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黄昏の黙示録

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2022年9月より、月刊連載として小説を投稿していきます。 こちらの方にマガジンとして纏めていこうと思います。 何卒よろしくです😂
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#ポエム

第11章恩讐の彼此−2

第11章恩讐の彼此−2

Vol2

 僕は、アルバイトを終え家路につくことにした。帰りの電車の中、報道され続けるブルーガーデンのニュースをスマートフォンでチェックしながら。ニュースは、様々な企業がブルーガーデンと繋がっており、寄付金と言われるものを与えたり、もらったりしているものだった。大手の通販サイトの社長が追求されていたニュースが報じられていた。滑稽だった。社会とはこんなにも宗教団体なんかに癒着しているのだと思うと。

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第10章 From The Old World

第10章 From The Old World

Vol.1
 おっと。僕はあまりに読書に集中しており、新幹線の時間はもうわずかというところまでになっていた。僕は、慌てて本を閉じ、会計を済ませてカフェを後に新幹線のホームへと急いだ。駅のホームはそこそこ混んでおり、人を避けながら改札を抜けた。駅のホームへ階段を駆け上がると息が白くなっていた。鼻がツーンとするような寒さが身体をおそう。ふと空を見上げると雪がちらついていた。どおりで寒いわけだ。骨の芯ま

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第6章 アルテミスの器−2

第6章 アルテミスの器−2

時がいくつか経っただろうか。数えることよりも次の言葉を発しなければならない。そう感じていた。嘘であってほしい事実を前にした時、僕らは本質よりも幾分か違うことに頭を使い、夢であることを認識しようとしてしまうのかもしれない。目の前の男が言っていることは空耳で本当は何にもありませんでした。と。しかし、現実は非常にも押し寄せてくるのだった。

「未来はね、非常に聖杯を受け入れたがらない子だったよ。まあ無理

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第6章 アルテミスの器−1

第6章 アルテミスの器−1

Vol.1
バシャバシャ。

 水溜りというには大きすぎる水面を雨を仰ぎながら僕と黒奈は歩いていく。激しい雨のせいで歩いてきた後の足跡がすぐに消えていく。顔にあたる雨粒が痛い。そう思いなが歩いていると、いつの間にか道が川になっていた。ザーザーと鳴り止まない雨が降る中、僕は少し不安になっていた。このまま雨がしゃんと止んでくれるだろうか。このまま夜まで雨になってしまったらどうしようか。

「不安。大丈

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第3章 ライ麦畑で僕を追う−2

第3章 ライ麦畑で僕を追う−2

 Vol2
 人の決意とはどんな石よりも脆いのかもしれない。僕は今それを確信しようとしている。水卜先輩との送別会が終了後、水卜先輩と二人で僕の人生について語ったあの夜。熱い想いに突き動かされていた自分はもういない。明日から頑張ろう。その言葉は永遠に僕の頭で反芻され、あっというまに1週間が立っていた。そろそろ年末も見えてくる時期だ。僕は、日々の業務見終われあの時の感情を開けることはなく、結局埃を積も

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第一章 ヨハネの夢-2

第一章 ヨハネの夢-2

 未来を告げる鳥には少し慌しくて、少々頼りない彼女は僕にぶつかってきた。
「いてて、すみません」
「大丈夫?前見て歩かないとダメだよ」
「前は見てたんですけどね。考え事してて。」
「考え事は、どこかカフェの中でするといい。意外とあのざわつきが集中できたりする。」
「そうします。本当にすみませんでした。」
彼女はそう言って足早に去っていった。

 次の日、僕はまた彼女を見かけた。東大の赤門の前。昨日

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序章 First Kiss for Skumring

序章 First Kiss for Skumring

僕は、何者かになりたかった。歴史に名を連ねるような。その熱情で世界を救うような。そんな存在に。しかし、現実はそんなには甘くない。ただ過ぎていく時間の対流を眺めるだけの日常だ。それでも、期待してしまうのが人間だ。何かをきっかけに人生の歯車が好転すると思っている。その角を曲がったら何かが起きるような奇跡を思い描いて。

2025年11月。冬の雨は冷たい。そう思いながら仕事を終えて自宅に帰る途中、なんだ

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