森てく

感情を揺さぶらないことに重きをおいたなるたけくだらない話。ワープロ実務検定3級

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リピーター

 リピート率200パーセントのお店へ行った。 「200%ってことは、あと2回くることになるってことよね。私たち。ここに」 「そういうことだと思う」 「でもこんな…

森てく
3週間前
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AI

 AIを買った。  初め、残業の時風呂を沸かしてもらったり、ご飯を作ってもらったりするくらいしか使い道がなかった。ときどき背中を掻いてもらったり。  慣れてくると…

森てく
9日前
6

自給自足

 都会を離れ、自給自足生活をすることにした。  畑を耕し、野菜を作り、鶏なんかも育てる。養蜂をはじめたっていい。  土地の候補を探し、仕事の合間に足を運び、住ま…

森てく
1か月前
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なんとなく公開中の記事数(呟き含む)を見てみたら99記事とありました。
え?
と思って一個一個手で数えたら本当でした。
これ100記事目です。

森てく
3か月前
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大福

 みかんの店の商品が怪盗に狙われているらしい。  なんでも彼女が、自分で作った大福に一億円の値をつけた翌日、予告状がポストに入っていたのだそうだ。 「自分の店の…

森てく
3か月前
12

創作教室

 創作教室へ行った。  プロを何人も輩出しているらしい。  半年間、隔週土日のスクーリング制だ。教室に入ると、すでに半分近く席が埋まっている。  学校の制服を着た…

森てく
3か月前
12

ポエム 長風呂

お風呂に入った。 汗をかいた。 長湯だった。 もう 髪を乾かしてる時から、頭の中はビールのことでいっぱいだったんだ。 冷蔵にある二本の缶ビール。 一本飲んで飲み…

森てく
3か月前
10

ねこ、障子

 生まれようとしたとき、声が聞こえた。 「火? 雷? 水?」  優しく語り掛けるような女性の声だ。  私にはそれが、力を与えてくれることを意味するものだと分かっ…

森てく
7か月前
9

ようやく暑さも遠のき早10月ですね。また書き始めようかと思っております。気合いがみなぎっております。うおおおおおおお(今日は書きません)おおおおお!!!

森てく
7か月前
6

9月。ここまで一瞬でした。
クスクス(料理)。日本語だと嘲笑しているような響きもあるので、我が家ではガァーハッハッハッハに変更されます。

森てく
8か月前
9

疲れすぎて起き上がれない。ご飯だってお風呂だってまだなのに。
 そんなとき、床に向かってかめはめ波を撃つといいですよ!天下一武道会の悟空みたいに起き上がれます!

森てく
8か月前
9

大小

 あかねさんは焦るほどに小さくなる。  この前なんて、発送先を間違えたとかで受話器が取れないほどになっていた。  不思議なことに、小さくなるときは服も一緒だ。  …

森てく
8か月前
9

マヒャド

 マヒャドが使えるようになった。  小学校の先生をしている。  生徒には言えない。  基礎が大事だと常日頃から言っている私が、ヒャドもヒャダルコもヒャダインも飛…

森てく
9か月前
13

じゅよう

 需要を作ると言って、みかんは店を借りた。  そこで需要と書いた紙を売った。  売れない。  店の掃除をした。  客が来る。  需要しかない。  みかんは客の持…

森てく
9か月前
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むげん

 無限について書かれた論文が面白い。  僕が読んで特に面白かったのは、「これ無限に食べれる」とか、「これなら無限にやってられる」みたいな無限についての研究だ。 …

森てく
10か月前
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駐車場ソムリエ2 石油王編

 駐車場ソムリエとしてデビューした母は、新しい人生を謳歌しているようだ。  彼女は、駐車場で自分の車を見失った多くの迷える人たちを彼らの車へと導き、順調にキャリ…

森てく
10か月前
9
リピーター

リピーター

 リピート率200パーセントのお店へ行った。

「200%ってことは、あと2回くることになるってことよね。私たち。ここに」

「そういうことだと思う」

「でもこんなところにあと2回、くるなんてことある?」

 僕はあいまいな返事をする。彼女の意見にはおおむね賛成だ。
 だが何があるかわからない。なにせリピート率200%なのだ。
 用心してかかるに越したことはない。

 そこはアメリカンカジュアル

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AI

AI

 AIを買った。
 初め、残業の時風呂を沸かしてもらったり、ご飯を作ってもらったりするくらいしか使い道がなかった。ときどき背中を掻いてもらったり。
 慣れてくると、買い物をしてもらったり、旅行の予約なんかもしてもらうようになった。
 一度なんて当日急な仕事が入って、AIだけ行ってもらったこともある。
 もはやどっちが自分なのか分からないくらいだ。

 その頃になってくると、もうAIは自分の生活に欠

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自給自足

自給自足

 都会を離れ、自給自足生活をすることにした。
 畑を耕し、野菜を作り、鶏なんかも育てる。養蜂をはじめたっていい。

 土地の候補を探し、仕事の合間に足を運び、住まいを決めた。
 農協に人を紹介してもらい、働きながら学ぶ。

 3年経った頃には、それなりに暮らしぶりが様になってきた。

 二つの道の駅と契約したし、レストランからの取引の話もある。ご近所付き合いも良好だ。

 だが畑は一人では管理がで

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なんとなく公開中の記事数(呟き含む)を見てみたら99記事とありました。
え?
と思って一個一個手で数えたら本当でした。
これ100記事目です。

