コロナの抗原検査キットを見て、妊娠検査を思う人がいるのではないだろうか。同じ形してるし、ふりかけるものは違うけれど。とはいえ、私が妊娠可能だった若い時分にはまだ…
モカ。すごい酸味。苦味より好きだから選んでるけど、ここまで酸っぱいとなんか違うなあと思いながら、コーヒーをすする。数十年ぶりに服用したパブロンSゴールドWがわずか…
純文学とは何かーこの問いに答えを与えるために、私は小説を書いている気がする。新人賞に応募し続けていると、どうしてもそれらしきものを探り、それらしきものに寄せよう…
精神分析学を創始したS.フロイトは、無意識の精神過程では、客観的現実が無視され、心的現実に置き換えられているとした。心的現実とは、他人が聞いたら嘘に思えるようなこ…
まずはじめに、謝罪しなければならない。熱量の配分ができず、書き手が不能なために非常にバランスの悪い、ムラのある記事になってしまった。書かれたテキストの分量は、候…
読んだらどの賞に応募したか分かってしまうこと自体、失敗の原因であると思われる落選作です。でも、言葉遊びが好きだし、表現されるイメージが好きだから、自分は小説を書…
振り返っても特筆すべきことなんて何にも浮かばない。小説で、ひとつも結果を出せなかった。すぐにでも封印してしまいたいこの1年。春に応募した150枚も阿波しらさぎも、予…
私の母は、還暦が近くなったらやたらと赤いものが目に入るようになったと言い、それは裏の藪のクサイチゴや石畳みを這うナワシロイチゴの実だったりするのだけれど、今じっ…
Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシングより出版しました。幻想的な2作品です。ご興味ある方は、どうぞお手元にお誘いください。 新潮新人賞二次通過作品『赤いドレ…
現在、発売日10月14日(土)を前に、粛々と行われているのだろう出版サイドの作業終了を待っている。期せずして(これは本当に偶然)土日にはAmazonプライム感謝祭があるら…
ここ 10 年くらいだろうか、春と秋に小説を完成させて文芸誌に応募し、それぞれ半年間じっとその結果を待つ日々を過ごした。応募した次の瞬間にはもう待つ体勢に入るから、…
SNSを日常的にのぞいていると、知らぬうちに影響を受けている。才能がある人はネット上にたんまりと存在する。受賞したとか何次予選を通過したとか、めでたい結果が流れて…
午後、美容院に行った。ここ数年は半年に1度くらいのペースだったから、3ヶ月ぶりのきょうは、私にしては珍しい。長い髪をばっさりカットして明るめの茶色に染めてもらった…
今年2023年3月末にふたつの小説をそれぞれ文芸誌へ応募した。そのあと、自分はもう純文学を書いていても日の目を見ることはないだろうから、夏に少しエンタメ寄りの小説50…
夏本番を前に、恒例のお祭りがやってきた。 選考会が楽しみだ。 1.受賞予想本命 :『 ハンチバック 』市川沙央 対抗 :『 それは誠』乗代雄介 大穴 :『我が手の太…
明日の準備をしよう。ランドセルのふたをあけたとき、これは自分のじゃないことに気づいた。「大村勇気」と名前が書いてある。なんでまちがえちゃったんだろう。きっと大村…
万条由衣
2024年6月6日 14:45
コロナの抗原検査キットを見て、妊娠検査を思う人がいるのではないだろうか。同じ形してるし、ふりかけるものは違うけれど。とはいえ、私が妊娠可能だった若い時分にはまだそんな手頃なキットはなかった。妊娠が疑われれば、あるいは妊娠が期待されればまず産婦人科に行かなくてはならなかった時代。受け入れ難い妊娠をした人にとっては、かなり高いハードルだったと思う。病院に行って確定すれば、産むか産まないかをリミット付き
2024年5月21日 11:06
モカ。すごい酸味。苦味より好きだから選んでるけど、ここまで酸っぱいとなんか違うなあと思いながら、コーヒーをすする。数十年ぶりに服用したパブロンSゴールドWがわずかながら効力を発揮しているのを感じている。誰かが撮った文フリ会場の写真を見かけた。お目当てのブースに辿り着くばかりか、息を吸うのも大変そうな混み合い。「会いたい」より少し距離がある「会っておきたい人」の顔ともすれ違いで無駄足になり、あれ
2024年5月1日 00:03
純文学とは何かーこの問いに答えを与えるために、私は小説を書いている気がする。新人賞に応募し続けていると、どうしてもそれらしきものを探り、それらしきものに寄せようと試行錯誤するからだ。文体に凝ったり、具象から抽象をねらったり(またその逆もあり)、人称や時制を駆使したり、人間ドラマを書いたり……挑み方は人それぞれ、そのときどきだろう。セルフ出版した作品の、とくに『赤いドレスをめぐる、あなたと私の狂想
2024年1月13日 10:23
精神分析学を創始したS.フロイトは、無意識の精神過程では、客観的現実が無視され、心的現実に置き換えられているとした。心的現実とは、他人が聞いたら嘘に思えるようなことでも、その人の中では実際に起きたと認識され、そう信じていることを言う。この「心的現実」という言葉は私の中で、カウンセリングの過程を知る上で重要な現象のひとつ、といった程度の知識だった。ところが、ある日それは私自身に体験された。そ
2024年1月9日 08:41
まずはじめに、謝罪しなければならない。熱量の配分ができず、書き手が不能なために非常にバランスの悪い、ムラのある記事になってしまった。書かれたテキストの分量は、候補作品に甲乙をつける意図があった訳ではないし、候補作品すべてに対して敬意を表します。今回も楽しませてくれてありがとうございます。そしてごめんなさい。(でも私は書評家でも作家でもないので、どうぞご容赦くださいませ)なお、『東京都同情塔』の「
