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はるかのエッセイ

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❁❁まるおはるかの作品集❁❁ 2022.6.27からちまちまアップしていきます
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記事一覧

はるかのエッセイ【お手紙】

はるかのエッセイ【お手紙】

幼稚園では、先生に手紙を書くと必ず返事が貰えるという、園児にはかなり胸の踊るカルチャーがあった。それも先生直筆の似顔絵つきである。
そうなれば書く以外ない。

 如何に先生の印象に残し、皆とは違う返事を貰うか、と私の捻くれが働いた。
 園児の皆は一番可愛いと思う便箋を持ち寄って書いているに違いない。それでは全部一緒だと考えたわたしは、折り紙に手紙を書き、その手紙を何か形に折って贈ろうと考えた。

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はるかのエッセイ【だんごむし】

はるかのエッセイ【だんごむし】

ダンゴムシは、かなり人間界とは馴染みの深い虫である。

片想いであることは間違いないが、ダンゴムシを手に乗せたときのくすぐったさは、誰でもすぐに思い起こせるほどには関わりがあると思う。

わたしは二度、ダンゴムシの出産に立ち会った。しかもわたしの手のひらで、人生の始まりを迎えたのである。正直気持ちが悪かった。一ミリにも満たないほどの小さな粒々が、一斉にわたしの手のひらに現れ、駆け出した姿はトラウマ

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はるかのエッセイ【はーちゃん】

はるかのエッセイ【はーちゃん】

あなたは初めての一人称は何であったか覚えているだろうか?一人称は大抵、二歳ごろから〇〇君、〇〇ちゃんなどと周りからの相性をそのまま使い始め、年中~年長児になると、多くの子供たちが「わたし」や「ぼく」を使い始めるそうだ。
 自分の愛称をそのまま一人称として使用する行為は、周りに自我を強めている行為だそうだ。自分を認めてもらおうと、子供たちも必死なようだ。
 「わたし」「ぼく」に変化するのは、環境の変

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はるかのエッセイ【ポンちゃん】

はるかのエッセイ【ポンちゃん】

わたしの母は、自然豊かな土地の小学校に通っていたという。そのため、変わった植物や、野生動物に遭遇することは珍しくなかったそうだ。

そうなると、動物を一匹や二匹家に持ち帰った
ことは言うまでも無い。

また、母は大変な動物好きであったため、
全てを思い出すことはでき無いほどには持ち帰り
飼ったそうだ。一番衝撃的だったのは、
フクロウを拾い持ち帰ったことだ。
 
その娘である。わたしも沢山の動物を持

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はるかのエッセイ【憧れ】

はるかのエッセイ【憧れ】

誰もが、子供の頃何かに強く憧れたであろう。

ケーキ屋さん、アニメのキャラクター、
交通機関の運転手。

 わたしも、もちろん憧れを持ったものである。それも沢山だ。特に憧れを抱きやすい子供であったと思う。妖怪にも憧れた。河童は特に憧れた。実は手に水かきが有るんだと友人に嘘をついたりもした。他にもケーキ屋、花屋、ハンバーガー屋、戦隊ものの青色(苦しむ演技をしてみたかった)表情を変えない少女など様々だ

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はるかと旦那さん 【キリン】

はるかと旦那さん 【キリン】

私の旦那さんは、不健康だ。
亜鉛不足/寝不足/食の乱れを医師に告げられている。

ある日は深夜三時までパンを焼き。
ある日は空想に耽って朝を迎え、
ある日の食事は豆腐一丁。

 作曲なんかをする人にはこんな生活がある意味正解なのかしらと、こちらが悩むほどだ。

そんな旦那さん。意外にも健康好きで、走って通勤したり、無添加にこだわったりしている。

最初にあげた亜鉛不足が発覚した時も、よほどショッ

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はるかのエッセイ【魔法使い意識】

はるかのエッセイ【魔法使い意識】

わたしの通っていた幼稚園は、小さな広場があり、行事の際の待ち時間は、いつもそこで待たされた。

その日も何かの行事の前で、よく状況も分からないまま待っていた。これからのことなどさほど興味が無かったことは覚えている。

 このような待ち時間、周りの園児の会話に耳を傾けたり、何かを見つめては一人、想像に耽ったりして過ごした。

 小さな木の実を見つけては、埋めたら何が生えてくるだろうか。柿やリンゴの木

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はるかのエッセイ【カレーライス】

はるかのエッセイ【カレーライス】

わたしは、物心ついた頃から異常なほどに心配性であった。

ぬいぐるみのように裸の状態で売られているものはウイルスの付着が心配で、ある程度の期間遊んでみて、人体に害が無いことが確認出来るまでは少し緊張した。

またある日は、スーパーでパックの紅茶が一パック三十九円で売られていた。値段に惹かれて、特段欲しくもない買い物をするタイプの母は、その紅茶をいくつか購入し、わたしにも与えてくれた。しかしそこで素

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はるかのエッセイ【ぱんつ】

はるかのエッセイ【ぱんつ】

子供にとって、プールの時間は非常に心躍る時間である。

わたしもプールの時間は大好きであった。水着もお花柄でお気に入りだったし、空になった食器洗剤の入れ物で水鉄砲するのが何よりも楽しかったのを覚えている。

幼稚園では、夏になるとプールの時間が設けられた。園児は皆、それを楽しみにしていた。

ある日、プールの授業参観が行われるという旨のプリントが、自宅の冷蔵庫に貼られているのを発見した。大好きなプ

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