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5/30 居るのはつらいよ①

「なんか、あんまし面白くないなぁ」

2章の途中まで読んで、僕は本を読むのを辞めた。


「居るのはつらいよ」



プロ奢ラレヤー主催の読書サークル「スラム」の今月の課題図書であり、普段全く本を読まない僕だが、とある機会があって重い腰を上げた。



他の人の感想文を流し見てみると、いつもの課題図書のような小難しい学術書とは違って、物語調で読みやすそうだ。
すぐに区の中で貸し出しされてない図書館を探し自転車を走らせ、布団の中で楽しみに読んだ。


・・・読みやすい、確かに読みやすいが。

タイトルも良くて僕は過度に期待していたのかもしれない。
物語の導入が思った以上にそそられなくてすぐに読む気を無くしてしまった。

「まぁ、誰かがまとまめた読書感想文を見て概要だけ知ればいいかな」

そう思って、課題図書にした張本人である伊予柑さん(ニコニコ動画の偉い人)の対談を見に行った。

プロ奢ラレヤーと「居るのはつらいよ」の内容を語っている回だ。


そこで語られている内容を見て、これは僕に必要な物語な気がする、と思い「やっぱり見なきゃ」という気にさせられた。

そして僕はもう一度、途中から読むことにした。



結論から言うと、最高だった。




特に予想を裏切るラストは衝撃的だ。
「物語の最後はどうなってしまうのだろう」とわくわくさせてくれる。

そんな期待をさせてくれるのは中盤の展開があったからだ。
頭の中に自然と住み着いた愛着のあるキャラクターの変容に読む手が止まらなかった。

そして、魅力マシマシの中盤を支える序盤は「不思議な国の日常」。

日常→事件→日常への回帰が物語の常だとすると、その序盤の日常が、どの物語よりも「日常」で、しかもしっかり物語的な「非日常」もきちん含まれている。


一連の流れが淀みない。
そして、そこに臨床心理・哲学・ナンチャラの補足が入る。
そこにいちいちぶっ刺さる。


そして特殊な最終章の前の、幕間口上。
さらなる期待を掻き立てられると同時に
「何が起きてもいい準備をしてくださいね」とでも言われるかのような、不思議な前置き。

あの口上で一息つかせなければ、意外過ぎるラストに拍子抜けしていたかもしれない。
あそこに「傷つけない」ようにするケア出身者の優しさが出ていたように感じる。

いずれにしても、コトを上手く運ぶのに口上なんていう手があることを知らなかった。

本当に僕は本を、物語を読まなさすぎる。
本ってスゲー。



最終章の核となる話の濁し方も良かった。
核だけど、言いたいところはそこじゃないもんな、と納得させられる文章。
あんなに濁しているのにモヤモヤが残らない。
これってすごい技術だ。

プライバシーを厳重に扱う臨床心理士らしい。


なんだかんだ、「読書サークル」スラムの課題図書を読み切ったのは初めてかもしれない。
マルセルモースもレヴィストロースも普段かけないメガネをクイクイしながら図書館で借りて、シェアハウスの狭いダブルベッドの中で読んで鼻血を出してぶっ倒れた。

あんなもん読める高卒いんのかよ。(プロ奢)



ともかく僕は「居るのはつらいよ」の学術書としての構成に感動した。

そして、肝心の中身だ。

依存のこと、無意識のこと、弱さ。

本の前半に書かれたこれらのことが、僕に突き刺さった。わかりやすい例えと小難しい学術の引用を易しく解説してくれて頭の中にするすると入ってくる。

これは、まさしく子育てだ。
子育て(母と子)については、僕が大事にしているテーマの一つで、別のnoteに下書きをしている。

とりあえず中身の読書感想文を今度に回して、一旦投稿しよう。
毎日投稿をほっぽり出そうとしてまで、ぐあぁあと夢中になった2日間だった。

まだ22時。
毎日投稿、60日目。




プロ奢×伊予柑さんの「いるのはつらいよ」対談


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