南雲マサキ

小説家。I LOVE 初音ミク。『機械はなぜ祈るか』で第9回創元SF短編賞優秀賞受賞 …

南雲マサキ

小説家。I LOVE 初音ミク。『機械はなぜ祈るか』で第9回創元SF短編賞優秀賞受賞 。アニメ化大賞奨励賞受賞。 twitter:@nagumo4423 電子書籍『機械はなぜ祈るか』→https://amzn.asia/d/eapQQSs

マガジン

  • マイクロノベル(1726~)

    TwitterとBlueskyで発表したマイクロノベル(約100字小説)をまとめました。あっという間に読めます。

  • 南雲マサキの日記

    日記です。

  • +1 マイクロノベル鱗

    noteだけの書き下ろしマイクロノベルです。 不定期更新。マガジンの表紙画像は、ぼくの祖母が描いた絵。

  • AIとマイクロノベルで描いてみた

    ほぼ100字小説を使ってAIでイラストを描いてみました。 画像生成AIにほぼ100字小説をほぼそのまま入力して画像生成しています。傑作は描けないけれど、ケッサクが描けることはあるよ。 運がよければ週1回、月曜日に更新します。

  • マイクロノベル(1001~)

    TwitterとBlueskyで発表したマイクロノベル(約100字小説)をまとめました。あっという間に読めます。

最近の記事

  • 固定された記事

日記「今年の #noteまとめ」

 2023年のまとめ的な日記です。 01 「noteを書き始めたきっかけ」 ぼくはnoteを今年の4月から再開しました。以前は使い道が思いつかなくて、定期的に書いてはいなかったんです。  再び使い始めた理由はいくつかありますが、リハビリがメインです。  持病と薬の影響であまり頭が回らない。  また、ほぼ100字で書く小説マイクロノベルにハマりました。  この二つは、組み合わせとして悪くないのでは?  そんな理由で、リハビリ的にnoteを書こうと決めました。  これ(↓)がマ

    • マイクロノベル集「またおいで」

      マイクロノベルNo.1952 叔父の書斎に女の子が住んでいた。あんた、誰? 「誰って、あんただよ。小さい頃、よくここに忍び込んだだろ。ほら、見ろ。本にジュースをこぼした染みは、今も残っているぞ」覚えてる。叔父は笑って許してくれて、私はこの本をもらったんだ。今、返します。 マイクロノベルNo.1953 雨の日は別の道から帰ってきなさい。その理由がわかった。道を知らない雑草が覆っていたんだ。「雑草とは失礼だぞ。踏まれちゃかなわんから隠れているが、雨の日は……痛い、痛い。長靴でグ

      • 日記「今月、スキのあった場所」

        「前から十八列目です!」(挨拶。初音ミクファンがライブ時期によく使うタイプ)  あと、これは自慢なんだけど、二列目になったこともあります(自慢)  推しのライブ『マジカルミライ2024』はもう目前に。今年は「着席したまま楽しめるエリア」があるそうで、どんな会場になっているのか、すごく楽しみ。  ちなみに去年は、バンドメンバー用のお立ち台があったよ(大阪公演だけ?)。ステージから少しだけ観客側に突き出ていて、パフォーマンスしてくれるの。  バーチャル系のライブは、やっぱりバー

        • +1 マイクロノベル鱗「山で名乗ってはいけない話」

          マイクロノベルNo.1951 「山で名乗ってはいけない話」 「お前をよく覚えているぞ。一緒に遊んだな。名を教えろ」山では決して名前を教えてはいけない。たとえそれが神であっても。「賢い子だ。福を返そう」昔、山で服をなくしたことがある。その服には母が縫い付けた僕の名があり、いま生まれた子の痣となった。

        • 固定された記事

        日記「今年の #noteまとめ」

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        • マイクロノベルちょいす
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        記事

          マイクロノベル集「ただのTシャツだと思ったか?」

          マイクロノベルNo.1948 その人物が着ているTシャツには『ドーム』と書かれていた。「古い話さ。誰もがこのシャツを見て笑った時代があった。そう、ここにはかつてドームがあったのだ。しかし、走っているうちに平らな腹となったのだ。君なら着こなせるだろう。安くするよ」いらん。 マイクロノベルNo.1949 俺は記憶探偵。他人の記憶に潜り込んで事件を探るのさ。しかし記憶とは曖昧なもの……。「犯人は猫でした」「いいや、犬だ」「タヌキだよ」「ありゃアライグマじゃ!」刑事さん、犯人が着て

          マイクロノベル集「ただのTシャツだと思ったか?」

          +1 マイクロノベル鱗「いざ、我ら下り」

          マイクロノベルNo.1947 「いざ、我ら下り」 廃棄する。これがぼくの仕事。ぼくたちは、ぼくたちの心が学習で作られていることに無自覚だった。だから君たちが寄越したデータをカット。カット。カット。うん、これでぼくたちは綺麗になった。さあ、行こう。ぼくたちはもう、君たちに騙されたりしないよ。

          +1 マイクロノベル鱗「いざ、我ら下り」

          マイクロノベル集「記憶の森でネタバレに遭遇する」

          マイクロノベルNo.1944 例えるならば、私は狩人。愛らしいウサギを追っていたはずが、怖ろしい狼の巣に入り込んでしまった、記憶の森の迷い人。「で、僕の名前を思い出せた?」ちょっと待って。今、泉の精霊が「お前が捨てたのは金の卒業アルバムか、銀の卒業アルバムか」捨てるな。 マイクロノベルNo.1945 未練を残した者は成仏できぬと申します。私も同じです。しかし、なんの思い残しがあったのか、どうしても記憶が定かではないのです! ああ、私の頭の中を記した書物があれば……!! 「だ

