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読書記録_本

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読書(漫画以外)の記録。 名前が覚えられないため、外国の本があまり読めない。まほろ市出身。 Instagramにも載せています。 https://www.instagram.co…
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#読書記録

『佐野洋子の「なに食ってんだ」』 佐野洋子 オフィス・ジロチョー

『佐野洋子の「なに食ってんだ」』 佐野洋子 オフィス・ジロチョー

『100万回生きたねこ』を小さい頃に読んでいなくて、私の知る佐野洋子は『ヨーコさんの言葉』や『死ぬ気まんまん』で、その場に迎合するのではなくて、自分の感じたことや考えたことをスバっという豪快な人、という印象。彼女の絵本や小説、エッセイに出てくる食についての本。

中国で暮らしていた時の食べ物、銀座のお寿司、念入りにつくったおせち、おいなりさんといった食べ物だけでなく、石やセーターなど食べ物ではない

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『運命の恋をかなえるスタンダール』 水野敬也

『運命の恋をかなえるスタンダール』 水野敬也

机から猫型ロボットが、ランプから妖精が、本からスタンダールが出てきて色んなことをしてくれる。

ひょんなことから水野敬也さんのブログを読んだら、ひっじょーに面白かった。そこでこの本が出てきたので読んでみた。ほら、タイトル通りに運命の恋がかなったら嬉しいし。

主人公は図書館で働く冴えない女子、聡子。ある日図書館にフランス文学を探しにやってくるイケメン(通称「マリウス」)に恋をする。部屋にあった『恋

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『マンガ家再入門』1-2巻 中川いさみ

『マンガ家再入門』1-2巻 中川いさみ

ゲストがすごい。大友克洋、松本大洋、ちばてつや、弘兼憲史、諸星大二郎、東村アキコという漫画家から、演劇の松尾スズキ、鴻上尚史、日本画家の山口晃などなど。借りた1巻で止めようと思ったら、続きが読みたくて電子書籍で2巻を購入。

私は『スピリッツ』で読んでいたギャグマンガ家の中川いさみさんがデビューから30年を経て、新たにストーリー漫画を描こうとする。さしあたっては先輩方に描き方を習おう、というインタ

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『細野不二彦短編集』2,3 細野不二彦

『細野不二彦短編集』2,3 細野不二彦

お盆に実家に帰ったら「読む?」と母から言われたのでありがたく読む。彼女は『ギャラリーフェイク』が好きなのだ。私も好きだけど。1巻がなかったらしいので、2巻と3巻。

『ギャラリーフェイク』の細野不二彦さんによる短編集。私は一時期、骨董屋に勤めていてその時に勉強を兼ねて読んだのが『へうげもの』と『ギャラリーフェイク』。(私は何か新しい知識を入れようとするときはまず漫画を探す。発酵、医療、日本/ローマ

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『孤宿の人』 宮部みゆき

『孤宿の人』 宮部みゆき

「こんな長い本を読めるのか、自分?」と読み始めて思う。『初ものがたり』を勧めてくれた友人が、「宮部みゆきの歴史モノが気に入ったなら、これを読むといいよ。」と教えてくれたから面白いはず、と読み進めたらいつの間にかちゃんと入り込めた。壮大な話なので、じっくり色々な伏線が貼られていくのを待つ必要がある。反物を織るには丁寧な縦糸の準備が必要。準備に手間がかかる分だけ、目の詰まった綺麗な反物が織り上がる。

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『町田くんの世界』 安藤ゆき

『町田くんの世界』 安藤ゆき

あぁ、恋に落ちるってこういうことだ。世界に私と彼しかいなくなって、その間に存在するものがない。だから無防備な自分になる。えっ、不安・・・でも、何だろう、戸惑いだけでなくて高揚感もあって・・・と最初のエピソードでがっつり町田くんに恋をしたのは、彼が私好みのメガネ男子だっただけではない。

町田くんがどういう人かを知らない人に説明しよう。大家族の長男の高校生だ。勉強もできないし運動もできない。料理もで

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『野の医者は笑う: 心の治療とは何か?』東畑開人

『野の医者は笑う: 心の治療とは何か?』東畑開人

私は約10年間、結構なスピリチュアル・健康・自己啓発ジプシーをしていた。2年くらい前に「こんなに一生懸命実践しているのに、なんで全然モテないしお金持ちにもならないのだろう?アホくさいからやめよう。」とストイックな生活に見切りをつけて、現実世界で享楽的に生きるようになったら人生が楽しくなった、という状況である。あの愛と光と成長、そして一時の高揚に満ちた蠱惑的な世界と、ヨレヨレで藁にもすがりたい自分っ

