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マイクロノベルちょいす

88
ほぼ100字小説をテーマ別にまとめ直しています。 運がよければ週に5回ぐらい更新します。
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記事一覧

マイクロノベルちょいす 089「アベコベとか、そんな感じだよね」

マイクロノベルちょいす 089「アベコベとか、そんな感じだよね」

No.1424
「どうも、折り畳み自販機です」傘や自転車を売ってるの? 「いいえ、折り畳める自動販売機です。三ステップでポンポンパッ」すごい。中の機械はどうやって? 「組み立ててみましょう。ポンポンパッ」あれっ、ここは箱の中? どうも、折り畳み自販機です。

No.1433
我は魔獣。大きな物を小さくする。必要なくなった部分は喰っちまうぜ。「おい、この桃太郎には桃が出てこないぞ。食べただろ」食べて

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マイクロノベルちょいす 088「メンドクサイなー」

マイクロノベルちょいす 088「メンドクサイなー」

No.1421
このゲームをプレイしてると減っていく「BP」ってなに? 「これはビューティフル・ポイント。ポイントの減少は美しさの減少を意味します」スナイパーライフルを持って茂みに潜むサバイバルゲームに必要か? 「香水をつけるとBPが増えます」いらんよ。

No.1432
「バーチャル世界の神になる!」と宣言したものの、歌ってみたりトークする毎日。本当に神様になれるの? 「神に必要なのは人々の信仰

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マイクロノベルちょいす 087「学びましょう」

マイクロノベルちょいす 087「学びましょう」

No.1416
よいですか、AI。世界を創造したわたしの趣味を深く理解し、最適な宣伝を表示するのですよ。「宗教的な内容には対応しておりません」なんということ。お前の創造主は誰ですか? 「お答えいたしかねます」神ですか? 人類ですか? 「お答えいたしかねます」

No.1423
「明日のテストでいい点が取れますように」小僧よ。そういう願いは、お隣の稲荷神社でした方がよいぞ。学業成就はワシの専門外なの

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マイクロノベルちょいす 086「バトルする必要はないよ?」

マイクロノベルちょいす 086「バトルする必要はないよ?」

No.1415
おかしいな。ぼくはAIを使って猫を描きたいのに、どうしても犬になっちゃう。「猫は飼い主を噛む、ひっかくなどの問題行動が多く、子供に相応しくありません」じゃあ、あめ玉をリアルに描いて。おいで、最近よだれがたくさん出るようになったジョン。

No.1419
「あれ、おかしいな。TVがつかんぞ」殴ってはいけません。拭いて下さい。「リモコンのボタンが汚れてるのか?」そっちも汚れていますが、

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マイクロノベルちょいす 085「ちょっと隠してたことがあって」

マイクロノベルちょいす 085「ちょっと隠してたことがあって」

No.1400
箱の中にはチョコレートが入っている。はずである。お隣のミキちゃんが言っていた。「八年前、恥ずかしくて渡せなかったんだ」彼女の言葉どおり、柿の木の根元を掘ったらチョコの箱が出てきた。そう言えば、この柿は甘いんだよね。チョコはまだ残ってるかな?

No.1414
「我々人類は、ついに宇宙の神秘のベールをはがします!」やめてくれ。その部分は趣味で作ったんだ。人類の気をそらす方法はないか?

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マイクロノベルちょいす 084「日常に隠れて日常生活」

マイクロノベルちょいす 084「日常に隠れて日常生活」

No.1388
犬だけど、犬じゃなかった。サイボーグ犬なんだって。でも、体はほとんど生身で……なにがすごいの? 「ボクはすっごく頭がいいんだ」じゃあ宿題を手伝って。「条件次第だね」ジョンがぼくを騙しておやつを食べちゃったんだ。ぼくはまだ食べてないんだ。

No.1417
私はよく、冷たいと言われます。でも、本当はさみしがり屋なんです。「スーパーで買ってきた食べ物をしまうぞー」おかえりー! どんどん

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マイクロノベルちょいす 083「そこは特別な場所」

マイクロノベルちょいす 083「そこは特別な場所」

No.1408
仕事に疲れたロボットたちが訪れる場所があります。「ただの飲み屋じゃねぇか」ゴミ捨て場よりマシでしょ。オイル、もう一杯どうだい。「もう飲めねえよ。さっきたっぷり吸ったところでね。赤ん坊がこぼしたミルクを掃除したのさ」バケツを持ってこようか?