2024年1月2日 07:36
読んだらどの賞に応募したか分かってしまうこと自体、失敗の原因であると思われる落選作です。でも、言葉遊びが好きだし、表現されるイメージが好きだから、自分は小説を書いているんだなと納得する作品でもありました。隙間時間にどうぞお読みください。『 イチルの希望 』 万条 由衣 白い花、白い大きな花がゆれてるみたいに帽子が上下に動きながらゆっくり離れていく。白いのにはば広いつばがあるからそ
2023年12月28日 14:13
振り返っても特筆すべきことなんて何にも浮かばない。小説で、ひとつも結果を出せなかった。すぐにでも封印してしまいたいこの1年。春に応募した150枚も阿波しらさぎも、予選通過できなかった。昨年春に応募した150枚を50枚に再構成して女による~R18に出したけど、やっぱだめだった。よく考えればたった3日で書き変えただけの小説が予選通過できるはずがない。舐めたことをしてしまい、反省している。ほらやっぱり何
2023年11月6日 06:47
私の母は、還暦が近くなったらやたらと赤いものが目に入るようになったと言い、それは裏の藪のクサイチゴや石畳みを這うナワシロイチゴの実だったりするのだけれど、今じっと睨んでいるのはマグロの赤身、ほとんど血合いしかない部分だった。どうしてわざわざ血合いの部分を買ったのかと聞いたら、血が足りないような気がしてと母は言い、うつろな目をして私を見た。とうに閉経したであろう女が血が足りないって、といぶかしく思
2023年10月14日 11:41
Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシングより出版しました。幻想的な2作品です。ご興味ある方は、どうぞお手元にお誘いください。新潮新人賞二次通過作品『赤いドレスをめぐる、あなたと私の狂想曲』群像新人文学賞三次通過作品『鳥神奇譚』ふだん、小説をあまり読まれない方も、これって小説なの? みたいな不思議な読書を体験することができると思います。また、小説を書いて文芸誌に応募されている
2023年10月12日 08:22
現在、発売日10月14日(土)を前に、粛々と行われているのだろう出版サイドの作業終了を待っている。期せずして(これは本当に偶然)土日にはAmazonプライム感謝祭があるらしいから、より多くの人に本のサイトものぞいてほしいなと思う。とつぜん、本を作ろう! と決めたときは、まだ、それがどんなに大変なことかわかっていなかった。初めての経験に、わくわくしていた。KDP(Kindle ダイレクト・パブリ
2023年10月6日 14:20
ここ 10 年くらいだろうか、春と秋に小説を完成させて文芸誌に応募し、それぞれ半年間じっとその結果を待つ日々を過ごした。応募した次の瞬間にはもう待つ体勢に入るから、ほとんど 1 年の間ただひたすら待ち続ける。最終選考に残った連絡が出版社の編集から入るのであろう日を、音沙汰なければ次は予選通過者が文芸誌に発表される日を。そして落選が決まれば絶望感が押し寄せる。穴に落ち、しばし沈黙。そのうちひと筋の光
2023年9月8日 21:56
SNSを日常的にのぞいていると、知らぬうちに影響を受けている。才能がある人はネット上にたんまりと存在する。受賞したとか何次予選を通過したとか、めでたい結果が流れてくるたび、彼らがどんな小説を書いているかにはあまり関心を持つこともしないで、かつその賞を見極めることもしないで、ただあたふたする。そして自分もその賞に応募してみようか、と思い、つい書いてしまう。自分自身はどんな小説を目標にして書き続けてい
2023年7月7日 08:16
午後、美容院に行った。ここ数年は半年に1度くらいのペースだったから、3ヶ月ぶりのきょうは、私にしては珍しい。長い髪をばっさりカットして明るめの茶色に染めてもらった。美容師のみどり(仮名)さんにお願いするのは春以来二度目。猛暑であることと、値上げが影響してか、広いフロアに私を含めて3人ほどの来店状況は、店として厳しい状況らしい。閑散としていたこともあり、みどりさんと話がはずんだ。みどりさんは秋田出
2023年7月5日 07:44
今年2023年3月末にふたつの小説をそれぞれ文芸誌へ応募した。そのあと、自分はもう純文学を書いていても日の目を見ることはないだろうから、夏に少しエンタメ寄りの小説50枚を書いてみようかと思い立った。傾向を知るために、過去の受賞作品や選評、受賞後ヒットした作家の既刊本を読んだりして過ごしていたある晩、某テレビ番組が目にとまった。画面に引き込まれた。ほとんど1日中創作のことを考えている私は、書き始め
2023年6月30日 08:04
夏本番を前に、恒例のお祭りがやってきた。選考会が楽しみだ。1.受賞予想本命 :『 ハンチバック 』市川沙央対抗 :『 それは誠』乗代雄介大穴 :『我が手の太陽』石田夏穂(『ハンチバック』と『それは誠』のW受賞になると予想している)エッジの効いた純文学作品を久しぶりに読んだ。『ハンチバック』が受賞しない理由がもしあるとするなら、説明してって言えるほどの衝撃的な作品だ。候補作があがっ
2023年4月15日 10:11
明日の準備をしよう。ランドセルのふたをあけたとき、これは自分のじゃないことに気づいた。「大村勇気」と名前が書いてある。なんでまちがえちゃったんだろう。きっと大村は吉野のランドセルを背負って学校から帰ったんだ。中にしまわれている教科書やノートはうねうねと波を打ち、砂のじゃりじゃりがこびりついていて、私は大村勇気の、よれたTシャツを思い浮かべる。ざらざらした鮫肌のふくらはぎも。ぜんぶ、私のとは全くちが