マガジンのカバー画像

超短編など

214
300文字程度の奴です
運営しているクリエイター

記事一覧

筋肉:ケーキ

『筋肉』

隣に座ってる奴の筋肉すげーな……。
「筋肉すごいですね」
って言ってみようかな。
これ言わないと逆に失礼だよな。
いやでも、やめとくか。
なにか気に障ったら恐ろしいしな。
この筋肉で殴られたら一溜りもないぞ。
だから、やめとこう。
はぁ……これだから筋肉は嫌なんだよ。
鍛えるなバーカ、俺がビビんだろ。
特に理由はないけど、
俺の許しとか必要ないけど、
腕相撲とか絶対すんなよ。
勿論、相

もっとみる

それまでの関係

バス停にて、
眼帯を付けたおじさんと話し込んだ俺ではあったが、バスの中ではおじさんから離れたところに座った。
おじさんも俺も、
まだまだ話し足りない感じではあったが、
俺の方が、
「関係はここまでだ」
と思い、おじさんから離れた。

なんで眼帯を付けているのかとか、
部活はなにをやっていたのかとか、
子犬派か子猫派かとか、
聞きたいことは確かにいっぱいあったけれども、仕方ない。
バスが来たら関係は

もっとみる

愉快な人達

満員電車でいつものようにぶつくさと独り言を言い、職場でいつものように舌打ちを連発する彼は、今年で五十二歳になる。

人通りの多い道でいつものように地団駄を踏み、職場でいつものように髪の毛をボサボサに掻き乱す彼女は、今年で三十二歳になる。

満員バスでいつものように深い溜め息を吐き、職場でいつものようにたくさん溜め息を吐く彼は、今年で四十四歳になる。

誰もいないところでいつものように物干し竿をアゴ

もっとみる

一瞬の夢:キャラ

『一瞬の夢』

かくれんぼを開始してから、
わずか三秒で、
「みーっけ!」
をされたボクは、
「えぇ!? ウソ!」
と驚きの声を上げて、
「えぇ……ウソ……」
とすぐ声を落とした。

くそぅ……全く楽しめなかった。
これじゃ隠れてないのと一緒だ。
何の時間だったんだ?
何の時間を過ごした?
一瞬の夢じゃねぇか。
これなら
かくれんぼになんて参加しなきゃよかった。
つまんねぇ。
終わりだよバーカ。

もっとみる

青闇

その一つ一つを大切に育て、
その一つ一つを間違って燃やしてしまった今日は、気を取り直して釣りでもする。
THE ハイパーフィッシングだ!
大物を釣るぞ!

と意気込んだ男は、
大物と格闘した末、
海に引きずり込まれてしまった。
いつまで経っても
男は海の中から顔を出さない。
恐らくは大物に喰われでもしたんだろう。
恐らくはね。
全く可哀想に。
「あれま~」
と言う他ない。

しかし、
大物の正体は

もっとみる

道すがら

球体みたいな見た目のそいつに軽い会釈をした俺は、軽い笑みを浮かべて、その場を去った。

去った先には、
丸々太った猫が居たんだけど、
そいつにも一応軽い会釈をして、
その場を去った。

まぁ、テキトーに散歩をしていく。
宇宙人とかに会えないかな?
地底人には会えなくていいや。
カマキリ人間とかは存在するなら会ってみたい。
ドラキュラには別に会えなくていいや。
性格悪そうだしな。
蛇革のバッグに豹柄

もっとみる

ぐっすり

寝そべっている誰かを
確実に
わざとで踏んで
逃亡した今の今、
後ろを見てみると、
その誰かは追ってきていなかったので、
僕はとりあえずガッツポーズでもして、
それから一息ついた。

よく分からないけど、
オレは勝ったんだよな?
所謂、圧勝って奴だよな?
この前ヤンキーに肩をぶつけられた時は、
確実に負けてケツを蹴られてしまう悲惨な状況に陥ってしまったけど、
今日のこの出来事は、
理不尽にもオレが

