙な距離のあった上司とも「ちょっとしたほめ言葉で、状況が一変した」なんてことが、あるかもしれません。

不本意な評価が続いたとしても、少しだけ「気の持ちよう」や「考え方」を変えるだけで、落ち込まずに仕事を続けることもできるでしょう。

とは言え、あまりにも理不尽な評価や、減給・降格などが続くと、強いストレスに見舞われます。

個人差はあると思いますが、常識的に考えると、あまりいい精神状態ではいられなくなります。

参考までに、脳神経外科医の林成之氏は、著書『脳に悪い7つの習慣』の中で次のように述べています。

自分を嫌っている上司のもとで働くことは、自分のためになりません。その上司を好きになれなかったことについて言い訳をするつもりはありませんが、どうしても関係の修復ができず、努力する余地が残されていなければ、居場所を変えることは選択肢の一つです」

また、ドイツの社会学者Siegristらが提唱した「職業性ストレスを評価する理論的モデル」では、努力に対して収入や評価などの「報酬」が少ないと感じた時、よりストレスが高まることを示唆しています。

その結果、心身がダメージを受けることは、ひょっとして「多くの会社員が経験している」のではないでしょうか。

実際、日本における「転職理由」の大半は、本音を突き詰めていくと、上司や職場の「人間関係」にたどり着きます。

精神的な苦痛を抱えたままでいると、知らぬうちにメンタル疾患を患うケースもあります。「自分の身は何としても自分で守る」しかありません。

どうしても改善の兆しが見込めないのであれば、「転職に舵を切る」という選択肢も、検討の余地は大いにあります。

今いる会社で最善を尽くした後に行う転職は、居場所を変えることで我が身を守る「究極の手段」となるのです。
 
   次回につづく(毎週月曜日または火曜日に投稿予定)

(本文は、弊著『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』<幻冬舎ルネッサンス新書>より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです)

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