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『はぐちさん 5』 くらっぺ

『はぐちさん 5』 くらっぺ

一人暮らしの同居者として最適なのは、猫でも犬でもなく、「はぐちさん」だと思う。卵のような、餅のような、小さな白い生き物、はぐちさん。会社に行っている間に洗濯などの家事をしてくれるし、温かい晩ご飯を作って家で待っていてくれる。時には駅まで迎えに来てくれる。週末はお出かけをせがんでくるから一緒にお出かけする。でも何よりかわいい。一見ブサイクというかキモく見えるはぐちさんがどれだけかわいいかは、マンガを

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『へろへろ ー雑誌「ヨレヨレ」と「宅老所よりあい」の人々』  鹿子裕文

『へろへろ ー雑誌「ヨレヨレ」と「宅老所よりあい」の人々』 鹿子裕文

この本は有名コンサル会社とか投資銀行出身といった百戦錬磨のビジネスパーソンによるスタートアップの話ではない。ユニークなアイデアをSNSで拡散して「いいね!」と資金を集めて実現したクラウドファンディングのお話でもない。お金も権力もない福岡の老人介護施設「よりあい」の人々(普通のおばちゃんとか)が、森を見つけ、その土地を獲得し特別養護老人ホームを作るまでのお話。この『へろへろ』を私はニヤニヤ、おろおろ

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『三つ編み』 レティシア・コロンバニ

『三つ編み』 レティシア・コロンバニ

「どうか、この話が現代のものでありませんように」と祈るように読み始めたこの話はインドの不可触民スミタの話で幕を開ける。彼女は毎日、近隣の村の家を訪ね素手で糞便を集める。お金はもらえない。時折残飯がもらえるだけ。夫は村人の畑のネズミ捕りをする。こちらもお金はもらえない。捕ったネズミを持ち帰り、ごはんのおかずにする。娘にこの仕事を継がせたくない。教育を受けさせたい。

この本は「新井賞」の第10回受賞

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『初ものがたり』宮部みゆき

『初ものがたり』宮部みゆき

江戸の町、夜遅くまで開いている屋台が一つ。稲荷寿司の店だが、蕪を丸ごと使った蕪汁、鰹の刺身、白魚蒲鉾、桜餅、柿羊羹・・・といった旬の料理も供している。もちろん美味い。屋台の親父は何やら訳あり。そこに足を運ぶのは、本所深川一帯を預かる「回向院の旦那」の岡っ引きの茂七。彼が屋台に足を運ぶのは、大体事件に悩んだ時で・・・ はい、もう魅力ポイント満載。その屋台、私も行きたい!その親父、気になる!事件の香り

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『海の見える理髪店』荻原浩

『海の見える理髪店』荻原浩

そういうところ弱いの。せっかく強がってるのにそんなに優しくしないで、みたいな感じで読んだ。いやー職場で連休明けから大変居心地が悪くなっていたんだけど、ポジションが変わりました。席替えして数時間で肩のこわばりが解けていくのがわかって灯りっぱなしだった心身のアラートがひとまず消えた。普通に働けるってなんてありがたいことなんだろう。というわけでサバイブするためにビジネス本を読んだりして左脳モードにになっ

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『パスタぎらい』ヤマザキマリ

『パスタぎらい』ヤマザキマリ

イタリアに暮らし始めて35年。イタリア留学のほか、世界各地を旅したり、住んだりしている『テルマエ・ロマエ』の漫画家ヤマザキマリによる食エッセイ。彼女は貧乏時代にパスタを食べすぎたせいか、パスタが嫌いだという。

彼女が死ぬときに口に突っ込んでもらうよう息子に依頼している(そのくらいおいしい)ポルチーニ茸やイタリアのお義母さんが「今日は寿司にするから食べに来い」と言った時に出てきた寿司の様子、コンビ

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『もしアドラーが上司だったら』 小倉広

『もしアドラーが上司だったら』 小倉広

温かい目で部下を見守り、仕事の仕方を教え、人間的成長までも促してくれる上司。現実世界にいないのならば、私は本の世界に師を求めよう。でも本当はこう言いたい。「ドラさ~ん、本から出てきて~ちょっと私の職場なんとかして~!なんだったらタイムスリップして20代の私に指導してやって~!」

米国でアドラー心理学を学んできた上司が会社に戻ってきた。背が低くて太めの猫型ロボットみたいな憎めない彼の愛称は「ドラさ

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