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:妄想歳時記:桜之宮で、間悪う魅いられた
造幣局の「桜の通り抜け」より少し前、
桜之宮の大川ぞいは、花見の宴で遅くまで明るい。
満開の桜に誘われ、夕方から呑み始めると、
花曇りの空は、だんだん深い色に移る。
昼と夜が入れ替わる逢魔(おうま)が時に、
ふと見上げた桜は、群青を背景に白く透きとおる。
無数の花びらが悪悪(わるわる)う冴えわたり、
ゾッとするほど妖しく美しい。
もちろん樹の下に何かが埋まっているはずもなく、
ただ光の加減と空
:妄想歳時記:梅田の地下街で、心急(こころぜ)きなサンタ
街はクリスマス一色に染まり、
今年も梅田の商業施設に、たくさんのサンタが来る。
ここにある最新のプレゼントを仕入れ、
すべての人に幸せを届けようと
いつもの地下街を抜けてサンタはやって来る。
ただ毎年、迷路のような街にとまどう。
去年あったお店はなくなっている。
街は変化し、開発と停滞、統合と撤退を繰り返す。
去年の情報は、もう役に立たない。
迷いながら、焦りながら師走にサンタも走っている。
:妄想歳時記:御堂筋のギンナン、何(なん)なん。
もうすぐイチョウ並木も黄金色に色づき、
いよいよ本格的な秋が始まる。
今まだ青いイチョウに成るのは、ギンナン。
食べると旨いが、かなん匂いは、何なん。
久しぶりに御堂筋、歩くのは、よい提案。
真っすぐ下って左折する、行き先は東南。
やっと終った仕事を納め、乗り越えた苦難。
信号待ち、一服しようとした時、眼前の取締官。
すっかり忘れた路上喫煙禁止、あかん我慢。
日暮れ前、行き交う人を避けな
:妄想歳時記:淀川で、知らん顔したサギ。
秋気澄む、高い空、色なき風が吹き抜ける。
犬連れの人、走る人、自転車の人。
ワンドでは混じり合い、多様な生物。
淀川は時間をかけて、たくさんのものを受け入れる。
川の中、人影のようなサギの姿。
お気に入りのポイントを見つけると
なんのためかは知らないが、じっと動かない。
サギには、サギの用事がある。
渡り鳥は、ここらで休み南へ帰る。
知らん顔したサギは、やっぱり止まったまま。
見上げるのは、十
:妄想歳時記:出来損(でけぞこ)ないの秋、 仕上げは松虫で
立秋をとうに過ぎても、秋とは名ばかり。
昼間はまだまだ暑く、夏の疲れが身体に残る。
そんな出来損ないの秋を、仕上げるために
松虫を訪ね、小さい秋を採集する。
阿倍野の松虫塚、寂しい伝説がいくつもある。
ただスズムシの古名がマツムシと言われ、
その時代、鳴いていたのはスズムシか?
考え過ぎると頭に熱がこもる、それはやめ。
どちらしても、この地は昔、
虫の音がきれいな松原だった、これでよし。