- 運営しているクリエイター
2023年11月の記事一覧
準備は、すでに始まりの合図。
今日で9歳になる少女は、大人たちが不思議でならなかった。
「サンタクロースはいない」。
プレゼントの値段が高くなったから、代わりに一緒に買い物に行こうと母親が提案してきた。今年でサンタクロースは「おしまい」なんだって。
じゃあクリスマスが来るまでのこのワクワクと、家族でするクリスマスパーティーの幸せな気持ちはなんなのだろうか。朝起きてプレゼントを開けて喜ぶ、それを家族が見てまた笑い合う。あの
月と太陽の友情は存在するのか。
「無事、朝が来てくれた」と、狼男は安堵した。
彼の住む森に、今日も穏やかな太陽が顔を見せる。
朝が来ると木こり小屋で軽い朝食を済ませてから、すぐにタバコ畑の様子を見に出かける。それほど広くないが、狼男はそこが好きだった。朝日を浴びた土のにおいと、緑の力強さを感じることができるから。
それから、自分で巻いた紙巻きたばこを煙草ケースに詰めなおす。
彼が考案したシガレットペーパーは愛煙家からも好評だった
「人」についての本。
雪国に長く住んでいると、「秋」というのは雪が降るまでの助走でしかない気がする。ひとつ損したと思うのは、本当は4つあると教えられたからだ。
たとえ、それが無料で提供され利用していないとしても、取り上げられるのは絶対イヤだと騒ぐ。それが「人」だと、図鑑には明記してあることだろう。
その図鑑は、森にある。
森というのは、男が向かうところだ。
寒空に霧を解き放つ森に、少年時代にちぎり取った青空をポケット