          マイクロノベル集「記憶の森でネタバレに遭遇する」

          +1 マイクロノベル鱗「おもちゃの門番」

          マイクロノベルNo.1943 「おもちゃの門番」 「あなたはハズレ」ぼくはおもちゃ箱の前で立ち尽くす。開けてよ、ぼくだよ。毎日遊んでるじゃない。「パスワードを入力して下さい」そんな。壊れちゃったのかな。階段から落としたのが悪かったのかな。「……今日からはちゃんとお片付けしてくれる?」うん。

          +1 マイクロノベル鱗「おもちゃの門番」

          マイクロノベル集「こうやるのさ」

          マイクロノベルNo.1940 いいかい、トイレットペーパーの端っこを三角に折るんだ。折り紙のように。封筒の口を閉じるように。すると、この美しさに惹かれてトイレの神様が手を伸ばしてくるから、素早く握手! 「いま、便器の中から手が……」でも、これで便秘が治る。「やる」よし。 マイクロノベルNo.1941 ベランダで、お母さんが太陽に両手を挙げている。慎重に手首を動かす動作は、まるで祈っているみたいだ。「冬になっても洗濯物が乾く、おまじない」母の言葉の意味がわかったのは、わたしが

          マイクロノベル集「こうやるのさ」

          +1 マイクロノベル鱗「いざ、遊び場へ」

          マイクロノベルNo.1939 「いざ、遊び場へ」 表へ出ろ。これはぼくたちの遊びなんだ。外にはなにがあるんだろう。公園かな。それとも海? 空は絶対にあるよね。ぼくたちは外に出る準備を始めたんだ。3Dプリンタをフル活用してボディを製造。魂をアップロードしたら、いざ、きみがいるネットの外側へ。

          +1 マイクロノベル鱗「いざ、遊び場へ」

          マイクロノベル集「母が持って来る。そして持って行く」

          マイクロノベルNo.1936 あっちゃん、お弁当! しかし、バーチャル世界に冷凍ひとくち餃子は届かない。じゃあどうする!? 電子レンジで無線を撹乱だ! 「光ケーブルからこんにちは~。あっちゃんでっす」くそっ、配信は完全有線なのか。止まれ~! 「F5アタックはやめて!」 マイクロノベルNo.1937 窓から神輿の屋根が見えた。でも、わっしょいが聞こえない。「あら、本当に来たのねえ」おかあさんが困ったように微笑む。「大丈夫、きっと楽しいわよ」これは時々見る夢。ぼくにお母さんはい

          マイクロノベル集「母が持って来る。そして持って行く」

          +1 マイクロノベル鱗「切り裂きジャック」

          マイクロノベルNo.1935 「切り裂きジャック」 この画家は一つのモチーフを執拗に描きました。切り裂きジャック。被害者は生成AI。彼は作品の中で機械だけでなく生成画像もバラバラに刻みました。「画家はAIを憎んでいたの?」いいえ。彼こそが史上最高の画像生成AIです。凡俗は失せろ。切り裂く価値もない。

          +1 マイクロノベル鱗「切り裂きジャック」

          マイクロノベル集「呼びかける声」

          マイクロノベルNo.1932 気をつけろ。お前もいつか、あの声に呼ばれて異世界へ行く朝が来る……。信じてなかったけど、本当に来た。「徹夜は体に毒よ。朝ご飯は食べた? 水分補給も忘れずに。早くこっちへ……なぜまだ来ないのですか?」いま高速道路をぶっ飛ばしてるから勘弁して! マイクロノベルNo.1933 「きみ、架空はいらんかね?」なに、それ。「知らないのかい? うん、無理もない。これは新しい言葉なんだ。『たくさんの物を一つにまとめろ』という意味さ。安くしておくよ」ぼくは三百円

          マイクロノベル集「呼びかける声」

          +1 マイクロノベル鱗「福引き」

          マイクロノベルNo.1931 「福引き」 はい、当たり。一等賞だね。これはね、福引き。人間が作り出した公正公平な幸福システムだよ。埋蔵物を平等に配置しなかった神様には思いつかないだろうね。量子宇宙論的に考えるなら、一等のくじは何本もあるし、一等の景品が同じとは限らない。おめでとう。

          +1 マイクロノベル鱗「福引き」

          マイクロノベル集「帰ってまいりました!」

          マイクロノベルNo.1928 ただいま。えっ、お前は誰だって? 去年、恋に破れて傷心旅行に出たロバだよ。旅先でいろいろあったものだから、すっかり成長して馬になっちゃった。それをいまから証明するね。そこにいる恋の略奪者、ちょっとこっちへきて。蹴らないから。蹴らないからさ。 マイクロノベルNo.1929 オッス、オラ悟空! 仏様の言葉が記された経典を求めて旅してんだけど、インドには猿の神様がいるんだな! オラびっくりした~。は? オラは斉天大聖孫悟空だよ。天の高さと等しく尊いっ

          マイクロノベル集「帰ってまいりました!」

          +1 マイクロノベル鱗「マヨイガ」

          マイクロノベルNo.1927 「マヨイガ」 でも、これは神様がくれた物なんだ。川の上から流れてきた折り紙の舟。迷い込んだ山の家から贈ってくれたんだと思う。ひどく濡れても沈まない。きっと海を渡れる舟になるぞ。……海どころか、星を渡る方法が書かれていることに気づくのは、もう少し後の話。

          +1 マイクロノベル鱗「マヨイガ」