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マイクロノベルちょいす 083「そこは特別な場所」

No.1408
仕事に疲れたロボットたちが訪れる場所があります。「ただの飲み屋じゃねぇか」ゴミ捨て場よりマシでしょ。オイル、もう一杯どうだい。「もう飲めねえよ。さっきたっぷり吸ったところでね。赤ん坊がこぼしたミルクを掃除したのさ」バケツを持ってこようか?


No.1413
「これって店員の趣味なんじゃないの?」僕が品出しした本棚を見てお客さんが笑う。棚に書籍以外を並べる技術、床に本を積まない指南書、本を捨てる極意……ふふふ。さあ、禁断の知識に触れるがいい。みっちり詰めてあるから、引っ張っただけで表紙が破れるぞ。


No.1418
一瞬でフルパワーが出せる私、電気ケトルに弱点があるとすれば、電力不足くらいでしょう。「電子レンジと同時に使うな!」なのになぜ、私の発電所はこんなにも口が悪いのでしょうか。「俺は原子力発電がまだない世界の雷系モンスターだからだよ」ここはどこ?


No.1429
ぼくらは小さいけれど、集まれば大河にだってなれる! 山を下り、川となって一カ所に流れ込めば、湖を作ることもたやすい。目指せ、大海原! ちーん。「ああ、今年は花粉がきついなあ」今日のところは、いったんゴミ箱に集合だ。ゴミ収集日はいつかな?


No.1434
機関銃の音をチェーンソーの音に入れ替えてやろう。これで気づけないなんて、人間は耳が悪いなあ。鼻も悪いかもな。よし、匂いも入れ替えてやろう。「うーん、フローラルな香り」お嬢さん、それ、あなたの靴の匂いを薄めた香水ですよ。「実家のような安心感」



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