大福

 みかんの店の商品が怪盗に狙われているらしい。

 なんでも彼女が、自分で作った大福に一億円の値をつけた翌日、予告状がポストに入っていたのだそうだ。

「自分の店の物にいくら値を付けようが知ったこっちゃないが、生もの売るのって、食品衛生管理みたいな免許いるんじゃなかったっけ?」

「調べてくれ」

 一億円の大福をもりもり食べながら彼女は言う。

「食べていいのかよ」

「作るからいい」

「売れ

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創作教室

 創作教室へ行った。
 プロを何人も輩出しているらしい。

 半年間、隔週土日のスクーリング制だ。教室に入ると、すでに半分近く席が埋まっている。
 学校の制服を着た若い人からお年寄りまで、様々な人がいる。

 私が適当な席についても、パラパラと人が絶えずにやってきて、5分もしたら部屋はいっぱいになった。

 時間になる。正面上のスピーカーから、チャイムが鳴った。
 学校みたいだ。

 やってきた講

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ポエム 長風呂

お風呂に入った。

汗をかいた。

長湯だった。

もう

髪を乾かしてる時から、頭の中はビールのことでいっぱいだったんだ。

冷蔵にある二本の缶ビール。

一本飲んで飲み干した。

でも翌朝、冷蔵庫を開けると、ビールが一本なくなっていたんだ。

確かに昨日は二本あった。
風呂からあがって一本飲んだ。

でも朝冷蔵庫を開けると、一本だけになっていたんだ。

年末、家の二本のビールはそこで過ごした。

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ねこ、障子

 生まれようとしたとき、声が聞こえた。

「火? 雷? 水?」

 優しく語り掛けるような女性の声だ。
 私にはそれが、力を与えてくれることを意味するものだと分かった。

 火は祓う力。雷は裁く力。水は打ち消す力。
 選べ、ということらしい。

「猫が開けた障子の穴を即座に戻す力が欲しいです」

 それでさんざん苦労したのだ。結局うちの障子は穴だらけだった。穴だらけの障子を残し、私は死んだ。

 

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ようやく暑さも遠のき早10月ですね。また書き始めようかと思っております。気合いがみなぎっております。うおおおおおおお(今日は書きません)おおおおお!!!

9月。ここまで一瞬でした。
クスクス(料理)。日本語だと嘲笑しているような響きもあるので、我が家ではガァーハッハッハッハに変更されます。

疲れすぎて起き上がれない。ご飯だってお風呂だってまだなのに。
 そんなとき、床に向かってかめはめ波を撃つといいですよ!天下一武道会の悟空みたいに起き上がれます!

大小

 あかねさんは焦るほどに小さくなる。
 この前なんて、発送先を間違えたとかで受話器が取れないほどになっていた。
 不思議なことに、小さくなるときは服も一緒だ。
 正直助かっている。

 彼女は地元の水産会社に勤めている。本業は事務だがたまに市場に駆り出される。
 これでなかなかフォークリフトの運転がうまいのだ。

 ヘルメットなんてしてくるものだから、そんなものをしない男たちの中で、彼女の存在は目

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マヒャド

 マヒャドが使えるようになった。

 小学校の先生をしている。

 生徒には言えない。

 基礎が大事だと常日頃から言っている私が、ヒャドもヒャダルコもヒャダインも飛び越えて、いきなりマヒャドを使えるだなんて、教育上よくない。

 微分積分を教えてくれなんて言い出されかねない。

 かといって、私が他の氷系の呪文をおさめればいいなんて話でもない。

 だって私はいきなりマヒャドが使えるのだ。

 

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じゅよう

 需要を作ると言って、みかんは店を借りた。

 そこで需要と書いた紙を売った。

 売れない。

 店の掃除をした。

 客が来る。

 需要しかない。

 みかんは客の持ち物を買った。

 エルメス(?)が一万円で買えたらしい。

 それを需要と一緒に売った。

 噂にはなった。

 たまに物を売りに客が来る。

 10人くらい。

 ふとすると来なくなる。でもまた次の常連さんが補充される。

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むげん

 無限について書かれた論文が面白い。

 僕が読んで特に面白かったのは、「これ無限に食べれる」とか、「これなら無限にやってられる」みたいな無限についての研究だ。

 研究者はその無限を取り出すことに成功した。
 まさに厳密科学という感じである。

 その無限の中に入って中を旅するのだ。

 フィールドワーク。

 研究者はときとして旅人になる。

 だが意外なことに、彼らの無限はどれもアパート一部

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駐車場ソムリエ2 石油王編

 駐車場ソムリエとしてデビューした母は、新しい人生を謳歌しているようだ。

 彼女は、駐車場で自分の車を見失った多くの迷える人たちを彼らの車へと導き、順調にキャリアを積んでいった。

 その噂は海を飛び越え、ついにこの前、アラブの石油王からオファーをもらった。

 彼が来日した際、母はその観光に付き合ったのだ。

 リムジンだかベンツだか知らないが、とにかく目立つ車だから、ソムリエする必要はなさそ

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