マイクロノベル集「またおいで」
マイクロノベルNo.1952
叔父の書斎に女の子が住んでいた。あんた、誰? 「誰って、あんただよ。小さい頃、よくここに忍び込んだだろ。ほら、見ろ。本にジュースをこぼした染みは、今も残っているぞ」覚えてる。叔父は笑って許してくれて、私はこの本をもらったんだ。今、返します。
マイクロノベルNo.1953
雨の日は別の道から帰ってきなさい。その理由がわかった。道を知らない雑草が覆っていたんだ。「雑草とは失礼だぞ。踏まれちゃかなわんから隠れているが、雨の日は……痛い、痛い。長靴でグリグリしないで。くそっ、次はお前の家の庭に生まれ変わってやる」
マイクロノベルNo.1954
はい、大きく口を開けて。うーん、抜くには麻酔が必要だな。助手君、口を固定して。暴れないように体も縛り付けて。こら、ぴょこぴょこ動くなよ。プスーッ! よしよし、麻酔が効いたら引き抜くだけだよ。どうして鳩時計になるまで口の中で鳩を飼ったんだい。
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