もっとみる

I don't know ☆彡

友人の沙子が
スピリチュアルな体験をしたと言うので、
「だから何?
 聞きたくない!」
と声を荒げた私は、
両手で両耳を塞いで
両頬をぷくーっと膨らませた。

そう、私は怒っている。
やめてよ、スピリチュアルな話は。
私そういうの信じてないんだから。
もっとなんか最近見た夢の話とかにしてよ。
それか若い才能に嫉妬した話とか、
死にたくなるくらい暗い話とか、
色々あるでしょ、色々。
とにかく私は、

もっとみる

うひゃ:輪唱

『うひゃ』

「うひゃ!」
と肩を上げた僕は、
「ひゃっひゃっひゃっ!」
とそれをアイツのカバンの中に入れた。
それから僕は、
「うひゃー!」
と更なるイタズラを仕掛けようと思ったんだけど、やめた。
一旦、落ち着こう。
明日はテストだ。
こんなことをしている場合じゃない。
勉強だ。
勉強勉強、勉強をしよう。

『輪唱』

早速だけど、
一緒に輪唱しようか。
仲良しってそういうことでしょ?
仲良しが

もっとみる

sorry

全力で向き合って
向かい合って
無駄な動きをして
元気出して
極力美しい言葉を使って
できるだけ
やれるだけの良い言い訳をしたけど、
最終的には結局ゴメンした、
まだ明るい夜の事、

僕は君に嫌われたくなくて
冷たい目で見られたくなくて
十連続チョップを喰らいたくなくて
これでサヨナラされるのが
嫌だから
恐いから
僕は必死に頑張って
なんとかどうにか泣いてみせたんだけど、
君はそんな僕を許してく

もっとみる

レベル:わっ

『レベル』

お前まだレベル1なの?
俺はもうレベル2だぜ。
もう2、もうこの段階で2、スゴイだろ。
いや引くか。
もう2なことに引くか。
でもごめん、もうレベル2なんだわ。
もうね、もう先行っちゃってるんだわ。
ごめんな、一緒に始めたのにごめんな。
お前もさっさとレベル上げろよ。
じゃあな~、
がんばれ~。

『わっ』

え?
なんかこれ生きてない?
わっ!
ほら生きてる!
完全に生きてる!

もっとみる

いい

君の良いところを
10個挙げるだなんて無理だよ。
100個ならともかく、
10個は多いって。
せめて7000個でしょ。
7000個ぐらいだったらスラスラ挙げられるよ。

えっと、
優しいところでしょ。
目が良いところでしょ。
目が琥珀色なところでしょ。
目がパッチリ二重なところでしょ。
目が希望に満ちているところでしょ。
目があったかいところでしょ。
目が先を見ているところでしょ。
ほら、まだまだ

もっとみる

ありゃありゃ

間違いなく迷いはあったし、
踏みとどまろうとも思ったけど、
最終的には、
「まぁいいや」
ってことで、その決断に至った。

今思えば、
もう少しよく考えるべきだったね。
僕が馬鹿だった。
「あ~あ」
ってな具合に後悔してる。
勿論、反省もしてる。
あの決断は迂闊だった。
この事は忘れずに覚えておくよ。
今日の朝、起きた時に一瞬、
この事について忘れちゃってたけど、
今後はそんなことがないよう気をつ

もっとみる

なる

今にも走り出しそうなこの気持ちを、
何人もの人達に抑えつけられた不服な今日は、
怪しげな動きを積極的に行った。

盗撮しているかのような動きをしたし、
露出狂かのような動きもした。
それだけに止まらず、
万引きしているかのような動きもしたし、
誘拐犯かのような動きもした。
更には、
人に化けたキツネかのような動きもしたし、
たちの悪い浮遊霊かのような動きもした。

そのせいでちょっと色々ゴタゴタが

もっとみる