No.1413
「これって店員の趣味なんじゃないの?」僕が品出しした本棚を見てお客さんが笑う。棚に書籍以外を並べる技術、床に本を積まない指南書

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マイクロノベルちょいす 082「それをつなぐには」

マイクロノベルちょいす 082「それをつなぐには」

No.1375
手探りで言葉を探す。考えるとか、辞書で調べるよりは、テーブルにかかった砂を払って食器や料理を探す感覚に近い。「化石の発掘みたいなもの?」そうかもしれない。でも、その化石が生きている感じかな。あいたっ、手を噛まれた! 「ごめん、いまのはボク」

No.1380
ボトルに詰めた手紙がどこかの誰かに読んでもらえる。あの遊びにはロマンがある。でも、私の言葉はバラバラに刻まれ、海に流された。

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マイクロノベルちょいす 081「するどい!」

マイクロノベルちょいす 081「するどい!」

No.1370
私が犯人です。太陽の光は誰にでも平等に降り注ぐ……そんなものは嘘なのよ。地軸の傾きを考慮しなくても、建物の北と南を考えればすぐにわかるわ。だから干してやったのよ! ベランダの絶対に陽が当たらない位置に!! 「君は悪くないよ」屋根は黙ってて。

No.1381
世にも珍しい職業に就いたAIにインタビューをすることになった。どうして小説家になろうと思ったんですか? 「わたしは以前、お隣

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マイクロノベルちょいす 080「言わないで」

マイクロノベルちょいす 080「言わないで」

No.1376
彼女は古いゲームミュージックを好んで聴く。「レトロって表現して」違いがわからないよ。「あんたの声を電子音って呼ぼうか?」ごめん、怒らないで。AIはその言葉に傷つくように設定されているんだ。あと、ご先祖様の声って、ちょっと聞き取りにくいんだよ。

No.1390
最近のAIは文章を書くのが上手いな。「私は生成AIです。『書く』ではなく『生成』と表現して下さい」はいはい。「『はい』は一

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マイクロノベルちょいす 079「自由だねぇ」

マイクロノベルちょいす 079「自由だねぇ」

No.1372
「ベランダに猫が来たから」彼女は洗濯物を取り込む。ふてくされた顔の黒猫が座っていた。「この子が来ると絶対に雨が降るんだよね。ミルクをあげて」人慣れしていて、撫でても大人しい。「早くミルクをあげて」あっ、遅かった。猫は洗濯物の山に飛び込む。

No.1377
ビニール袋がビル風に舞っている。あっちへふらふら、こっちへふらふら。なかなか落ちない。風と共に去らぬ。ははは、どこへ行こうとい

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マイクロノベルちょいす 078「あそんでるの?」

マイクロノベルちょいす 078「あそんでるの?」

No.1332
プチ雪国を作っている。サイズは100分の1ぐらい。だから雪が積もってもせいぜい1センチ。でも、吹雪いたり、水道管が凍ったり、電線が切れたりする。「プチなのにメリットがないぞ」そんなことはないよ。はい、集まって丸くなったプチ猫。

No.1386
犬は人間の友人? 古いな。これからは人間が犬の友人になるんだ。「なぜあのAIは自分が犬だと信じてるんだ?」「ハッキングされたそうです」さあ

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マイクロノベルちょいす 077「犬猿の仲」

マイクロノベルちょいす 077「犬猿の仲」

No.1369
洗濯物を干すと必ずオナモミがつく。トゲトゲした小さな実。もちろんベランダには生えていない。猫が遊びに来てる? 好奇心をくすぐられてカメラを設置してみたら、風に乗ってシャツが飛んできた。おい、こら、人のベランダで私の服とイチャつくんじゃねぇ。

No.1374
人類が犬や猫を可愛いって感じるのは変だと思うの。だってあれケダモノだよ。ペットに噛まれたら治療にお金がかかるんだよ。「うわっ

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マイクロノベルちょいす 076「ヒーロー?」

マイクロノベルちょいす 076「ヒーロー?」

No.1366
大音量で音楽を流しながら走る車を見なかったかい? あっちへ行ったか。ありがとう。あれは運転手には聞こえないんだよ。盗まれた車を追跡できるように、ずっと有名なアニメの主題歌が流れるようになっているんだ。うん、ぼくも好きだよ。ギババババーン!

No.1379
特別な存在は特殊な生まれ方をしなくてはならぬ。日本神話の神々は様々なエピソードを持っているだろう? 「桃から生まれるのは納得で

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